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ヒーラー奏の立位置は?前衛です!  作者: 梅花 零度
傾城と魔王
115/118

無血開城?

短いですが、進めていきます。

ー奏ー



 僕は絶対に戦争はしたくなかった。経済が回ったり、技術が進歩するという美味しい所が無いわけではないので、完全否定はしない。けれども、人が死ぬ位ならやらない方がいい。そう奏は思う。



「さて、帝国兵士が来たね。」





 何となく呟く奏にレイフォード君は頷く。



「まあ、戦争をしつつ、戦死者がいなければ確かに引き下がるしかないね。けれど、精神的にはおれると思うよ?」



 だろうね。だって心を折る事が目的なんだから。もし、死なないとしても、死ぬレベルの攻撃を何回も受けると発狂するだろう。普通は・・・・・。



 だから、兵士を精神的にだけ折る事にしておく。そしてこちらの兵には、その辺りの事を話してある。半信半疑だけれども・・・・。



****************************


ーレーヌー



 私は十二騎士ラウンズの一人だ。他にも6人いて、とてもではないが、余裕と言わざるおえなかった。相手はどうやら魔王候補・・・いや、分割魔王が二人いる。戦闘能力がほぼ無い二人が相手らしい。こちらは戦闘のプロが6人。どちらが勝つか火を見るより明らかだった。




「では進軍開始!」




 ただ勝つのは面白くないから、初めはラウンズを3人だけ出撃させて、私含む3人は高見の見物とさせてもらう。さあ抵抗してみせろよ。新米魔王ちゃん?




 お?早速戦闘が始まった。敵の兵士と味方の兵士がぶつかり合う。その中で敵の兵士が次々宙を舞い、雷撃が敵を蹂躙し、黒い炎が敵を焼く。



 敵を大きな槍で吹き飛ばすのが、ラウンズ1の武闘派だ。あの槍にはノックバック効果があるため、簡単に敵を吹き飛ばす。そして吹き飛んだ敵は空中で衝撃波に全身を叩かれて粉々になる。



 雷撃はラウンズ1の魔法使いだ。ミルシャは雷魔法を使用し、接近戦も剣で出来る厄介な魔術の使い手だ。その状態異常も厄介で、攻撃が当たらなくても周囲の敵が皆痺れてしまう。そしたら一般兵が簡単に首を刈る。一撃で千人単位で殺していく人間兵器だ。



 黒い炎はルード。生まれた時から黒い炎を身に纏っているとかいう噂がある。

その炎は触れると消す事が出来ず、全身燃やし尽くされるのだ。




 私はその圧倒的戦力をニヤニヤと見ている。あと2時間もすれば勝てるかな?さて、攻城の準備を始めようか。




*************



「・・・・・・・・・・・・・。」



 未だに兵士が空中を舞う。雷撃も止まらない。黒い炎は全てを焼き尽くしている。が・・・・・・まだ制圧出来ていない。もう既に3時間は経っている。おかしい。何かがおかしい。



 報告に来る連絡兵も敵が急に復活するとのこと。その報告を開始30分で聞いた為、後方を探らせたが、ヒーラーである魔王の姿が見つからないらしい。魔力で探知している為、見つからないはずがない。まさかただのヒーラーが前線に出ている訳でもないだろう。塵になった味方まで復活しているとの事だから、相当な魔力を必要とする。攻撃にも参加して、複雑な魔法で大量の魔力を消費する化け物はいない・・・・はずだからだ。



「そん・・・・な。早く見つけなさい!絶対に近くにいるわ」



 兵士に指示を出す。けれども全く進捗しない。しかも連絡兵によれば、味方も生き返っているとか・・・・・。とてもではないが、何がしたいのか全く分からないわ。




「なんなんだ!何がおかしい!」





 私が荒れていると、連絡兵が走って来る。





「み、見つけました!敵の魔王を見つけました!」


「何!?ならラウンズを向かわせて始末させよう!で、どこにいた?」


「それが、ラウンズ様の前に最初から立ちはだかり、僕を倒さないとお互いに誰も死なないよ!と言っているらしく、三人掛かりでも全く倒せないようです。」





 それを聞いて私は夢でも見ているのかと思った。次に兵士の報告を疑った。しかし、確かに三人は近くで戦っているようだ。そこで残り二人も投入する事にした。



*************************


それがそもそもの間違いだった。



「ラウンズ様5人で全く歯が立たず、全員捕虜として捕まりました。」


「は?」



 戦場で黒炎も敵が吹き飛ぶ事も、雷も無くなり、さっきまで氷や砂嵐が戦場を蹂躙していたのに、無くなってしまった。そして・・・・。




 敵兵がこちらに向かってくるという悪夢が目の前に迫る。



***************************************


ー奏ー


 僕は最初逃げ回って、全体に聖域を発動した。聖域は範囲内の人全員の傷を治し、状態異常を直し、死んだ人も生き返らせる範囲魔法だ。


 そして僕は聖域を維持したまま魔法を使う事が出来る。魔力?泉のパッシブスキルで常に回復しているから、常に満タンだよ?



 僕は最前線で一番強そうな人を見つけて喧嘩を売った。



「あー!あなた強そうですね!この空間では私を倒さないとお互いに殺し合いは出来ませんよ?回復するので」




 このような文言を三人に繰り返し、ターゲット・・・タゲを取る。




 三人は周囲の兵士を次々に殺して回るけど、復活する所を見て僕に標的を定めてきた。けれど、僕には当たらない。そして僕は新技が出来た。


 エメリアに殺された時、僕は生まれて初めて怒りという概念を身をもって知った。怒りが存在しているのは知っていたのだけれど、僕は怒りを感じた事が無かった。しかし、一度エメリアを操っている女神に怒りを覚えた。その時に何か覚醒した。




「俺の炎を全て避けるとは・・・・しかも復活するから燃え広がらねー。」



 全身火傷の黒い炎を使う男は忌々しそうに睨みつけてくる。



「私の魔術が全く効かない??あの金属の棒に全部吸われて・・・・きーーーー!」


 眼鏡お下げの女の子が魔法の杖をブンブン振り回すが、雷は全て避雷針で受け流す。



「俺っちの攻撃を全て避け、不可避の衝撃も直ぐに回復するのは卑怯なり!」



 筋肉達磨のようなお兄さんが長い棒を振り回すが、全く当たらない。攻撃読み易すぎるのだ。






「さーて、じゃあ、一度死んで置く?」


「ふん、俺っちに武術は効かんよ」


「あたしに魔法は効かない。魔法抵抗も最強なんだから」




 筋肉達磨と魔法使いの女の子は得意げに自慢しつつも地面に倒れる。火傷のお兄さんも白目を剥いて倒れる。そして後ろの兵士も絶命して次々と倒れる。勿論僕が殺して・・・・そして復活する。




「ま、魔法抵抗最高なのに・・・・・」


「俺っちは魔法には結構弱いが・・・てか本当に復活した・・・・」


「お前は黙ってて!!あんた!なんで魔法抵抗がある私まで効くのよ!」



 女の魔法使いはキーキー喚くので、解説する事にした。



「そもそも、ヒールは魔法抵抗と無関係に回復出来るんだ」


「そんなの常識じゃないの!ヒールは回復・・・・。つまり体が無意識に受け入れるという説が濃厚よ!そうじゃなくて、私を倒した魔法は?」


「だから、ヒールの回復の効果を反転・・しただけだよ。」


「反転!!?」





 普通にヒールをすると回復する。じゃあ、回復量をマイナスにすると、過去に直った傷を開く事が出来る。そしてその傷は徐々に元の大きさから大きくなる。死因とならない傷も大きくなれば死因に繋がる。このような世界で、このような職業の人が、全く怪我をしたことが無い訳がない。

 たとえ傷が無かったとしても、普通に動くだけで、筋肉の繊維は切れて再生するというのを繰り返している。だから全身ズタボロに出来るのだ。


 さらに言えば今は戦争中である。傷は誰でも付いているので、この魔法に抵抗出来る者はいない。人の生存本能がヒールを拒む事が出来ないのだ。




「名付けて、マイナスヒール!」


「だっさ!」



 味方からも敵からもディスられた・・・・。精神的傷はヒールでは治らないんだぞ!?




 もう怒った。何かいでもやってやろう・・・・。敵のラウンズ?とか言ったっけ?の三人は必死に抵抗するが、何回も倒す。3人がいつの間にか5人に増えるも相手の心を全員折るのに4時間も掛かってしまった。しかし、誰も被害を出さずに制圧出来た。無血開城が出来る?



 あ、血は大量に流れているか・・・・・・・・・。

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