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ヒーラー奏の立位置は?前衛です!  作者: 梅花 零度
異世界転移
29/118

『現況改善』

前回が奏覚醒?


ークルシュー


奏がいなくなってから、2カ月がたった。

今現在転移組は10人しか活動しておらん。


他の者は皆別の職業に転職し、安全な仕事をしておる。

そんなこんなであるが、ダンジョン組は魔法の仕組み等を覚えておる。


「・・・であるからにして、魔法とは体から魔力を練って魔法という形にする。」


わしは説明を続ける。


「それに対して魔術とは術式を書き込んだ模様にマナを注ぎ込む技術じゃ。こっちは才能が必要ない代わりに、魔法陣を書けるようにしなければならない為、使えるようになるには時間がかかるのう。」


かりかりと筆を走らせる音が鳴り響く。

そんな中で・・・。


「先生!つまりどっちも使えるようになればいいんですね?」


「お、おお!使えるよになればの?使えるのかえ?」


ヒカルだ。期待して言ってみた。なにせ一日で使いこなした奴がおるからのう。初級魔法ではあるが。


「はい!先日教えて頂いた、連結の魔法を。」


そういって輝は筆とノートを机の上でくっつけ、魔法陣を書く。ちょうど割印のようだとヒカルは言っていたな。その文化、即取り入れたのじゃが。

ヒカルは机の上で引き離し、筆とノートから手を放す。すると筆が転がり、ノートの方へ吸い寄せられ、割印の様になった魔法陣がくっつく。


「うむ、成功じゃ!」


「よし、やったぞ!」


喜んでいるのー。改めて教師という職業に老後やってみてもいいかもしれない。


「そういえば、奏もその術式を1時間でマスターしておったのー。」


「!そうなのですか。」


「そういえば、お守りを作成しておったな。その術式をなんか利用するとかなんとか。」


「クルシュさん!!!!そこ詳しく!」


「む?」


奏が魔法陣の片割れづつを紙に書いて袋に詰めていた事を教える。


「それだ!」


ヒカルはポケットからお守りを出す。


「おお!それじゃよ!」


「手の平に乗せたお守りが少し移動するのはそういう事か!つまり奏がいる方角が分かる!」


「なるほどのう!お守りと見せかけて、自分のいる場所を知らせれるという事かのぅ!!


「輝!行けるかもしれない!」


「ああ!今度こそ奏を助けに行こう!」


授業中だということを忘れて、ヒカルとツカサは騒いでおる。

が、方角さえ分かれば、探索は可能。つまりダンジョンのどこにいるのか、わかるという事。

だが・・・。


「今日はもう夜になる。準備もあるから明日にしなさい!」


「そ、そんな!今にでも奏が危ない目にあっていたら!」


駄々をこねるツカサを窘めなくてはならない。年長者として。


「駄目じゃ!そんな事は・・・」


「きゃーーーーーーーーーー!」


と思っとったのに急にツカサが叫び出す。


「どうした!司!!」


ヒカルが直ぐフォローに入ろうとする。


「あ、ううん。大丈夫。奏・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・・・司。奏になにがあった?」


「・・・・・とっても悪い事が起きた気がするの。奏に掛けてた私の能力が発動したから。」


「司の能力?それは・・・。」


「ごめん。それは言えないの。でも、奏なら大丈夫。きっと乗り越えてくれるから。」


やはりのう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




*********************************





ー奏ー


「私。いくね。」


エメリアが去っていく。


「え?」


訳が分からない。

今さっきエメリアの村にいたのに、洞窟に居る。

後ろには泉がある。神聖の泉だ。


「うわあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「!奏?かなで!どうしたの?」


思わずエメリアを抱きしめる。


「・・・・・い、生きてる・・・。」


「!ちょ!奏?失礼な!私死んでないわよ!それより、速く村に行かなきゃ!」


「駄目だ!君の村人が太刀打ちできなかったんだから、絶対にダメだ!」


「え?見てきたような言い草ね・・・。確かに私が行っても何もないかもしれない。」


「なら逃げよう!今から行っても間に合わない。」


「駄目よ!例えなにがあっても村を見捨てたり出来ないわ!止めないで!」


俺は何か説得できる事は無いか必死に頭を巡らせる。

周りを見回す。

泉に映る自分の姿が映る。


黄色い靄が映る。

自分はあの時普通に動く事が出来た。

竜人は動く事が出来ない。エメリアも例外ではない。

何もされてないのに動けないのは。

黄色い靄があるから・・・。

つまり・・・。


「エメリア!エメリア達竜人族って麻痺とかの状態異常に弱かったりする?」


「まさかここで麻痺らせるつもり?そうはいかない・・・・。」


「泉でエメリアが見たものは何?早く!時間が無い!」


「え!?えと、村人皆動けなくなって倒れてて、ベティーおばさんが殺されてしまう所。」


「麻痺という可能性は無い?」


「あ!」


「良し!一緒に村に行こう!」


「でも・・・・。」


「俺がいれば麻痺は解除出来る。」


「そっか!それがもし原因で皆やられるのなら!」


「俺がどうにかしてやる!」


それから俺たちは行動が早かった。

エメリアが魔法をぶっ放し、俺が魔力を即座に回復していく。


エメリアが風魔法を詠唱中、若しくはブレスを吐いている時は、俺が前衛でモンスターの攻撃をいなして行く。ノンストップで。


3時間位で洞窟を抜ける。


「奏!凄い!あっという間!」


「それはこっちも同じさ。それよりもやっぱり黄色い靄が掛かってる。これはやはり麻痺の霧で間違いなさそうだね!」


「うん!で、どうするの?」


「まず、魔族を排除しながら竜人の麻痺を解いて回ろう!純粋な戦闘力なら竜人が上だろう?」


「戦力回復ね!分かったは!」


「まずはあっちだ!」


10歳くらいの子供が倒れてて、魔族に襲われている所だった。


「はー!」


エメリアは石ころを投げて、風魔法で加速させる。

しかし、刃ではじかれる。隙は出来たけれども。


そのうちに俺はそいつらに接近する。

接近に気が付いた魔族は刃をこっちに向ける。


こっちに刃を振って襲いかかってくる。


「き、貴様ら何故動ける!」


刃を握るその手を払い除け、あごに一撃入れる。あごの骨と首との間に親指を突き立てると、動けなくなる。その隙にナイフを蹴って遠くに追いやる。


魔族がもう一本のナイフを出して来るが、時すでに遅し・・・。


「せいやー!」


エメリアが接近してナイフに風を纏わせて腕を切り裂く。

これは俺がやってみて?って言ってやったら、意外に高威力なのでエメリアも気に入っている攻撃の一つだ。ただ、最初に風を集中するのに10秒も掛かる為、誰かと一緒でないと使えないのが珠に傷ではあるんだけれども。


魔族を制圧し、やられていた少年に声をかける。


「大丈夫か?」


「に、人族?エメリア?」


絶賛混乱中。


「マセル兄、動ける?」


「え?あ、ああ!動けるようになった・・・・。」


「兄!!??」


今度は俺が絶賛混乱中。


「ほら奏、次!」


「お、おう!」


次へと駆け出していく。




*************************************


ーエメリアー


奏は凄い!洞窟でいきなり泣き出した時はびっくりしちゃったけれど。


普通3日かかって攻略する洞窟がたった3時間程度・・・・。


しかも、村の皆を次々麻痺の霧から救いだしてる。


ベティーおばさんも救いだしてくれたし。あのまま奏を連れて来なくていたら、私も動けなかったかもしれない。


村の皆が麻痺から解放され、戦力として押し返し始めている。


このまま行けば、相手を倒せるかもしれない。

皆を殺そうとしていたのだから、それ相応の報いを受けなければ・・・。



そう思っていると・・・。


「俺たちの村に入ってただで帰れると思うなよ!」

「俺たちが麻痺から解放されたから、お前たちに勝利は無い。覚悟しろよ!」


皆同じ気持ちだ!奏のお陰でなんとかなった!


「それを言っちゃいますか・・・・。」


「どうしたの?奏?」


「フラグ立てやがった。」


「フラグ?」


ボシュ―!っと前方から紫色の煙が襲い掛かってくる。


「な、毒の霧!これまさか!」

「魔族だけじゃないのか?まさか闇竜族まで手ぇ貸してるっていうのか!」


毒々しい霧の向こうから、ドラゴンが飛んでくる。村の誰かが叫んでいる。


「あらら・・・。」


「すごい!奏直ぐに分かったの?」


「いや、フラグ立っていただけですまる。」


「と、とにかくあれをどうにかしないとね!」


毒の霧は奏がどうにかしてくれるとして・・・・・。


竜人族対竜人族は避けては通れないようね。


「皆!いっくわよー!」


「おお!エメリアがいれば怖くない!」

「エメリアさん、勝利の女神!」

「結婚して!エメ・・・ぐふっ。」

「我々エメリアファンクラブの存在を忘れたわけでは無かろうて。」


「奏、ファンクラブってなに?」


「突っ込んじゃ負け。突っ込んじゃ負け・・・・。」


皆訳分からないけれど、こちらも攻撃を開始する。


この戦いが後に世界が動く大事件になろうとは・・・・。誰も思っていなかった。


次回、竜人族VS竜人族


次回はおそらく1週間後です。

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