プライド
ーエメリアー
病院に帰ると、どうやら奏のギミックが起動している。そのギミックで攻略は無理だと感じた王国兵は皆逃げていく。空を飛べる者も壁に設置されたバリスタで皆撃ち落されていく。
私はほぼ全ての兵が逃げたのを確認し、皆が避難している部屋に竜風結界を張る。これはただ単に仲間以外の者が入りこもうとすると、拒絶するもので、強烈な風圧で敵をただ吹き飛ばすだけ。これでも万が一はいられても皆は守られる。
「じゃあ、私はちょっと奏の所に行ってきます。」
「ああ、ありがとうございます。カナデ君は大丈夫なのでしょうか?」
「ええ、奏がそう簡単にやられたりしないわ。」
全く何が起きているのかも、何故自分たちが襲われているのかも、今私がここを離れたら脅威から守る戦力が減ることも分かっているのに・・・・・・。自分達の心配を棚に上げて他の仲間を優先する。そういうの嫌いじゃないわね。因みに病院の皆が『カナデ君』と呼ぶのは、奏の身分を知らないから。教えても理解してくれないのよね。というか、直ぐに忘れる感じに・・・・・。
私が窓に足を掛けると、後ろから子供たちが走り寄って来る。
「おねーちゃん、大丈夫だよね?」
「かなでを助けにいくんだよね?」
「かなでにいちゃん、弱っちそうだから、おねーちゃん頼んだよ!」
子供に好かれる奏はなんか・・・こう・・・・。心優しいのかな?って思う。まあ、結構部屋でぐーたら寝ている事もあるけれど・・・・・。
「大丈夫!私が行くからには、必ず帰ってくるから!」
そう言い残して、窓から踊り出る。窓からのバリスタは私は狙って来ない。魔力を感知して狙わないようになっているらしいの。また私は全力で翼をはためかせる。
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ーミルー
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
私は一人の男と対面していた。相手は甲冑を身に纏った兵士達。
「変態・・・・。」
「決して変態ではない!」
目の前の変態をジト目で見る。何故変態なのかって?
「亀甲縛りしておいて言い訳は見苦しいわよ。」
「いきなり攻撃してきて、拘束されない方がおかしいよな?それに簡単に縄抜け出来るお前を厳重に縛るのも普通だよな?」
「ふーん。又まで縛るのも?」
「俺、不器用なんだよ・・・・。」
実際亀甲縛りではない。とにかく適当に縛ってある。けれど、これでは動けないからどうにか抜けたいのだけれど・・・・。抜けても抜けても拘束されてしまう為、抜けられ無かった。まさか、別働隊が真後ろをたまたま進んでいたとは思わなかった。抜かった。
「ちくしょう!」
「こいつ本当にお嬢様なのか?」
呆れた顔の見張り役の兵士は剣を収めた。
「ん?良く考えれば部隊に攻撃して、身分も魔王候補失脚して地に落ち、今はただの罪人の女か。」
「へ・・・・・。ちょっと。」
「うむ、今はだれもいないしな。動けないようにしてあるし。一回くらい・・・・。」
「ちょっと待って!何かの手違いなのだから、地位戻したら死刑よ、死刑!」
「うーん。それもそうか。」
ぶわっと急に掻いた汗が全身から流れる。この変態と一緒にいたら危険だ!逃げられないし・・・・・。
「取り合えず大人しくするから、触らないで。」
「ふん、てめーみたいな餓鬼なんかいらねーんだよ。まな板が。ひっ!」
言ったな?禁句を言ったな?と言っても縛られて動けないから睨む事くらいしかできないけれど・・・。
「お前!この騒動が終わったら、スレンダーの会員でお前の家を囲ってボイコットしてやるー。」
「なんか良く分からんが、やばそうなのは伝わった。ってかスレンダーの会って何!?」
見張りの兵士は一人。でも周囲には100人位残っている。どうしよう。
「おい、新人。何やっている!」
急に見張りの兵士の上司がやってくる。
「何って見張りを・・・・・。」
「そいつは罪人だから、何をやってもいいんだよ。兵士の楽しみってこういう時にしかないんだよ。」
「え・・・・・。」
この兵士(上司)死ねばいいのに・・・・。木に縛られて動けないは動けない。確かに抵抗は出来なさそうだ。
「なるほど、そういった事に忌避感があるのか。なら、命令だ。ちょっと犯せ。」
「・・・・・・それは・・・・。」
こちらを見る兵士。しかし、どうもやりたくないらしい。まさか、HENTAIじゃない?
「隊長、すみませんがそれは出来ません。」
「何故だ?」
「だって・・・・・。」
こいつ・・・・。まさかの紳士か?
「スレンダーの会が怖いのと、こいつ色気ないので。」
「そ、そうか・・・・なら仕方ないな・・・・。」
「そっちか!そこは普通に兵士としてあるまじき行為とか言うかと思った!」
「「は?」」
うん。こいつら天誅しよう。そうだ。そうするといい。
「天誅!」
急に兵士(見張り)が吹き飛ぶ。何事かと思ったら、メリちゃんが空から滑空して兵士に見事なドロップキックを決める。
「ミル!大丈夫?」
「メリちゃん!ナイスドロップキック!」
メリちゃんは風でロープを切ると私を背中に乗せてくれる。まあ、乗せるというより、背中にしがみ付く・・・・・が正しいけれど。隊長は隊列を整え弓を構えていた。
「メリちゃん。あいつら強いよ!」
「私に任せて。ミルは先に行っている奴らの足止めをお願い。」
「分かった。ここは任せた。あ!あの変態隊長は殺しておいて。」
「え?今ミルってばすっごく怖い顔している。」
「あいつ、手下使って私を汚そうとしたのよ。」
途端にメリちゃんの魔力が膨れ上がる。
「天誅は任せて!」
その後、その隊長のみ、行方を知る者はいないという・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
メリちゃんの天誅は直ぐに終わったのか、カナデ達がいる闘技場に向かっている最中に直ぐ追いついた。直ぐにメリちゃんに抱き着いてもらって空を飛ぶ。
「ミルー。このまま打てる?」
「狙った技は打てないけど、乱射なら問題はないわ!」
私は弓をメリちゃんに抱えて貰って空中で魔法を発動・・・・・・しようとしたら急に爆音のような大きな音がする。なんと、闘技場の方で巨大なデーモンが大暴れしていた。




