黒騎士就任
魔装を修得してからは戦闘訓練とキャラ作りに励んだ
戦闘訓練の方はかなり順調だった
というのも魔装を使える様になった今はかなり動きが速くなった
「いいよ黒騎士!その調子!」
カールスが糸を振り回す
僕は糸を避けたり、剣で斬ったりして対処する
「それそれそれ!!」
以前僕の肩を貫いたあの技を連射する
「ふっ!」
僕は全てを避ける
今なら見切れる!
そして一気に駆け寄り
「っと!」
「……ふぅ」
カールスの眉間に剣を突き刺した
………いや実際は刺さってないけどね?
カールスの魔装でガードされてらからね?
「…………ここまで出来たら合格じゃないかな?」
カールスがフブキさんに言う
「そうだな、あとは実戦で学んでも問題ないだろう」
「よっしゃ!」
グッ!と僕はガッツポーズをする
ピシャン!
「ぐわ!?」
すると鞭で殴られた
僕は鞭で殴った人を見る
「黒騎士?私の言ったこと忘れたのかしら?」
そこには女の人がいた
彼女はシルク……第36師団長であり
僕のキャラ作りの演技指導をしている人だ
「いやその、嬉しくてつい」
「その鎧を着てるとかは演技をしろって言ったわよね?」
「は、はい……」
「はい?違うわよね?」
ピシャン!
「うむ!」
怖い……この人凄く怖いよぉぉ!!
「…………黒騎士様、今日の報告です」
そこにブルムがやってきた
彼は今は第6師団の副師団長として働いてくれている…本当は僕がやらなきゃいけないことなのにね
僕の事が嫌いな筈なのにしっかりと手助けしてくれているから彼には感謝しかしない
「あ、ありが」
ピシャン!
「……よくやった」
無言の鞭!
・・・・・・
こうして僕の黒騎士としてのキャラ作りが進んでいった
…………最近は寝てる間も鞭の音が聞こえる気がして怖いんだけど……
取り敢えず僕は黒騎士として演じる事が出来るようになった
「…………」
そして今僕は城の外……外?庭って外なのかな?まあそこにいる
庭って言ったけど広さは学校の運動場とかよりも広い
5倍くらいはあるんじゃないかな?
そこに居た
そして僕の前には
『ざわざわ』
第6師団の団員達だ
人数は52人……師団とか言うわりには少ないと思ったけど
僕の前の師団長 (ブルムではない) が少数精鋭を好みとしていたらしくてこの人数らしい
まあ僕もまだよく師団長としてのやり方をわかってないから
少ない方が助かるけどね
そしてなんで今こんな状況かって言うと
まあ、僕の御披露目かな?
師団長に就任して二ヶ月
僕はずっと訓練してて団員達は僕の顔を知らないからね
仕事も全部ブルムがやってくれていたし……本当に感謝しかない、今度流星として何かお礼しよう
黒騎士としてやったらシルクさんに鞭でしばかれそうだし
てなわけで今から僕は黒騎士として団員に挨拶するよ!
見よ!僕の演技力を!!
そして植え付けられた黒騎士のキャラを!!
…………あ、シルクさん見てる……下手なことしたらしばかれるね
『諸君、私が第6師団長の"黒騎士"だ
この二ヶ月、姿を見せずにいて不安を与えたかもしれんな
だがこれからは私が正式に師団長としての務めを果たそう
これからよろしく頼む』
腕組みをしながら僕は挨拶を終えた
因みにこの挨拶の間、ていうか皆の前に立っている間はずっと魔装でオーラを纏っていた
ヒョウガさんが迫力があった方がいいからって言ってたからね
『うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
団員達の歓声が響く
歓迎されてる様だ
「あれが例の異世界の!」
「ブルム副師団長を一撃で倒したんだよな?」
「闇の属性って魔王様と同じだよな!?」
「子供って聞いていたけど強そうじゃないか!」
「これで第5師団の連中からバカにされないぞ!」
………………うん、なんか僕の事普通にバレてないかな?
子供って言われたけど?
異世界から召喚されたのもバレてるよ?
…………演技の意味ってあったのかな?
いや、彼等は僕の部下で味方なんだから、バレててもいいよね!うん!
シルクさんも満足そうにどっか行ったし!
終わり良ければ全て良しだよね!
僕の二ヶ月は無駄じゃなかった!!
うん!そう思わないと泣けてくるからね!!




