呪い解呪:前編
今回はフェリドさん、レイフォード君回。
ー奏ー
今日もミスズの家を門前払いされてから、今日はフェリドさんの所へ向かう。
え?ミスズに門前払いされる理由?魔王候補戦の1ラウンド目の後、一緒にお風呂に入ろうという誘いを断りました。だって身の危険しか感じないから。それに、僕はエメリアが好きだ。だから他の女性の裸は見ない。絶対だ。絶対だ・・・・・・・。今日も誘われたけど・・・・。
『奏、一緒にお風呂・・・・・・入ろ?』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。いや、辞めておきます。』
『なんで敬語・・・・なの?』
という風にきっぱり断りました。え?暫く無言だった理由?
・・・・・・・・えっと・・・・・、そう!いい、断り方が思いつかなかったから!結局普通に断りました。
『何となく。それで、教えて欲しい事が・・・。』
『ダメ。添い寝してくれたら考えて・・・あげる。』
『襲わない?』
『・・・・・・・・・・・・襲わない。あ、待って!びや・・・飲み物準備する。』
『帰ります。』
びや・・・って媚薬って言いかけた?よし、もう帰るしかないですね。はい。という訳で、ミスズから全然情報聞きだせていない。因みに親父も瞬きした瞬間縄抜けして走り去るのでどうしても聞き出せずにいる。まあ、今日は昨日縛った上で檻に閉じ込めたのに抜け出されたから、魔力を散らす石があるって聞いたからそれを使用してみよう。
さて、今フェリドさんの家に到着しました。
相変わらず真っ白で、大きな豪邸。だって伯爵家だものね!身分ってめちゃくちゃ良い所。
さて、フェリドさんを呼ぼうか!と思ったら、レイフォード君が屋敷から出て来た。レイフォード君が走って寄って来る。
「奏。待っていたよ。」
「レイフォード君どうかしました?」
「いい加減レイでいいよ。それより話がある。ふぇり・・・姉さんの事についてだ。」
「・・・フェリドさんの事なら・・・・・。」
ぶっちゃけレイ君が何の話をするのか、余り興味がなかった。神妙な雰囲気だったので、どうも何か頼み事をされるのかと思っていた。もし、レイ君が無理難題を押し付けて来るなら、断ろうと思っていたけれど、フェリドさんの件なら自分が出来る事はしようと思う。何度も助けられているし。今回も、ミルの件で助けてもらったし、そのお礼にケーキ作って持ってきたのだ。
僕はレイ君に庭のテラスに連れられる。
「まず、奏、姉さんが何故奏を気に入っているか・・・知っているか?」
「いや、知らないけれど・・・・。レイ君はフェリドさんの心を読んだの?」
レイ君の魔王候補の能力は心を読む能力だった。他国との交渉にはとても有利なので、殆ど伯爵家及び、外交の場には引張り凧らしい。色々魔王候補として活躍しているらしかった。そのレイ君がなんか神妙な顔のまま続ける。
「姉さんの容態は知ってる?」
「容態?何処か悪いの?」
「やっぱり隠していたか。ああ、呪いを受けている。ちなみにロドスの”信仰派”がだけれど。
ああ、勘違いしないでくれ。ロドスは知らない。ロドスの部下は”信仰派”と”子分派”としている。ロドスはこの街のスラム街で力のある奴を集める事でも子分を増やしている。そいつらからすればロドスは神様だ。勝手にロドスに有利になるようにこっそり動いている過激派がいて、そいつらが魔王候補全員に呪いを掛けて回っていたんだ。ミスズさんは魔力でかき消し、僕は事前に察知して実行犯を処理した。けれど、慌ててねえさんの所に戻った時にはもう遅かったんだ。寝込みを襲われたらしく、窓の桟から薬品を垂らし込まれたらしくって、昏睡に陥っている時に付けられたらしい。
え?なんで殺されなかったかって?だって魔王選抜戦は魔王候補5人が集まらないと開催出来ない。つまり殺してしまうとロドスには不都合だから殺さなかったってところだろう。ああ、そうだ。お願いしたい事は絶対に殺すと言われている呪いの解呪。死ななければいいというのは魔王候補戦終了までだから。死ぬ時期は全てが終わる1年後になるんだって。それまで徐々に弱っていく。掛かりつけの医者にも確認してもらったけれど、間違いないよ。
そう、姉さんが奏を気に入ったのはおそらく奏が体から発している”聖域”のスキルが姉さんの呪いの進行を多少緩めているからだと思う。あくまで僕の予想だけれどね。という訳でお願いだ。姉さんを助けてくれないか?お金ならいくらでも払うから。」
「心読むスキルめっちゃ便利ー!僕喋らなくていいから楽ー!そしてお金は要らない。そんなことなら早く言ってくれればいいのに。でも・・・・・。」
「でも?え・・・・。」
「うん、呪いは解呪した事ない・・・。そして出来るかどうか分からない。まあ、やってみよう。フェリドさんの所に案内お願い出来る?」
「うん、頼むよ。でも、この礼は・・・。」
「要らない。そもそも、フェリドさんには借りが溜まっているからね。」
少しでもお礼したくてこうしてケーキ持ってきている訳だし。
「・・・・・そうか。頼むよ。」
「その代わり、出来なくても恨まないでね?」
「ああ、もちろん。俺は出来なくてもともとって感じだ。姉さんは隠そうとしているけれど、頼むよ。」
「うん。頑張ってみる。」
そう言ってフェリドさんの部屋にたどり着く。今日は快晴の空。窓が開けてある。その窓から外を見ているフェリドさんが居た。ちなみにテラスはこの部屋からは見えにくい位置にある。
ノックすると、フェリドさんがどうぞ!という返事が聞こえる。失礼します!という掛け声とともに中に入る。フェリドさんは窓から外を見ていた。
「ん?奏か!そろそろ来てくれる気がしてたから、窓開けてたんだ。どうして玄関から入って来たんだい?」
フェリドさんの様子はいつもどおりだった。けれど、何か不安そうな様子でもあった。尻尾が垂れている。調子が悪いのかな?でもブンブン振っているという事は歓迎してくれているようだ。
「ああ、レイ君に話があるって言われてね。」
「!まさか!」
「うん。聞きました。呪いの・・・。」
「私のスリーサイズがそんなに聞きたいなら直接聞いてくれれば!」
「ちーがーいーまーすーー!」
フェリドさんはスレンダー故あまりそういう発想が無かった。そして聞いた所でその数字がどのくらいを示すのか分からない為、興奮とかできない。
「呪いの件です。」
「奏。私は・・・・奏の迷惑には・・・・。」
「迷惑じゃないです。むしろフェリドさんにはいつもお世話になっているので、恩を返したいと思っているのです。」
「恩?私なにかしたかな?」
「こないだのミルの件も助けてくれましたし、僕とエメリアの里帰りも付き合ってくれましたし・・・。」
「うーん。でも、私は・・・・・その・・・・・奏には弱みを見せたく・・・・ない。(ぼそっ)。」
「僕とフェリドさんの仲でしょう!?その位相談してくれた方が僕は嬉しいです。それよりも気が付いたらいなくなっていた方がずっと辛いし、裏切られた気持ちになります。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
するとフェリドさんは上着を脱ぎ始める。おそらく呪いの場所を見せるのだろう。
お腹を見せるフェリドさんはちょっと妖艶に感じた。けれど、今はそんなこと考えている余裕はない。フェリドさんの真っ白な肌に、赤黒い円の様な魔法陣の様な物が出来ている。それが徐々に広がっているのか、円の中心から円の外に向かって幾何学模様の線がいくつか伸びている。禍々しいそれは命を今すぐにむしり取ると言われても納得出来そうだった。
取り敢えず僕はフェリドさんの呪いに触れてみる。そして探知スキルを発動する。これである程度わかる。でも、これは普通の医者で出来る事。そのまま探知していると、その魔力の管のような物が心臓にまで達しているのが分かった。心臓は魂・魔力に直結する機関だ。つまり、ちょっとずつ魂事態にダメージを与える呪い。しかも、心臓は魔力を自然界から吸収し、自分に合う魔力に変換もしている。この呪いの機動力はフェリドさんの魔力そのもの・・・という訳だ。
もし無理やり解呪すれば、この呪い事態がフェリドさんの魔力を吸収して抵抗するようになっている。つまり、解呪は不可能。そして放って置けば術者の決めた期限きっかりに死ぬ。確かに絶対に殺す呪術だ。
「これは・・・。僕だけではどうにもならないですね・・・・。」
「そ、そうか。やっぱり無理か・・・。」
そう言うと、ドアの向こうで声を聴いていたレイ君がドアを開ける。
「姉さん!」
「レイ。奏に話してしまったんだな。」
「そんなことより、奏!姉さんは助かるんだな?」
レイ君は興奮気味に言う。それはそうだ。文字通り必殺の呪いだから。
「レイ。話を聞いていただろう?無理だそうだ。」
「いや、僕だけ(・・)では無理です。」
そう言うと、フェリドさんは呆けている。
「で、奏、誰を呼べばいい?あ、姉さんの空間魔法のが早いか!」
「ちょ、ちょっと待って。この呪いは絶対に壊せない呪いだ。どうやって壊すんだ?」
「フェリドさん、僕の家に繋げてください。出来るとは限らないので、なんとも言えませんが、多分なんとかなるんじゃないかな?一応僕とあいつとでだけ出来る抜け道があります。」
次回も奏とフェリドさんとレイフォード君とのやり取りです。
ちょっと予告を。
その後、ロドス、ミスズとの話が続いていきます。
予告以上です。




