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初任務 2

 ゴブリンの村を後にして森を進み

 3時間くらい経ったかな?

 森を抜けた


 そうしたら目の前に村が見えた


『あれがフソレか?』

「ああ」


 ここから歩いて5分って距離かな……走ればすぐだ

 よし、さっさと進もう! ここまで近付いたならバレても問題ない!


『全員、走れるか?』

「問題ありません!」

「元気です!!」

「疲れならとれました!!」


 兵士達が元気に答える

 よし!


『なら走れ! 一気に突入する!!』


 僕は足に意識を集中させる

 魔装での肉体強化……これで更に速く走れる!


『さっさと追い付けよ!!』


 そう言って僕は走る


 ってうわうわ! 想像より速い!?

 あっという間に景色が変わっていく!?


『っ!!』


 足を止める


「な、なんだ!?」

「誰だ!?」

「何処から出た!?」


 周りを見渡す……うわ、ここって村の広場だ……

 30秒くらいでここまで来ちゃった……

 うーん、制御が甘いなぁ……もっと練習したりしとけばよかった


 てか村の人達むっちゃ警戒してるし……

 そりゃそうだよね、いきなり真っ黒な鎧の人物が広場に現れたら警戒するよね


「お、おい! お前は何者だ!!」


 自警団かな? 数人の村人が僕を囲む、手には剣やら斧やら鍬やら

 うーん……流石に黙りは駄目だよね


『我は"黒騎士"魔王様の命により、この村にあるという火のオーブを貰いに来たのだが……オーブは何処だ?』


「っ!? ま、魔王!?」


 村人の顔が強ばる

 うん、魔王様の名前が出たからむっちゃ警戒されてる

 凄い睨まれてる

 何人か武器に力をこめてるね


『止めておけ、貴様ら程度など……虫を潰すよりも容易く殺せる』

「ひっ!?」


 カールスから教えてもらった"殺気"を飛ばしてみる

 何て言うか、こう……睨むだけなんだけどね?

 冑で顔は見えないのに効果あるのかって思ったけど、効果あるね

 殺気を当てた村人が腰を抜かした


「構うな! こいつは1人だ! 全員で殺っちまえ!!」

『うぉぉぉぉ!!』


 数人の村人が襲い掛かる

 仕方ないな……殺したくないから


『愚か者が……』


 ヒュン!


 バキッ!

 ボト!

 パリン!


「!?」

「剣が折れた!?」

「お、斧が!?」


 僕は腕の魔装に集中して剣を抜いて振る

 狙ったのは村人達の武器だ

 襲ってきた村人の武器を全部破壊した

 そして剣を仕舞う


『力の差が理解できたか? ならばさっさとオーブを寄越せ』


 あと2分くらいで皆来るかな?


『どうした? 出さないのなら……この村を壊滅させるぞ?』


 僕は剣に手をかける

 いや、そこまでやるつもりは無いよ?

 でも脅しておかないといつまでも出さないでしょ?

 それに……皆が来たら皆殺しとか始まりそうだから……早く済ませたい


「ひ、ひぃぃぃ!!」


 村人達が離れる


 そして1人の老人が近寄ってくる

 なんか白い服着てて……神父さん?


「おお、魔王に仕える怪物め! 何故オーブを狙う!」

『必要だからだ』


 詳しく話す必要はないよね


「あのオーブはこの村を守るための物! 渡せるはずがない!」

『なら村が無くなれば問題ないな……』

「っ! 弱者をいたぶるか!!」


 いや、オーブをくれれば何もしないんだよ?

 何だったらコッソリと兵にここら辺守らせてもいいんだよ?


『我とて弱いものいじめは趣味ではない……オーブを渡せば退こう』

「だ、誰がそんな言葉を信じるか!!」


 だよねぇ……


 うーんどうしよう……このまま話していたら皆来るしな

 あ、石像がある……うん、申し訳ないけど……


『ふん!!』


 ザシュ!


「うわ!? 女神様の石像が!?」

「な、なんて事をするんだぁ!?」


 村人達の悲鳴

 あ、これそんなに重要な像だったの!?


『早くオーブを持ってこい……この刃、次は貴様達に向かうぞ……』


 僕は剣を構える

 うん……罪悪感に襲われてる

 本当にごめんなさい!!


「くっ!! ……シスター!」

「は、はい!」


 あ、シスターさんが教会に入っていった

 持ってきてくれるんだね!!


「ひぃ! 魔物だ!?」


 そんな悲鳴が聞こえて


「うわぁぁぁぁぁ!!」

『むっ? ふん!』


 男の人が飛んできた

 このままじゃ家とかにぶつかって死ぬと思ったから受け止める

 そしてポイッと横に投げ捨てる

 痛いだろうけど、死ぬよりはマシだよね?


「オーブは何処だぁぁぁぁぁ!!」


 ブルムが叫びながらこっちに歩いてくる


『ブルム』

「っ! 師団長……ここに居たのか」


 ブルムが師団長と言った時、周りの村人が恐怖を纏った目で僕を見る

 あ、師団長って名乗るの忘れてた……名乗ってたらもっとスムーズに終わってた?


『オーブなら今取りに行っている……待て』

「……はっ!」


 ブルムが右腕を挙げる

 追い付いた兵達が整列した


 よしよし、そのまま大人しくしていてね!


「……も、持ってきました」


 シスターがビクビクと震えながら珠を持ってくる

 赤い珠だ、なんかオーブって言うには随分とショボいなぁ


『寄越せ』

「あっ」


 僕はオーブを奪う

 なんかカラーボールみたい……ほら、コンビニとかにある強盗とかにぶつけるボール

 あれに似てるなぁ


 それに何か……闇のオーブと比べると……うーん

 闇のオーブは珠の中に何かこう……神秘的な空間があったけど……これはただ赤いだけで……


「っ!? 師団長! それを捨てろ!」

『むっ?』


 ブルムがそう言った瞬間


 カッ!

 ドン!!


 珠が爆発した



「や、やったぞ!! ざまあみろ化物!!」

「兵士どもをぶっ殺せ!!」


 歓喜する村人

 ……はぁ、偽物を持ってきたのか


 ドン!!


 僕は思いっきり地面を踏む


「っ!?」

「なっ!?」


 煙が晴れてきて無傷の僕とブルムの姿が現れる

 すると驚く村人

 いや、これ全然効かないんだけど?


『小細工はこれで終わりか?』


「ひっ!」


 僕はシスターを見る

 腰を抜かして怯えるシスター


『ふむ、これ以上は時間の無駄か……貴様らを皆殺しにして探した方が早そうだな』


「ひっ!?」

「そ、そんな!?」


 怯える村人

 こう言ったら流石にオーブを出すよね?

 ここまで言った手前、僕もひけないんだけど……

 困ったな……勢いで言うもんじゃないね


『10秒数える……それまでに持ってこなければ……わかるな?』


 僕は剣を上に振り上げる


『10……9……』


「し、司祭様! 早く、早く!!」


 村人が老人を見る


『8……7……』


「む、むむむ!」


 唸る老人


『6……5……』


 あ、兵士達が構えだした……これはもう無理かな

 僕の指示で村が滅ぶのか……い、嫌だな……

 ど、どうしよう……今更取り消すなんて出来ないし……


『4……3……』


「嫌だ……嫌だぁ!!」


 シスターが失禁する

 僕だって嫌だよ!!

 てか司祭! 動けよ!!


『2……1……』


 あぁ、終わった

 綺麗なお手て、さようなら

 そしてこれから僕は殺人者!!


『ゼ』

「そこまでだ!!」

『むっ?』


 なんだ?

 僕は声のした方を見る



「罪の無い村人に手を出すとは許せんな!! この勇者『レオン』様が! 貴様らを成敗してくれる!!」


 何か居た

 4人組のパーティーかな?

 勇者って名乗った男と……3人の女性

 んっ? 勇者?


「ゆ、勇者様だ!」

「救世主様だ!」


 歓喜する村人

 えっ? 本物なの?


『勇者?……貴様がか?』


 僕は勇者をジーと見る

 うーん……服装は少し豪勢かな?

 髪は金髪? あ、根元が黒い……染めてから髪が伸びてるみたいだ

 目は……黒だね、僕と同じ感じ


「そうだ! 異世界から呼び出された救世主様だ!!」

『…………』


 頭痛い

 仮に本物の勇者だとしてさ……見た目から見るに僕より年上だよ? 18か……もしかしたら成人してるかもしれない

 そんな人間が何て馬鹿みたいな事を言ってるんだろう……


『ブルム、適当に追い返せ』

「はいはい……」


 そんなめんどくさそうに答えないで……


 ブルムが勇者? の目の前に立つ


「人間、俺達の邪魔をするな」

「はっ! 魔物が偉そうに! ブーブー鳴いてろよ!」


 ……頭悪そう


「このガキ……」


 ブルムが右腕を振り上げる

 て、手加減してあげてよ?


 そして


 バキィ!


 殴る音


 そして


「ぐぅぅぅ!?」


 飛んでくるブルム


『!?』


 ガッ!


 僕はブルムを受け止める


『どうしたブルム……何をされた?』

「腹を殴られただけだ……」


 そしてボソリと


「あんたに殴られた時と似てる」


 僕にだけ聞こえるように呟いた

 えっ? てことは本当に?


「どうした豚! その程度か?」

「流石ですレオン様!」

「お見事です!」

「素敵よレオン君!」


 3人の女性がレオンをヨイショする

 特徴的に……僧侶、武道家、魔法使いって感じかな?


『……ふむ、どうやら我がやらねばならんか……』


 僕はブルムの前に立つ


「おい、やるのかよ?」


 ブルムがボソリと呟く


「やるよ、それが僕の喚ばれた理由だし……それに……」

『部下を馬鹿にされて、少し腹が立った……』


 僕は歩く

 レオンの目の前に立ち


『勇者、改めて名を聞こう』

「レオンだ! お前は?」

『我は"黒騎士"……魔王軍、第6師団長だ……』

「へぇ師団長か! 遂に幹部と戦えるときがきたな!! 想像よりチビだな」

『……吠えてろ』


 さて、予想外の勇者との遭遇……どうなることやら















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