戦闘開始
囲まれてます。
イメージモン○ンのディアをイメージしました。
-エメリア-
無謀とはこの事を言うのだと思う。
私は何てバカ何だろう。
ラスプラス。黒いドラゴンが狭い洞窟で生きる為に飛ぶ事から走る事を最優先に進化してきたモンスター。私達龍人でも恐らく10体の相手で精一杯。それも成人した大人の硬い鱗でなんとか。それが10倍以上。龍人10人は最低居なければ倒せない!無理。
私が絶望しているとあの子が手を引っ張る。何も出来なくなった私を引っ張る。何とか付いていくので精一杯だった。
「エメリア!敵は君を狙わない。だからブレスと魔法で一体づつたおしてくれ!」
一体づつ倒す?そんなの。
「む、無理よ!あの数は無理!ここで死ぬしかないわ!」
あの子がなにを言っているののか分からなかった。多分戦力の差が分かっていないんだわ!
「大丈夫!俺があいつらの目を引き連れる!だから頼む!エメリア!君が!君だけが頼りなんだ。」
引き付ける?一瞬で殺られて終わりじゃないの!
「...無理...よ。あんたのステータスで何が出来るの!」
「敵を引き寄せる事。全職業の中で一番モンスターから狙われるのがヒーラー。だから大丈夫!君にモンスターが襲う事は無い!」
そうかも知れないけど、絶対にあの子が死んだ光景しか創造出来ない。
「その前に貴方が...。」
「そう思うのならブレスで少しでも敵を減らしてよ!大丈夫!」
そしてあの子が敵の方を向いて言った。
「全ての敵は俺から目を反らせられない。」
その言葉は、去勢でも過信でも無かった気がした。
それでも信じられなかった。魔法が使えず、一日学んだだけという魔方陣を使ったとしても、一階層のモンスターでさえ苦戦し、一度攻撃を受けてしまえば、吹き飛んでしまうのに。
それでもあの子、奏は前に進む。自分はここで怖じ気づいていると言うのに。
「どうして!どうして貴方は戦えるの?」
「必ず勝機があるから。それにこれは勝てない戦いではないから!」
勝てない戦い?分からないわ!勝てるはず無い。そう、叫ぼうとしたとき、一匹があの子に突進する。
「かなでーー!」
土煙に紛れ、あの子の姿が消えた。
「だめ!かなで....。」
あの子が、奏が死んだ。次は私...よね?
明らかに私に向かって突進してこようとしている奴らがいる。
そう思っていると、モンスターがいきなり方向を変えた。
「『ヒール!』」
どこからともなく奏の声がした。
そんなわけ無い。と思いつつもラスプラスの大群の方を見ると奏が立っていた。しかし、奇跡的に回避してもこれだけの手勢。同時に襲われては生けていられる筈がないわ!
でも現実的に全てのモンスターが奏に向かって突進をする。けど...。
「『ヒール!』」
「か、奏?」
気がついたら、ヒールを受けているのは全て私だった。つまり奏は自分にヒールをする必要が無い。ということ。だって私はヒールが必要としないほど回復しているの。つまり奏はモンスターを集めるだけの為に私にヒールを。
『そう思うのならブレスで少しでも敵を減らしてよ!』
奏はそう言った。つまりタイムリミットが有るのかも知れない。
もうやることは決まった。いえ、初めから決まっていた。そして心も立ち直ったわ!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ー奏ー
どうやらエメリアは恐怖で硬直しているみたいだ。
だから何とか立ち直ってもらわなければ、俺だけでは火力が足らない。
でもあのまま説得していても、二人とも串刺しになるだけ。
エメリアが立ち直る事に掛けて敵に突っ込む。
先ず右斜めから来た敵をフェイントを混ぜ回避する。
周りを見ると一体エメリアの方向に突進モーション。
すかさずヒールをエメリアに掛ける。これでさっきの一撃から逃れられたと言うメッセージにもなるかな?
ヒールの効果で敵は全てこっちを向いた。正直怖かったけれど、勝機は有るのかも知れない。
先ず広い空間といっても俺目掛けて来るなら全モンスターの攻撃が届く訳がない。仲間が邪魔なのだ。仲間かどうかも分からないけれど。
次に三体の攻撃をいなす。
角と角が衝突した金属音に似た音があっちこっちから聞こえる。
どうやらこいつら敵に突進する事しか考えられないらしい。つまり見方に角が当たっても気にしないのだ。なら回避し続けるだけでかなりのダメージが入るだろう。気休めにしかならないだろうけど。
しかし早くエメリアに戻ってもらわないと、集中力が切れたら終わり。体力も心もと無い。
もう一度ヒールでエメリアを鼓舞する。駄目かも知れない。
またモンスターが角を振るい襲って来る。しかしもうそのモーションは読めた。思考も単純。なら行動予測も出来る。俺は一体の足の下に潜り込む。すると他のモンスターに突き刺され倒れる。その隙に次のモンスターの角に乗り、攻撃を誘う。
次々と回避する。しかし、エメリアの攻撃が来ない。
タイムリミットも考える。後、おおよそ持つのが15分。1体倒すのにどれだけ時間が掛かるかわからない。けれど、1分で10体を倒すとしても、10分は掛かる。1分で10体でも厳しい。そろそろ倒し始めないと本当にヤバイかもしれない。
すると、急に巨大な魔力が動き始めた。
巨大な風の塊が俺から離れた一団を凪ぎ払う。どうやらかなり大きな溜めが必要なブレスみたいだ。
今ので1割ほど倒せたかな?
「エメリアナイス!」
「待たせたわね!」
よし、これから反撃開始だ!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ー輝ー
俺は司と元の位置迄戻っていた。あの扉は壊れていて簡単に乗り越える事が出来た。
由利子先生にも領主にも言わず出てきた。
「輝!何とかあそこの大岩切れる?」
あそこの大岩とは、大穴に塞がっている大岩。血が大量にあったそこには何故か血が1滴すら無い。どうやらダンジョンには血を分解する微生物やらがいて、血は数時間すればおおよそ消えてしまうとか。ただし、死んだ人、動物、魔物の血に限ってだけれども。
何か頭に引っ掛かりを覚えた。しかし今は奏が生きている可能性が先。
先ず大岩の上部を剣で切り飛ばす。岩の真下にいる可能性が有るので、重量を先に削る。お椀形にして軽くなった所で持ち上げてみた。
「ひ、輝ってどんどん化け物じみて来るわね!」
「今それ言う?それに奏の為なら化け物になってもいー」
「まさかのこっちとは。」
「ちっがーう!」
司は手のひらを口の横に持って行って、オネエのポーズを取る。司のからかいは少し鬱陶しかったけど、肩から少し力が抜けた。
手に持つ岩を放り投げ、下を見ると大きな大穴があった。
「!こんな大穴が!」
「奏は落ちたって事かしら?」
「そのようね。」
不意に後ろから声がかかる。そこには由利子先生と黒木先輩、南、近藤がいた。
「ど、どうしてここに?」
「貴方たちを追ってきたに決まっているでしょ?」
どうやら由利子先生と皆は心配で追ってきたらしい。俺の爆走に付いて来れる速さは流石だ。
「この穴から奏先輩は落ちたって事なのね?つかちゃん先輩!」
「ええ、そうみたいよ!」
「...なら速く助けに...。」
「この大穴からどうやって戻って来るのかしら?それにこの穴の高さで奏君が生きている...可能性は....。」
近藤の最速に由利子先生は待ったを掛けた。生きている可能性が無いと思って涙がまた出てきたみたいだ。
「奏には能力浮遊があります。高い所でも地面30センチの所で浮遊が発動して生きている可能性が高い!」
「なら!」
司は直ぐにでも行こうとするが...。
「こっからどうやって戻って来るか...だ。俺は空間を踏んで空を飛べるからいいけど。抱えられる人は一人。」
「一人づつ運べば!」
「下には俺の全力でやっと相手になるモンスターがうじゃうじゃしているのに?」
「う!?」
皆この救出作戦の難易度に引く。
最後の二人は一人運ぶ間一人で敵の真ん中に居なければならない。
「す、すると高枝君も駄目よ!君で手に終えないなら....。」
「避けて全てを置き去りにしてしまえばいい!」
由利子先生にそう答えて、穴を見た。早速『光翼』で穴に向かって飛ぶ。
「ま、待ちなさい!高枝君!」
「輝!貴方最初から置いていく積もりで?」
全てを置き去りにして穴底に向かう。奏の心配だけが輝の頭を占めていた。
戦闘表現下手ですみません!