ヒール
浮遊....。30センチ浮くだけの能力。何の役に立つのだろう?そら!高い所に有るものとか?回避とか?
うーん、悩む!
「輝!何か良いこと思い付いたか?」
「え?何も。」
「そうか...。」
そう言いながら輝の手元の紙に漢字で『聖剣光神』と書かれるのを見ると........。
「ふんぬらばー!」
「あ!こら!奏!紙破るなー!あああぁ!」
「ふぅー!スッキリ!」
「おい!」
そんなこんなやり取りを輝とやっているけれど、由利子先生はじっとこっちを見ている。
どうやら今回の能力を見て判断材料にする積もりでいたみたい。叫ばず黙っておけば良かった!いや、無理かな?
っておい!ひかるー!無理やろってなんだよ!え?ムリナンテオモッテナイヨ?ホントダヨ?
上級冒険者っぽい人は順番が終わったのを見回した。
「皆終わったか?終わったら紙は見られない様にしろよ?よし!」
そう言い解説を続ける積もりの様だ。
輝は名前位覚えろ!の様な目で見てくるが無視無視。
「では、皆プレートの裏側を見てくれ。そこに今書いた文字が浮かび上がっているはずだ。」
裏を見ると『陰鉄浮遊』と浮かび上がってきた。
何かワクワクしてきた!能力がこれでなければ....。
「では、表の能力表示を見てくれ。アビリティー等も追加されているはずだ。」
んん?スキルが追加?
「ひか...」
「プレートの表の文字をなぞって、ステータス出したら、名前をタップ。そこに自分が使えるスキル、スキルポイント、アビリティー習得の場所になるよ。」
ほう!言葉要らずは楽だなぁ!さてやってみようか!
僕は先ずプレートの文字をなぞり、プレートの上に光の窓(パソコンで例えました。)に自分のステータスが表示されるのを確認。何故『僕』だって?だって自信無いもん!
プレートに自分の名前を表示したら、名前をタップしてみた。と言っても感触何て何も無いに等しい。それっぽい所に指を持って行っただけだった。
それでも反応してくれた様だ。目の前に30センチ真四角の窓が開いた!
「うわ!」
「開いたか?自分にしか見えないから安心してよ!因みにアビリティーは...」
「探知!鑑定!とか?」
「......昨日洞窟にいた?」
輝は探知は取るべきだ。且、鑑定はオススメ。
そう言う積もりだったみたいだ。
後、回避率アップ(小)、MP高速回復、オールヒール(微)を取った。微って少しだけ回復か?
どうやら昨日図書館で習得したヒールに補正が掛かるらしい。クルシュさんの秘密の部屋で見た聖域というスキルだけは何の事かわからなかったけれど・・・・。
最初から凄く気になっていたのだけれども。スキルmって何?マゾになる?全く分からなかったから放置していたけれど。今明らかに!
ユキチ カナデ Lv:1
適正職業:ヒーラー
HP:12
At:1
Gp:50
Ma:8
Mg:7
Sp:8
スキル:ヒール強化Lv1 mLv0
発動アビリティー:
ヒール強化 ヒールの効力を+1。自分以外にも適用可能
オールヒール(微) ヒールが全てに適用。強化される
鑑定 指定した物を鑑定する。レベルに応じて鑑定出来る幅が広がる。
探知 魔力により周りの状況を把握する。
??? ?????????
陰鉄 鉄が使える
浮遊 地面から絶対30センチほど浮く事が出来る。
ならなかった。明らかにならんのかい!なんだよ!???って!バグってる。
お、おお!何か意味わかんない。陰鉄。鉄何て誰でも使えるやん!そもそも使えるってなんなん?錬金術か何か?これはおいおい実験せねば。
浮遊ってそれだけ?それにしてもまんまやん!皆のスキルも2つに分かれとくのかな?
防御微妙に上がってる!これも陰鉄の隠し要素かな?
「どうだった?」
輝は凄く気になっていたみたいだ。
「防御上がった!」
「!そうか!因みにどんだけだ!1000か?」
「50...........。」
「へ?今なんて?」
「だから!50になったの!」
「お、おう!おめでとう!」
満面の笑みだが顔にはがっかりの文字が張られていた。俺に期待してたのか?
すると周りが皆こっちを見ていた。どうやら俺一人を待っていてくれていたらしい。それもそのはず。皆は昨日アビリティーを取っている。アビリティー最初から見ている人は俺だけだった。
「では、皆準備ば良いかな?」
「「「「「「はい!」」」」」」
皆で返事をする。やっとダンジョン探索参加出来る。
「松明準備したな?それでは探索開始!」
上級冒険者の一言で皆一斉に洞窟に入るのだった。
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クルシュ邸
クルシュは図書館で奏の昨日半日見ていた物を見ていた。
「失礼します。お呼びでしょうか?」
「ああ、急に呼び出して済まないな!」
クルセイダーが入る。執事服には何も無かった様に動き回った様な皺一つ無い。しかし朝から掃除、朝食の準備、生徒の保護者である由利子の出したダンジョン探索禁止令の根回し。政治関連の仕事等もあったのに難なくこなす。つくづく優秀。
「一つお主に聞きたい。クルセイダーよ、お主から見たユキチカナデとは、どんな感じかのぉ?」
「は!全体的に筋肉はなく、基礎体力も無い若造。ですが。」
「ですが?」
「ですが、マナの感じから言うととても素質が有るかと。」
言う事を渋ったのはステータスがかなり低い事と、自分の人を見る目との結果が違い、自分の目が曇ったのかと思って悩んでいる....のだろう。
クルシュはあの一団が屋敷に入った時、クルセイダーに一番厄介なのは誰か聞いた時、金髪のヒカルと呼ばれた者とあのカナデであった。あのステータスの低さは驚いたが。
「うむ。お主の言う事も分からんでもない。じゃが、お主は正確にカナデの事を見ていた。」
「....とおっしゃいますと?」
クルシュは黙って机の上のを指を指した。
そこには魔導書の山が。確かカナデは昨日だけ。それも半日しか魔導の勉強をしていない。クルセイダーは首を傾げる。
するとクルシュは指を一本立てる。
「一時間じゃ。」
「....何の時間でございましょうか?」
「ヒールを習得した後、昇華させた時間じゃ。」
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洞窟に入ると。兎型のモンスターがいた。杖で叩いたけど、大したダメージは無いらしい。結局叩いて倒したけど5分掛かった。
輝は素早く剣が動き、分身したがごとく剣が唸りを上げて周りにいた蜥蜴を15体同時に始末していた。何あの達人感。
どうも自分一人でとどめをささないと経験値が入らない様なので。パーティーで分配とかだと嬉しかったんだけど。
「いやー!」
後ろでクラスの女子が悲鳴を上げた。どうやら蜥蜴の吐く毒の息に触れてしまったらしい。岩影に潜んでいるから探知使わなければならない。しかしこれまたマナ(MP)を消費しなければならない。
少し配分を間違えた様だ。
直ぐに走り寄る。輝も同時だ。輝は周りのモンスターを瞬殺し、俺はヒールを掛ける。
「あ、ああ!痛い!痒い!いた...............あれ?」
毒に触れた場所が変色していたが、既に消えている。
「ほい!これで終わり。」
「ゆ、諭吉君が治してくれたの?」
「?そうだけど?」
「あの、ありがとう!諭吉君!高枝君!」
どうやら輝がモンスターを一掃したのが見えたらしい。そして一行は何事も無かったかの様に探索を続けた。
.........ってなって欲しかった。
「す!すごい!毒が消えている!体力も完璧に回復している!毒は毒消し草でも20分は掛かるのに。」
上級冒険者は驚いている。なにを驚くのか分からない。
「あ、あれ?マナがほとんど無かったのに満タンに....。」
うん。回復したもん。
「マナでマナ回復とかチートかよ?」
輝は目を輝かせて来る。うん。思えば確かにチートかも。
「で、でも、連発は出来ないぞ?」
「それでも凄い事だ!諭吉君!マナ迄回復出来るのは君だけだ。」
「うーん。それでも10分に一人が精々かな?」
周りもわいのわいの騒いでいる。
止めて欲しい!武雄先輩凄い目が光ってる!
ますます輝から離れられなくなっていく....。
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再びクルシュ邸。
「ま、マナを利用した回復でマナも同時に回復出来るヒール?状態異常瞬間回復?これはたまげました!」
伝書鳩から定時報告を読むクルセイダーはとても狼狽していた。
何せ敵に回ったら恐ろしい。もしも、万が一輝と奏が敵に回ると手に終えない可能性がある。
今はそんな素振りは無いが、敵には回したく無い。真っ先に奏を始末して....。そこまで考えた所で。
「大丈夫じゃよ!奏は悪い奴では無い。」
「それは重々承知しております。」
『人心把握』
クルシュのスキル。相手の心が読み取れる。
だから気になっている者もいる。
「奏よりも気をつけなければならぬ者達は.....。」
「承知致しております。」
あの者達の中に心が闇に染まった者が何人かいた。
何も無ければ良いが。.....黄昏るクルシュを他所に運命の歯車は進んでいる。
これからはその時その人物のステータスを出そうかた思います。宜しくお願いします!
更新はまた一週間後になるかも。