ロドス戦4
今度はエメリア視点
ーエメリアー
大会観戦場から出ると、私は空から病院兼私たちの家に向かった。病院って言っても、ご近所さん達が風邪くらいでも適当に来て、暫く誰かとおしゃべりしている間に治るから、おばちゃん達の井戸端会議の場所になってる。一応ミーさんがいるときは律儀にお茶出しているし。因みに私はお触り禁止。
暫く風魔法で速度を出す。私の最高速度は結構自身があるのだけれど、持久力があまり無いのが痛いのよねー。でも私は最高速度でぶっ飛ばす。そしてアビリティーを使用する。これで何もしなくても速度を保ったまま飛行出来る。ただし、まっすぐにしか飛べないという弱点もあるんだけれどね。
出来た余裕で街を観察していると、ある黒服の集団がある一方に向かって行列で向かっている。あの方向は、平民街。しかも、病院がある方。嫌な予感がする。もしかしたら、病院に人質を取りに向かっているかも。ヘクトールさんの予感は合っていたってことね。私は急いで病院に向かう。
病院に着くと・・・・・・・・。黒服が既に病院の中に雪崩込んでいて、通路含み溢れかえっていた。
血の匂いもする。どうにかしないと。まずは黒服をどうにかしないと!そう思ったのだけれど・・・・・・。
「ぎゃーーー。何だこの部屋は!!」
あー。そういう事ね。私は四階の部屋の窓に引っ付く。トントンと窓を叩くと、病院の皆は窓を開けてくれた。
「大丈夫そうね。」
「ええ、カナデ様がいざという時に残しておいたトラップが作動しております。皆無事に避難しております。」
「そ、そう。良かったわ。」
皆4階に逃げ込んでいるけれど、理由は簡単。奏の趣味で侵入者に対してトラップを発動する事が出来るの。それも患者と敵対者をちゃんと分けて攻撃してくれる。そして何故4階かというと、4階が一番頑丈で、外部からの攻撃で破壊されにくいという事。一番回復効果が高いという事。一番出口から遠く、侵入者はトラップを潜り抜けて来ても、ここに来るまでにトラウマを植え付けられる為、対処は簡単なのよ。因みにこの4階の部屋は、皆『死合の部屋』って呼んでいるわ。お互い武器をもって試合をするから。だから頑丈に出来ているし、回復効果も高く設定されている。
取り合えず、ここに居れば安心ね。一応奏には魔王城に来た時に、無暗に傷つけるなという事を言っていたので、嫌がらせをすることにする。
ー黒服ー
俺たちは大半がロドス信仰派だ。元々こういった掃きだめで、腐って死んでいく奴らを拾ってくれた恩人だ。年々ホームレスは減少している。まだまだ多いけどな。今までロドス様の為ならなんでもやってきた。今回もそのうちの一つだと思っていた。しかし、今回は病院で、かなり良心的だ。なんとホームレスでも軽い病気や傷は無償で治してくれるらしい。俺や仲間も稀に使用していた。重病はちょっと金を出せば、ヒールをしてくれた。誰かが、なんでこんなことをしているのか?と聞くと、ここの医院長はこう言ったそうだ。『治せるのになんで、治さないという選択肢があるの?しかもただで治せるのに。』との事だ。普通は協会に多額の寄付金を出すことでやっと治る病気が一瞬である。
何度か協会が文句を言ったらしいが、何故か全て文句で終わってしまっている。
けれど、ロドス様の為になること。それはそれ、これはこれだ。病院に匿っている元ホームレスを人質に取れればロドス様はやりやすくなるだろう。けれど、そんなに上手くいかない。行く手を阻む、槍やギロチン、鎖鎌、飛び交う鉄の塊、奥の廊下がランダムなタイミングでガッシャンと音を立てて廊下に居る者をぺっしゃんこにする。それも徐々に回復されていくから、誰一人、死なない。いや、死ねない。死ねないからこそ、どんな凄惨な死に方をしてもいいという事なのか、酷いトラップばかりである。
「うわー。これ無理。」
目の前で何度も回復しながらぐちゃぐちゃにされる同僚を見つつ、撤退を決め込む隊長であった。
次回はカナデの方に戻ります。




