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ヒーラー奏の立位置は?前衛です!  作者: 梅花 零度
魔王選抜編
75/118

獣魔闘技大会 終

ー奏ー


「ロドス!」


 慌ててロドスを見ると、向こうも状況を粗方把握しているのか、こっちを見て頷く。


 直ぐに俺は封印の腕輪を取ると、即、魔法を発動する。発動する魔法は・・・・・。


『聖域・広』『死者復活』『即死耐性』『活力上昇・大』『呪い耐性・大』


 聖域・広は言ってしまえばヒールの上位互換だ。僕が体に纏っている聖域とほぼ同じ。要は広範囲にヒールを掛け続けるという魔法。


 死者復活はその言葉の通り、死後2時間以内なら生き返らせる事が出来る。しかもこの魔法自体にヒールの効果が乗る為、死因の回避も出来る。でなければ生き返らせたとしても、直ぐに体の死因によって即死体に元通りだからだ。


 即死耐性は今シャムが行っている呪術に対抗する魔法。死の概念に対して耐性を得るという魔法。


 活力上昇・大は、体力を回復する魔法。シャムが行っている呪術の副次効果である、衰弱の効果を相殺できる。 


 呪い耐性・大は、そもそもの呪いに対して効果を上げる効果を持つ。即死耐性と活力上昇・大に対して効果を補強する意味合いだ。



 しかも、時間が無かった為、この順番で使用した。既にシャムが本気で呪いを発動しだして直ぐに死んでしまった者が多く、回復と復活が急務。そして直ぐに呪いに対抗できる対策を取った為だ。


 それにしても、シャムが本気を出したらここまでとは思わなかった。会場と観客席は物理的にかなりの距離があるし、観客席には、魔法でのホログラム(光魔法)しか見えていない。つまり、ホログラム越しに見るだけで、呪術の効果が発動したという事だ。これは普通ありえないのだけれど、流石厄災の獣と言われているだけある。


 ホログラム越しに観客の様子を見ていると、どうやら誰も取りこぼしていない様だ。これで誰かが死んだ()()だったら絶対衛兵に捕まるし、何より後悔するだろう。ふと、美鈴の殺すことに慣れた方がいいなんて言葉が脳裏を過るけれど、この辺りの信念を曲げる気は全くないよ。




 そんなことを考えていると、竜は力尽きたのか、落ちてくる。その時出来た爆風を竜使いも片手で防いでいる。あいつは呪いのことは気にする必要はないだろう。



 シャムは竜が倒れたことを確認すると、周囲から黒い気配を消していく。段々周囲から黒い呪いが消え、元通りになっていく。

 観客席は阿鼻叫喚から急にシーンという静寂という音に包まれた。急に禍々しい気配が無くなったからだろう。その静寂を破ったのは・・・・・・。



『審判!勝利者のコールを!』


 ここで急に我を思い出したのか、司会者は動き出す。ガコン、キーンとマイクの扱いにミスしながらなんとか体裁を整える。



『し、勝者!カナデー!ユーキーチー!』



 よし、親父の言ってたシャムの力を知るということ自体をコンプリートできたかな?それに優勝したなら、絵メリアも喜ぶはず!



 ホログラムの司会者が近づいて来る。


『さて、優勝者のカナデさん。優勝おめでとうございます。』


「ありがとうございます。」



 その言葉を聞いたのか、シャムはひょこんと僕の肩に飛び乗る。そのシャムを撫でてやる。因みに相手の竜にヒールで呪いは解除済み。でも、まだ気絶しているようだ。


『ちなみにこの厄災の獣ですが、どうやってテイムしたのですか?普通S級の魔物はテイムできないのですが。』


「え?どうと言われましても、お肉あげたら懐いただけです。」


『それでテイムの魔法が効いたのですか?』


「え?テイムの魔法?」


『え?ちょっと左手見せてください。無い!左手の甲に契約紋が無い!』



 何か不味いこと言っただろうか?周囲の目が鋭くなっている気がする。少なくとも、クルシュ邸にいた時にはそんな魔術は無かった。魔法は使えないので、魔術しか使っていなかったけれど・・・・・。



『ちょっと司会!マイク寄越せ!カナデ!お前その魔物テイム出来てねえのか?』


 急に出てきたロドスはドシドシと歩いて来る。ホログラムだけれど。


「えっと、近づいてきたから、魔物のお肉あげてブラッシングとかしてあげてたら、友達になった・・・・かな?」


『はあ?つまりお前はその厄災の獣に命令をできないという事だな?』


「えっと、力づくで従える事は出来るよ?」


『そうじゃない。この国ではどんなに弱い魔物でも、テイムの魔法で縛っておかなきゃいけないという法律がある。これを違反すると、国家反逆罪と見做されても文句言えねーぞ。』



「へ?そうなの?」



 へー。そうなんだ。つまり?



『つまり、お前は国家反逆罪で逮捕かもな・・・・・。』


 ちょっと含み笑いをしながらどこかへ飛んで行ってしまう。



「はああああああああ!?ちょ、ちょっと待って!ずっと一緒にいて誰も教えてくれなかったんだけれど!」



 とたんにホログラムが消えて、竜使いも走って逃げていく。あいつ!いや、敵に回るよりもいいか。竜はまだ目を覚ましていない。

 僕も逃げようとしたけれど、すでに兵士たちに囲まれてしまっていた。



「え、ちょっと!やめてください。」


 足元にはシャムが丸まっている。

遠く離れた場所にはドラゴンが横たわっている。


「貴様!ルール違反且つ国家反逆罪を犯している事を知っての事か!ここで処断する。」


「ちょ!ま!逃げるぞ!シャム!」


 僕はシャムを抱え、逃げに徹する。王国兵の攻撃を一切受けない、且つ傷つけないように掻い潜る。そして・・・・。


「どうしてこうなったーーーーーーー!」


必死に逃げ纏う事になっている。



右を見ても、左を見ても兵士、兵士、兵士・・・・・・・・・。

出入り口は封鎖され、周囲は頑丈な結界魔法が張り巡らされている。魔物が出ていかないようにする為の魔法だ。どう頑張ろうと、僕の攻撃ではどうしても破れないし、そんな暇がない。兵士に囲まれているんだもの。


「にゃー、にー?(吾輩疲れたが、手を貸そうか?)」


「猫の手も借りたいけど、借りたら兵士さん殺しちゃうからダメ!とにかく『ヒール』。シャム!とにかく逃げてて。この闘技場から逃げちゃダメだよ。」


「にゃー・・・・。(めんどくさいのであーる。)」



 そう言いながらも、僕の腕の中から出て、どこかに走り去るシャムを見て、こちらの対処ができることを確認する。出口がない。兵士を殺したくない。


 兵士の槍や、剣を捌きながら避けていく。けれど、相手も兵士。しかも人数が数えきれないほどだ。




さて、どうしようか・・・・・・・・。

今まで読んでいただいた方々には申し訳ございませんが、この辺りで全体を修正をしていきます。前半が変わっていく所もありますが、ご容赦ください。

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