ベッドの下には
男性のベッドの下には、女性に見られたくないものがあるはず。自分はないけれど・・・。
ー奏ー
引き続き、会議が進行していく。
「さてー、どうしましょうか。先ずー、対魔物専門のロドスは魔物ー、一番強いミスズは隣国である帝国の相手ーでいいかしらー?」
「ああ、問題無い。」
「(こくこく)。」
ロドスとミスズは魔王代理の言葉に反応する。
「残るは三人だけれどー・・・。帝国軍の軍勢はー?」
「どうやら1万ちょっとのようです。どうやら隠密行動の様でして・・・。」
「お、隠密で1万・・・。」
魔王代理の質問にレイフォード君が答える。
思わず1万という数に驚くけれど、何故このタイミングなのだろうか?
盗聴器が仕掛けられてたという事は、僕が来たタイミングと何か因果関係があるのだろうか?
「1万ならなんとかなりそうね。カナデ、帝国軍の殲滅をミスズと一緒に行えるかしらー?」
「え?何故そっちに僕が?」
「おそらく一番厄介なのが、帝国軍の軍勢。あなた達二人なら相性も良さそうなのよ。昔から続く魔王候補としては、『魔力担当』と『ギミック担当』は仲が良いのよ。というより相性が良いの。」
「僕達はそんなに相性が・・・。」
「いい。」
「え?ミスズ?」
急にミスズが話に割り込んできた。急だったし、声が小さいのになぜかはっきり聞こえたので、思わず聞き返してしまった。
「・・・・・私達相性は良い。・・・多分お父さん達の時もそうだったもの。」
「お父さん達?どういう事?」
お父さん達・・・。しかも『達』に少しイントネーションを置いていた気がする。髪を左手で掻き揚げながら、答える。ちょっと色っぽいけど、意味が分からない。ミスズのお父さん達って、ミスズにお父さんが複数いたのだろうか?苦労人?
「カナデのお父さんと私のお父さん。私にお父さんは一人。哀れみの目は邪魔。」
「・・・・・失礼いたしました・・・。って!ちょっと待って!ミスズのおt!」
「カナデー!今緊急事態なのよ!静かにしなさい!」
「・・・・・・・・。」
どうやらミスズに色々問いたださなければならない。
思えば急にミスズが僕に恋愛?的にアプローチを仕掛けてくるのはおかしい。
きっと何か理由があるのだと思う。
「フェリド君は東に、レイフォード君が北西の魔物の群れをお願い出来るかしらー・・・?」
「「了解しまいした!」」
レイフォード君とフェリドさんは同時に返事をする。
この返事を見ると、ちょっと軍人という様な単語を思い出す。
「では、カナデだけ出発前に残って、後は出動お願いねー!倒したら次の指示を信号弾で教えてね!」
「「「「了解!!」」」」
魔王代理の気の抜けたような出発の返事に他の四人が返事をする。
フェリドさんが右手を振ってぐるっと一周すると、空間魔法にてそれぞれの方角に空間魔法が繋がる。
そして各々は武器を手に向かっていく。
フェリドさんとレイフォード君がレイピア。
ロドスさんが大きな黒い大剣。
ミスズが丸い物体を周囲に浮遊させている。
何あれ!!!!!また一つ聞く事が増えた。
「カナデ?良いかしら?」
「あ!はい!何でしょう?」
「貴方の能力だけれど、なんで低いのかしら?」
「え?さぁ・・・。」
そんなの僕が聞きたい。でも今更どうでもいい。僕にだって戦闘が出来る。
今のままだって十分やっていけるんだ。それを嘆いたことは無い。
ラスプラスの群れにダンジョンで囲まれた時も、蝙蝠の群れに囲まれた時も。
まあ、攻撃力が無いのがネックだけれど、それも何とか工夫してどうにかなった。
だから、今更何故?と聞かれても・・・。
「もし、本来のステータスが回復する見込みがあると言ったら?」
「試したいです。いやいやいや!僕の回想返してください!!!!!」
あるのかよ!って言うか回復?呪われていたりするのかな?呪い解除の魔法を自分に掛ける。
「呪いは無い・・・・。とすると?」
「『魔王候補』の力が原因ね・・・。」
「え?『魔王候補』あると色々スキル使えますけど、それがいけないの?」
なんだって!じゃあ、このスキルとステータスの二択になるのか?
せっかく地球へ帰る方法の糸口が・・・・。
という事で『スキル』を優先する事を決意する。
「カナデの種族ってなんだったかしらー?」
「え?人間族ですけど・・・。まさか!」
「そうだと思うのー。もし、魔族としてなら貴方はかなりのステータスになると思うわ!なら、貴方が魔族になれば、解決するのよ!」
「魔族に・・・・。」
どうしよう?魔族になれば、チートレベルの力が手に入る?若しくは魔王候補の戦いに敗れれば『魔王候補』のスキルは無くなるから、ステータスが復活する。
目的は魔王になる事。そしてフェリドさんの空間魔法を使用して、クラスの皆を元の世界に返す事。
それが出来る可能性は非常に高い。何故って?さっきミスズは『奏のお父さんと』と言った。そして僕のお父さんは地球に居る。つまり帰る方法があるっていう事だ。そして、帰る方法があれば、その可能性に最も近い可能性が、空間魔法だと思っている。
実は以前クルシュ邸で魔法を覚えようとしたのは、転移魔法を真っ先に覚えた。クルシュさんが準備をしてくるとか言っている間に魔法の書を読んで(何故読めたかは分からないけれど)思った。
転移魔法は転移先にも魔法陣が無いと出来ない。つまり、地球に転移先が無い。あったとしても、知らなければ転移出来ない事に気が付いた。
それに対して、フェリドさんの空間魔法はどうやら、移転先のイメージがあれば行けるらしい。
そこで、スマホにて写真を見せた時に試してもらったけれど、ゲートを開く事すらできなかったらしい。
この世界の風景を写メで撮ってみせたら、クルシュ邸につなげる事が出来たのに・・・。
「・・・・・で・・・・・・・・・・・、か・・・で!」
以前の魔王ならできたのだろうか?前勇者であるクルシュさんに聞いてみたら・・・。
ん?気になるといえばクルシュさん。先代魔王と勇者は死んだって・・・。
ならなんでクルシュさん生きてるの?
すると急に魔王代理が体を揺さぶっている。
「かーなーでーーーー!!!」
「わっ!」
急に声を掛けられてびっくりした。しかも結構ゆさぶられてて。
・・・魔王代理の服・・・。少し胸元が開いていて、目に毒だ。
魔王代理の目を見たら、瞳が青から赤になっていた。
「緊急事態ですー。私の胸に見とれているおバカさんには魔族になってもらいましょう。」
「きょ、拒否権は?」
「ありません。」
と言いながら、離れていく。
あれ?何もしない?と思ったその時・・・・。
「あ、あが!あがん!ごれば!!!!!!!」
あかん!この激痛は耐えられるレベルをはるかに超えている!
洒落にならないほどの激痛が体中を襲う。
そのまま周囲が真っ黒になる・・・・。
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ーエメリアー
「あ、あが!あがん!ごればあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
急に魔王の部屋から奏の悲鳴が聞こえる!
奏のベッドの下にあった魔導書の中身を見ていた私は奏の悲鳴でただ事ではないと感じて、魔王の部屋に飛び込んだ。
重い扉が開くのがかなり億劫だったけれど、魔王候補か魔王代理がなにか奏をいじめる事があれば私が許さない。
扉を開けたそこには、二人しかいなかった。椅子に座り直す魔王代理と床に寝転がり、気絶している奏の姿があった。
「あ、竜人族のー・・・。お、落ち着きなさいー!これは、カナデの為なのよー!」
「カナデの?とりあえず奏は大丈夫なのかしら?」
きっ!と睨むと、少し怯んだ様子の魔王代理。
でも流石、現在の国のトップ。直ぐに冷静さを取り戻す。
「ええ、暫くすれば・・・。ほら、もう終わりよ。後は叩き起こせば・・・・。こほん。目覚めるのを待っていればいいだけ・・・。分かったわよー。説明するから、殺気を飛ばすの止めて頂戴なー。」
奏が大丈夫そうだというのは、呼吸が整っているから分かる。
でも何故、こんなことしたのかが分からないわ!
「カナデのステータスが低いでしょう?」
「ええ。」
「それは『魔王候補』能力が・・・。」
かくかくしかじか・・・・・・・・・・。
緊急事態だから仕方が無かったと・・・。
「・・・奏は了承しなのよね?」
「い、一応は乗り気だったと思う・・・わよ?」
「・・・・・奏の反応次第ではあなたの敵になりますよ?」
「・・・・・・・・。」
今の状況。この女を殺したい。けれど、奏の立場がある。
奏が起きてからでもいいかもしれない。
そう思っていると、うう、とうめき声が・・・・。
「奏!」
「う、・・・・・え、エメリア・・・?」
「よ、よかったー。」
息は安定していたけれど、10分位何も無かったので、びっくりしちゃったわ。
「ちょっとエメリアさん。事情説明願えますか?」
「それを魔王代理に・・・。」
「じゃなくて、右手・・・・。」
「え?」
ベッドの下の魔導書の中身・・・・。
思わず後ろに隠す・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「あ、カナデ、なんでまた気絶するのよー!ちょっと私の正当性!正当性を説明してからにしてよー!」
魔王代理がなにか言っているけれど、二人ともそんな余裕がありませんでした。
一応、魔導書に隠していたのは、エロ本ではありません。




