領主2
ー???ー
子供の頃、銀髪が嫌いだった。
私は小さな国の王族だっただった。
それでも平和と呼べるのどかな場所だった。私がいた世界。奏と輝と出会った世界で言うとバチカンみたいな規模の国。だからこそ、国民の顔は皆お互いに知っている。
私達の国はとても小さい国...だった。
だから国の中に学校は一つしかなく、子供は皆そこに通っていた。
「わーい!白髪だ白髪姫ー!」
「し、白髪じゃなくて銀髪!」
王族だった私たちは皆銀髪だった。王族とか平民とか関係の無い子供にとっては皆平等だ。だから...。
「おばあちゃんと同じ色!おばーぁちゃん!」
「こ、こらー待ちなさい!違うってー!」
「ははは、いつもーーーちゃんも、家の子も元気だなぁ!」
「んもう!おじさん!」
私は同じ学校の男の子にからかわれていた。っていうか近所のおじさん!さっきの回想返して!
私達の国は皆家族だったの。学校の友達は銀髪でからかって来た。
それが日常だったの。
だけど、当時は嫌だった。ううん、今もだけれど。だって銀髪は覇王と同じ色だったから。
そしてそんな王族だからこそ、魔族狩りが行われて....。
小さな、暖かかった国は滅んだ。リリー王国。
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ー司ー
司は一部始終を見ていた。司は赤い髪を手櫛で整える。
アマリリス領主。王族の分家にあたる。
昔リリー王国と親交があったらしい。
アマリリス領主は地図を取り出した。地図と言っても光魔法を駆使した地図だけど。
「これは光魔法の一種じゃ。」
「おおー!」
アマリリスの魔法に皆驚く。自分を除いて。
「我らアルマリア王国は五つに分離しておって、儂...私が納めるのは一番南に位置するアマリリス。そして今お主らがいるところでもある。」
大陸の一つの国の中に一つ国が浮かび上がってきて、その場所の中に赤い点が浮かび上がる。どうやら私達はアマリリス領地内の領主宅にいるらしい。私は複雑な心境だった。もしかしたら・・・・・。
私もどういう経緯でここにいるのか分からないけれど、いい人達みたいだ。だからこのまま私の出身について触れられないようにしよう。
魔法。魔法とは空気や大地からマナを体内に取り込み、魔力として体の中でマナを練り込んで、体外に放出する事により発現出来る奇跡の神業。魔方陣での発動も可能で、こちらは魔術って言われてる。普通に放つのと、魔方陣との違いは、詠唱を用いるか、魔方陣を書くかに別れている。だからどちらが優れているということは無い。一長一短ね。ただし一部だけれど、魔法しか使えない物やその逆もある。
また魔法には得意属性というのがあるの。得意属性は詠唱の方が早くて少ない魔力で高火力。魔術は得意属性に偏りが無い事が知られている。だから魔法を基本的に使い、相手の相性が悪かったりしたときに魔術を使うのがスタンダードな魔法使いの戦闘ってことになっているの。
得意属性は個人個人分かる方法があって、空気中のマナが髪に反映して髪が変色しているの。マナが無かったあっちの世界からこっちの世界に来たから皆髪の色が変わったの。
奏の髪の色は白。得意属性は無し。一度やり直してみたのだけれど変化は無かったわ。奏の助けにはならなかった。
また私は奏を....。友達を...救えないの?
司視点