模擬戦
模擬戦。
エメリアの戦闘スタイル確認:エメリアは小刀を刀と同じように扱っています。『風の鎧』を纏う事によって防御力が物理、魔法共に上がっております。と言っても、圧縮空気を身に纏って、循環させているだけです。移動にも風の援助を受け高速で移動出来ます。
ー奏ー
位置を把握されたフェリドさんはもう一度空間魔法で逃げ出す。距離を置くつもりなのだろう。
「くっ!」
フェリドさんは僕が居た場所から5メートルほど離れる。本当だったら一旦距離を置のにはいい距離だと思う。僕相手でなければ・・・。
「な!」
「隙あり!」
「・・・・降参だ・・・。」
僕はフェリドさんが空間魔法で飛ぶ場所にナイフを持って首元に突き付けていた。
フェリドさんの先回りする位置をしっかり把握しておけば全く問題無かった。え?どうやって先回りしたって?
「姉さん・・・。すみません。僕の能力を使われたみたい・・・。」
そう、小手に能力やら、魔法を反射する能力を付与してある。つまりそれをフェリドさんに当てる。それは僕では読めないけれど、この反射の能力によってレイフォード君の思考は読める。つまり、僕はレイフォード君が使った能力を反射してフェリドさんの思考を読ませ、それを僕が読んだ事になる。
面倒な説明をしなくていい。つまりめっちゃ便利。最近輝との会話は顔合わせるだけで済んでいたから楽なもんだった。またこんな便利な人いたら、近寄りたくなるな・・・。
「気色悪いこと考えないでくれないか?カナデ殿・・・。」
ほら便利。
「後はレイフォード君だけね。」
エメリアはやる気になっている。それは嬉しい。嬉しいんだけれど・・・。相手は魔王候補。その辺の人よりめっちゃ強いと思う。かと言ってエメリアは忘れがちになるけど竜人。・・・のハーフ。
魔力量は遥かにエメリアの方が高い。
「僕も舐められたものだね・・・。」
エメリアはレイフォード君に風の刃で出来た刀を向ける。対してレイフォード君もレイピアを構える。
「や!」
「な!ふん!」
エメリアはレイフォード君に剣で突進した。だが、レイフォード君が瞬きをした瞬間だったので、反応が少し遅れてしまった。瞬きもだけれど、人には意識の間隙が存在する。
その間隙を使用する事で、相手は早い攻撃に見える。あくまで相手依存の技だけれど、決まれば大きい。
だが、流石に魔王候補。何とか撃ち合いの内に体勢を整える。
「レイはレイピアを使わせると、私の次に強い使い手なんだ。」
「へーそうなんですね!かなり達人の域に達していると思っていたけれど、そうなんだー・・・。」
フェリドさんの返事に納得する僕。
そんなエメリアとレイフォード君との剣での勝負にフェリドさんの感嘆の声が上がる。
「しかし、流石竜族。エリは凄い剣技を使うね。こんな剣技見たことはない・・・。まさかかなでの入れ知恵かな?」
「正解です。ふぇりさん!」
「エメリアは戦いに集中して!」
「カナデもまだ戦闘終わってないだろう?」
入れ知恵って・・・。なんか悪い事教えているような・・・。
エメリアとレイフォード君の戦いは膠着状態。
レイフォード君はエメリアの攻撃をなんとか掻い潜り、エメリアに攻撃するが『風の鎧』を破れない。
エメリアはレイフォード君に攻撃しているが、攻撃を全て読まれて避けられるかレイピアで弾かれる。
エメリアは風の鎧が無ければ瞬殺されていただろう。逆にレイフォード君はエメリアの攻撃は全て避けれるが、それゆえに火力を一点に集中出来ない為、風の鎧を貫けない。でもおそらく・・・。
「おそらく、気を抜いた方が負ける。それまで、お互いに決定打はなさそうだね。」
「でも、四人ともまだ誰も本気出してないですよね?」
「・・・・。」
そう、誰も切り札を出していない。エメリアに至っては、風魔法を駆使すれば動きを止める事は出来るかもしれない。でもそれはしなかった。それは、エメリアに暫く剣技を教える代わりに、魔法を一時的に使用を禁じた。あれは協力だけれども、多少は苦労しないと、剣技の熟練度上がらないしね・・・。
決着がつかない・・・。と思っていたら、思わぬ所からこのバランスが崩れた。
「わ!」
おっちょこちょいのエメリアが石畳で少し滑ったらしい。(宿場の店員が花壇に水やりするのに少し零したもののようだ)。
そこに隙が出来たと思い、レイフォード君は攻める。がそこでエメリアを見失ったようだ。
エメリアは『風の鎧』を足の部分だけ暴発してしまい上空へ飛ぶ。そして直ぐにレイフォード君の真後ろに降り立つ。だが、それでも対応できるのが、レイフォード君。フェリドさんに引き続き2番目のレイピア使いなのが頷ける。
・・・が、しかし、エメリアは後ろには居なかった。気づいたら真横に居て刃をレイフォード君へ突き付けていた。その零コンマ零数秒の誤差でレイフォード君はエメリアの首にレイピアを突きつける。
「う!」
「は!」
お互いがお互いに剣を突きつける。エメリアは先ほどの移動によって『風の鎧』がほぼ消えていた。
レイフォード君の剣を避け、レイフォード君の真後ろから真横に飛んだのは、どうやら『風の鎧』を破壊しつつ、その爆風を体に受けて対応仕掛けていたレイフォード君の更に死角に飛んだつもりだったのだが、そこはレイフォード君の読心術により、2本目のレイピアを抜き去っていた。
「どうやら引き分けのようですね!」
「悔しいけれど、そうみたい・・・。私の剣ではまだまだかしら。」
お互いいい勝負だった。レイフォード君の武器が二刀流だという事も、結構動けることも収穫だ。
まあ、僕は武器すら抜いてないけれど・・・。そしてエメリアが『かしら』とかいうのは親しくしていない人に使うという事に気が付いた。
「まさか、風の纏ったあれで、移動してくるとはね・・・。」
「咄嗟だったけれど上手く行ったからよかったわ!」
お互いに称え合う。そのまま握手するけれど、そのまま恋に発展しないよな・・・。
「ん?それもいいかもね。僕がエメリアさんと恋仲になれば、姉・・・フェリドさんがカナデにアタック成功率が上がるから。もちろん僕もエメリアさんみたいな女性は大歓迎だし。っと煽りすぎたね。ごめんごめん。」
エメリアは顔を少し赤くしてこっちを見て来る。そして、何故か驚いてビビってる。
「カナデ、そんなに殺気を放ってレイを睨むな。私が傷つくだろう?」
「あ、え?そんな殺気放ってました?」
フェリドさんは恋愛的にアタックの成功率が0%と言われた気がしたのだろう。
でも僕はつい殺気を放った事に驚いていた。どうやら、嫉妬していたらしい。
「え?奏・・・?」
「ほうほうほう。お熱い事でして。」
く、こいつワザとだな!からかってきた事に気が付いたけど。
これ以上は反論できない気がしたから、話題を変える。
「そういえばさっきからレイフォード君はフェリドさんの事姉さんと呼んでましたけれど。」
「ああ、私はレイの姉だ。同じヒースと名前だろう?」
ええええええええええええええええええええ!
「あ、やっぱりそうだったんですねー。」
すみません男だと思っておりました。
「「嘘ね(だ)。」」
エメリアとレイフォード君にはバレバレでした・・・・・・・。
その時カンカンカンカン!という鐘が鳴る。
これは魔王候補集合の鐘だ。
何かあるのか?嫌な予感を抱えた。
次回は少し展開が変わり、ゆっくり進行していきます。




