輝の本音1
遅くなってすみません。何とか更新します。
ー奏ー
「いててて、お、鬼が出るなんて・・・。」
僕はその鬼から飛び退る。ここがどこで、何なのか何となく理解している。暴走していたのだ。はっきり覚えている。けれど、なんで、あんなに暴走したのか、あんなに怒っていたのかは知らない。だって自分でも訳が分からなかったから。
「奏、元に戻ったか?」
「お、親父?なんでこんな所に。って僕を止めてくれたんだ。うーん。なんか複雑。」
結局この親父には敵わなかった。まあ、僕はヒーラーだし、勝つという事自体が異常なんだけれど。
そう思いつつも、目の前の赤い鬼には注意を払う。次いつ攻撃仕掛けて来るか分からないからだ。
「癒吉。俺は・・・。そのな。えっと。」
急に鬼がまごまごしだした。なんだこの鬼。この声どこかで聞いた事があるような・・・。
「えっと、僕を知っているようですが、どちら様でしょうか?」
「おい!俺を忘れたのか?」
「え。いや、鬼に知り合いはおりませんが・・・・。」
本当の事だ。この世界に来て、鬼に知り合いはいない。いるのは竜人と魔族だけだ。こんな自分より背丈が2倍以上あって、まるで盗賊のような顔の鬼は知らない。でも、なんかどっかで見たことあるような・・・・。
「俺だ!俺俺!」
「俺は誰?」
「パトカーに貼ってある文言じゃねーか。」
「ぬ、この鬼パトカー知ってるんですけど、親父の知り合い?」
そう思って親父に振ると、肩を竦めながら首を振る。
「武雄君変身を解いたら?」
「あ?おお、そうか。まだ癒吉には見せてなかったな。」
そういうとミルミルしぼんで、タダの盗賊になった。
「なーんだ、ただの盗賊かー。」
「やっぱあの時しっかりとドラゴンの口の中に放り投げておくんだった。」
物騒な事を言っているが、やっとだれか分かった。苛めグループの一人、武雄だ。
「武雄先輩。お久しぶりです。」
「おう、やっと俺に気が付いたか。敬意を払え。」
「それで、そっちは・・・うわ!」
急に背後から現れた南ちゃんに胸倉を捕まれる。
「奏パイセン。つかちゃん先輩はどこ?つかちゃん先輩となんかした?ねえ、教えなさい。」
「ちょ、南ちゃん怖い怖い!特になにもしていないよ。僕は。」
「僕は?じゃあ、だれが傷付けたの?」
がっくがっく揺する南ちゃんは目が据わっている。
「おう、お前たち、取り込み中悪いな。なんか不味い事になった。」
「関係ないおじ様は黙ってて。で、つかちゃん先輩どこ?」
親父の言葉を制止して僕を振り回す。ステータスの差だろう。なんか理不尽だ。
「ああ、司ちゃんね。司ちゃんにも関係する事だ。聞いてくれ。」
「叔父様早く教えて。」
ぺいっ!と僕を放り投げて親父に詰め寄る。
「今度は輝君が暴走しだした。そして、どうやらエメリアちゃんと司ちゃんを食べようとしている。」
「食べ・・・・。いつから輝はモンスターに?」
「輝先輩・・・・・。ついに男としての本性が?」
「輝・・・。気に食わねー奴だと思っていたんだ。」
三者三様な答えを出す。というか、食べるというだけで、二人は何を想像しているのだろうか?
「ああ。取り合えずエメリアちゃんと司ちゃんを拘束して、先ずエメリアちゃんを性的に襲っているようだ。っておい、奏?」
急がなくてはならないようだ。
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ー司ー
「エメリア。奏を振ったそうだな。」
「ふん、お姉ちゃんが弟に告白されて、付き合うと思うの?馬鹿馬鹿しい。」
上半身をひん剥かれて、輝に首を捕まれた状態のエメリアが強がっている。何故輝がこんな事をするのかは知らないけれど、明らかに異常だ。そして、輝はにやりと笑う。
「まあ、いいや。俺とやれ。奏に見せつけてやる。俺のほうが優秀だと。影の実力者の存在などいらないのだと。俺の実力だけで、なんでも出来るのだと。」
何故だか知らないけれど、物凄く傲慢な輝になっていた。そして、本音も混ざっている事も事実だ。何回か相談をかなり遠回しにされた事もある。輝の手柄は大抵裏に奏がいた。だから、そんな奏が好きだけれど、逆に奏に頼らなければ何も出来ない自分は嫌だと。しかし、手柄を立てようとすればするほど、落とし穴の数が多く、いつの間にか奏に塞がれている。そういう意味で輝は奏の事が嫌いなのだという。
「俺は、奏より優秀だ。だから、全てを手に入れる。」
「『そう、そういう事よー。お姉ちゃん応援してるわよ。』」
急にエメリアから変な声が漏れだす。急に白い翼がエメリアの竜の翼の上から生え出す。どうやら女神のようだ。
「は!なんだお前。」
「『おねーちゃんが貴方を祝福してあげる。私は女神よ。さあ、あなたの好きなように暴れなさい!そうね。おすすめは今そこにいる娘の中の女神を倒して見せたら、奏は負けを認めるのではないかしら?
そう言って二人はこちらを見る。まさか輝がこんな口車に乗るわけが・・・・・。
「そうか、女神の祝福か。奏より上に行ける。確実に俺が挌上になったという事になるな。」
光が迸る剣をこちらに向けて来る輝。一瞬で蒸発してしまうレベルのエネルギーを持ったその剣は、こちらに向けられている。私は光の縄で縛られて動けない。どうにかして脱出しなければ・・・。
「ちょ、ちょっと!輝?嘘でしょ?そんなものこっちに向けない・・・・でよ・・・・。」
「冗談?それこそ冗談だ。」
輝の手から解放されたエメリアはニヤニヤとこちらを見る。そして嘲笑う。
「『勇者と魔王はお姉ちゃんの物よ。さようなら。』」
目の前に光の本流が迫る。
仕事ひと段落しました。これで、少し書き溜め出来れば・・・・。




