運命の青い糸 九
そんな俺と圭太も、このサークルで活動を始めてからもう少しで2年になる。その間、本当にいろいろあった。例えば俺たちは映像のセンスや撮影技術をメキメキと上げ、(少なくとも俺たちはそう思っている。)先輩からも、一目置かれる存在になった。
しかし、恋愛の方は相変わらずで、例えば圭太に彼女ができた時も、圭太とその彼女の間に例の青い糸が見え、圭太に「いついつその彼女と別れる。」という旨のことを伝えると、
「お前、けんか売ってんのかよ!」
と最初は怒鳴られたが、それが本当のことになると圭太も俺の言うことを信じ、「恋愛エスパー」の称号は大学に入ってからも相変わらず健在であった。
「でも、俺、恋愛映画とか好きじゃん?だから、ああいう運命的な出会いに、憧れるんだよね~!」
「はっきり言うけど、運命なんて存在しねえと俺は思うよ。」
「恋愛エスパーはそう思われますか!?…でも、俺はいつか、『運命の赤い糸』で結ばれた相手と、結婚したいと思います!」
「ああそう。」
そう言う圭太にも大学時代彼女ができたことは何度もあるが、決まって俺の目には、「運命の青い糸」と、その「Xデー」の日付が、映るのであった。