ミル ゼータ
ー奏ー
ミルの手を引き会議室まで行く。ちょっと手が暖かい!
「奏!事情は・・・。」
「外まで声聞こえてたから多少知ってる。」
「そう、ならなんで家の構造知ってるのかしら。」
「あ、えっと三階って所までしか知らないよ。」
こっそり出た窓を閉める。
「今そこの窓閉めたね。誰も開けてないのに。」
「空いてたんだよ。たまたま。」
「たまたまねー。」
ばれてる?ばれてる?そんなことよりも・・・。
「そんなことよりミルの方こそ大変なことになってるよね?」
「え、うん。まあ、そう・・・だけど。」
「さあて、中で聞かせてもらおうかな?」
「やっぱり場所知ってるんじゃない。」
さっきのドアをノックして即開ける。
「失礼します。」
「んもう!いい加減手を放してよ。」
「あ、ごめん。」
言われて気が付いた。ずっと手を掴んでた。温かくて・・・・つい。
「カナデ!何故ここに。」
「あ、ふぇりどさんもなぜここに。」
「何で棒読み?」
やっぱりフェリドさんだった。そうだと思っていたんだ。どうやらフェリドさんが用事があると居ていたのはこの事らしい。部屋には真ん中にテーブル、左奥にフェリドさんとその手前に侯爵及びその息子。右に女の人・・・・、恐らくミルのお母さんだろう。
「ミル!その人がミルの連れて来たかった人?レーヌは?」
「お母様、レーヌは奏を殺そうとしたから、奏に返り討ちに合って下で伸びてるわ。」
キッと睨んでくる。レーヌなら追い返せると思ったのだろう。
だが、甘かったようだね。
「カナデ、どうしてここにいるんだい?」
「ミルに呼ばれているだけで、ちょっと状況が呑み込めないんです。ミル、説明を。」
「ええ。分かったわ!」
説明をミルに求めると、話そうとする。が、そこに待ったを掛けた人物がいる。
「お前がミルの婚約者なのか?答えろ不埒者!見ない顔だが、どこの者だ。ミル嬢よ、伯爵である私よりそこな男を選ぶか!」
「だから、今奏に説明するから、少し待って頂戴!」
「な!この。」
「ミル!今すぐ謝りなさい!そこの男も即刻帰りなさい。」
フェリドさんは訳知り顔という状態でどうなるのか楽しみに見つめてくる。
「わかりました。」
「奏?」
僕が了承した途端、ミルはびっくりしている。でも、ここからが本題だ。
「フェリドさん、ミル・ゼータを貰っていきますね。」
「ほう、カナデ、それはミルには裏切り者の烙印を押される事になる。死刑だな。若しくは3人以上の魔王候補の承認があればカナデの派閥に入れられるが、そうでなければミル嬢はただの平民。つまり爵位は受けられない。」
「フェリドさん、承認貰えますか?」
「いいだろう。」
なんてイケメンなんだろう。フェリドさんにときめいて・・・・ってそんな場合じゃない。
「じゃ、ミル・ゼータのみ、もらっていくね。」
「は?ちょ、フェリド様、どういう事でしょうか?」
「ゼータ元男爵夫人、カナデに謝罪し、ゼータ元男爵夫人もカナデの派閥に入れてもらわなくても良いのかい?君の娘は貴族として爵位を得た。君はこのままでは爵位は無いも同然だよ。」
ミルとミルの母は貴族(一応)だけれど、ミルと家を分ければ、ミルは僕の指名で公爵に、ミルの母はそのまま爵位無しの状態になる。元々ミルと伯爵が結婚していれば伯爵位を貰えたのに、それが無くなる。つまり今僕が見捨てればそのまま得られたはずの地位が転落する。
その意思表示をミルにする。ミルはそれに従ってくれる。これでミルから待ったが掛かれば考えれたんだけれど・・・・。
階段を下りていく。ミルは僕の手をぎゅっと握りしめる。
「ミル。」
「大丈夫。あの人とは実は血が繋がっていないらしいの。もう私はあの人は知らない。これで清々するわ。」
「そうか・・・。」
そう言ってハンカチを渡す。ミルは手洗に行くと言った。そのまま耳を塞ぐ。おそらく嗚咽は聞かれたくないだろうから。
僕から言えることは無い。ミルとミルの母の問題だから。
家に帰ると、エメリアとエルリアさんが待っていた。
「ただいま!」
「おかえりなさいませ。」
メイドさんが立っていた。その横には縄で縛られたエメリアとエルリアさんと親父の姿が。
「「・・・・・・・・・・・。」」
言葉を失った僕とミルは玄関前で理解をしようと立っていると。
「「「もごごごごっごご!」」」
「お夕食の準備が出来ております。どうぞ。」
「ミル・・・。」
「奏・・・・。」
ミルと顔を見合わせて、もう一度そっちを見る。
「うーん、夢を見ているのかな?」
「かもしれないね。このままベッドに入ったら、戻るかも。」
「むごごごごごっご!」
「「取り敢えずこのメイドさんに逆らうのはやばい!」」
ミルと意見が一致するのであった。
今回は短めで。次回も1週間後の予定です。




