やるべきこと、その2
「まだまだ覚えることは多々あるぞ!」
フブキさんが少しふらついている僕を支えながら言う
「他には何を覚えればいいんですか?」
僕が聞く
「先ずは魔装だな」
「………魔装?」
なにそれ?
「簡単にいうと魔力を利用した身体強化だ」
僕が一人で立てるようになったのを確認してからフブキさんが言う
「身体強化………」
「百聞は一見にしかず!実際に見てもらおう!ヒョウガ殿!」
「ああ、いいぞ」
ヒョウガさんが拳を突き出す
「先ずはなにもしてない状態だ」
フブキさんが拳を構えてヒョウガさんの拳にパンチを放つ
パシン!
拳がぶつかり合う音がする
「?」
僕は訳がわからず首を傾げる
「では次は魔装を纏おう」
そう言うとフブキさんの拳がうっすらと赤いオーラみたいなのが纏う
ヒョウガさんの拳は黄色いオーラみたいなのが纏っている
「いくぞ!」
ヒュ!
フブキさんがパンチを放つ
ガッ!
ドゴン!
「うわぁ!?」
二人の拳がぶつかり合う
ぶつかり合った瞬間に凄まじい衝撃が走る
驚いて僕は尻餅をつく
「っとまあこんな感じで………」
「魔力を使った鎧だとでも思えばいいぞ」
そう言ってヒョウガさんが僕の手を取り立たせる
「これを黒騎士殿にも修得してもらう」
フブキさんが言う
「僕に、今のが出来るんですかね?」
っていうか僕に魔力あるの?
「出来る出来ないじゃなくてやらないと駄目だな」
「言っとくが師団長は全員出来るぞ?」
「全員!?」
嘘!?
「師団長になるための最低条件だ、魔獣将達は更に上の段階まで出来るしな」
更に上の段階!?
「まあ先ずは魔装の修得をしないとな」
そうヒョウガさんが言ったときだ
バン!
ダン!
「遅れましたぁぁぁぁ!!」
一人の少年が修練場に飛び込んできた
「え、えっと?」
「あ!君黒騎士だよね!!」
少年が僕の手を握る
「僕はカールス!第4師団団長を勤めてるよ!!まあまだ任命されてから5年しか経ってない新人だから一緒に頑張っていこうね!!」
ブンブン!!と僕の腕を握りながら上下に振り回しながら元気に言う
「よ、よろしく!ちょ!お、落ち着いて!」
「カールス殿、落ち着け」
「相変わらず元気だね~カールス坊や♪」
「あ、ごめん!」
パッ!と僕の手を離す
「っと!」
僕は転けないようにバランスを取る
「それでそれで?僕は何をすればいいの?」
「あー坊やちょっと黙ろうぜ♪」
「むぐぐ!」
ヒョウガさんがカールスの口を手で塞ぐ
「さて、話の続きだけど、先ずは魔装の修得だ、次に戦闘訓練な」
「戦闘訓練?」
「黒騎士殿は戦闘の経験は?」
「無いです………」
「ならカールス殿と実戦形式の戦闘訓練をするべきだ」
「フブキさんとかは駄目なんですか?」
「某よりもカールス殿の方が強いからな」
「えっ?そうなの?」
「師団長じゃあ5番目に強いんじゃね?」
「むぐぐ!」
その5番目に強い人を押さえてるヒョウガさんはもっと強いの?
「そして最後にやるべき事がある」
フブキさんが言う
「やるべき事?」
「黒騎士殿、君の口調を変える」
「えっ?僕の?」
「はい僕禁止!」
「えぇ!?」
なんで!?
「貴殿はまだ幼い、6師団の兵達や末端の兵達に嘗められないように威厳がある話し方をするべきだ」
「カールスは?」
「坊やはもう実績を積んでるからなー逆らったら酷いめにあうって兵達も理解してるからいいんだよ」
「むぐむぐ!」
そろそろ離してもいいんじゃ?
「でも急に言われても………」
「黒騎士、こう考えるんだ………自分は黒騎士を演じるんだと」
ヒョウガさんが言う
「演じる?」
「そうそう、名前と同じで黒騎士を名乗ってるときだけ口調を変えたらいいんだ、つまり!流星は鎧を着たら黒騎士という役になるんだ!!」
「いや演技とか経験無いですよ!?」
「やるといったらやるんだよぉぉ!!」
拒否権なし!?
「むぐむぐ!むぐぐ!」
「おっとそろそろ離すか」
「ぷはっ!それで?僕は戦闘訓練だけなの?魔装を教えるのは僕も手伝うの?」
「魔装は某とヒョウガ殿で教えるからカールス殿は戦闘訓練だけだな」
「じゃあ早速やろうよ!!」
カールスが手から糸を出す
「糸?」
「あ、僕、蜘蛛族だからね!この糸が武器なの!さあさあやろうよ!!」
「やっぱり坊や黙ってろ♪」
「むぐぐ!」
「………………」
「まあ、いきなり色々言っても混乱するだろう………黒騎士殿、取り敢えず魔装を教えるからこっちに」
「あ、はい」
こうして僕の訓練が始まった
キャラ設定
名前 カールス
性別 男
種族 蜘蛛族
年齢 53歳
第4師団団長
師団長の中でもかなりの若手だが実力はかなり高い
手や口、尻のにもある特定の部分から糸を分泌する
その糸は粘着性の高いものから鋼鉄の様に硬いものまであり多種多様
魔装を纏って放つ糸は鎧を簡単に貫く
敵には容赦しないが味方にはかなりフレンドリー




