黒髪の女の子
死んだな、そう確信した。
いや、そう思った、感じただけかもしれない。
"梓弓"という名前の女の子は俺らを守って死んだ、それを理解してくれない黒髪の女の子に殺されてしまうのか。
そう考えていたらもう俺らは焼かれていた。
「熱...!?嘘だ...熱くない...!?」
熱い、と感じたのは2、3秒で不思議なことに熱くない。それに火傷もない。
俺は熱くもない火の中に突っ立っていた。
「お前死んだよ?」
黒い髪の女の子がそう、口を開いた。
女の子が言っている事がわからなかった。
「私はお前達を殺す。そういった、抵抗はしなかったお前らは焼け死んだのさ。」
そうか...俺は焼け死んだのか、だから火の中に突っ立っていても痛みを感じなかったのか。やっとわかった。
「小狐共、お前私と一緒に来い」
あ?なんだこいつ。殺しておいてそりゃあない。上から目線だし。精々名前だけ名乗らせておこう。そうしたら地元の輩にどういう奴か聞けるだろう。
「は?お前が名乗ってからついて行くよ」
黒い髪の女の子はムッとした顔をしながら名乗ってくれた。
「私は火鳥。私の名を聞いたことがないなんて馬鹿なヤツ」
あ...こいつヤバいやつ、なんかヤバいと村で話の話題になっていた奴だ。
「へぇー...」
「ほれ、名乗ったぞ、さっさと行くぞ。」
え?俺名乗んなくてもいいの...?