プライミング効果
遅くなり申し訳ございません
前回のあらすじ:拉致られた奏がキス魔の餌食になりました。
ーエメリアー
奏が失踪した事で病院(自宅)のテーブルで会議を開いていた。
ここにいるのは、私、輝、司ちゃん、ヘクトールさん、メイドのミーさん、ミルちゃん、下っ端AとBです。
「先ず、状況を整理しよっか。」
私は奏が作成した、ホワイトボード?で情報を書き込む。
「まず、最後に見たのは?」
「はい、私です。朝出るときにお弁当をお渡ししました。」
メイドのミーさんはおずおずと手を挙げると名乗り出る。
「その後は・・・いないですね。
次、私は奏の帰りが遅いので魔王城とその帰り道を見て回りました。その途中で奇妙な二人組を発見しました。私はその二人と戦闘になりまして、私がピンチの時に輝と司ちゃんが助けてくれました。」
「そして私達は奏の家にいそ・・・ごほん。会いに来た時に戦闘音があって向かったわ。そしたら・・・・。」
「相手の一人は知り合いだった。名前は百合子先生。百合子先生は俺たちの学校の先生だったんだ」
司ちゃんと輝はそれぞれ真剣に答える。
「輝。なんとなく先生の漢字違う呼び方しなかった?」
「百合だろ?司こそ普通に居候って言ってもいいと思うぞ?」
「由里子先生の名前は花の方じゃありません!そして同級生の脛を齧るって恥ずかしいじゃない!」
「俺は奏と結婚する前提だからいいだろ?司は友達なんだから別に友達の家に泊まるくらい普通だ。気になるなら後で返せばいいだろ?
あ、後奏はやらねーから。」
輝の反応を見て司はキッと輝を睨む。このやり取りを見ていると、二人はとっても仲がいいんだなーって思うの。でも、ちょっときゅっと心が絞めつけられるのと、ドキドキするのは何故だろう?
「はー?普通逆でしょ?」
うんうんと私は頷きかける。あれ?ちょっとまって!それって司ちゃんが奏とけっこ・・・。
「つまり司は奏が好きと。よし、俺が全力で後押ししてやる!任せろ!」
「嵌めたわね!」
「よし、先ずは奏の布団から奏の趣味・・・・・うん、お色気以外かーぐは!」
「それ以上言ったら殺す!」
部屋中殺気が司ちゃんから漏れ出す。けれど、そのやり取りを聞いていてなんか・・・・。
「おいおいおい、輝君に司ちゃんだっけか?ちょっと浮かれすぎじゃねーの?
カナデの旦那が行方不明だって言っているだろ?」
ヘクトールさんが少し怒り気味に注意する。しかし、二人はあっけらかんとして・・・・。
「「いつものことなので大丈夫です。」」
この反応には呆れるヘクトールさん。少し本気でイライラしているのがわかる。しかし、ヘクトールさんが何かを言おうとしたとき、輝がお守り?を出す。
「これは奏が作成してくれたものです。
これで奏がいる場所は分かります。なので今問題なのは、何を敵に回しているかが問題です。
そして、命は大丈夫です。奏の能力への信頼もありますが、これが相手の生命力をも示しているので特に問題ありません。
一度でも死んでいるならこれが反応しています。これが反応していなく、健全な状態なら、先ず先に救出する方法と敵の状況判断をすべきでしょう。で、おそらく敵はエメリアが会敵したやつらで間違いないでしょう。そして、このお守りの示す奏のいる方向はハイド帝国。そして俺たちはハイド王国のやつらに攫われたクラスメイトがおり、由里子先生もその一人でした。
その捜索を奏に依頼する予定だったのですが・・・・。」
急に状況を明確にした輝にぐうの音も出ないよね。ヘクトールさんは引き下がる。
「じゃあ、私は状況を描くね?」
・奏の失踪状況
①夕方日が沈む前に攫われた。魔王城は出ている。
②方角からハイド帝国
③司ちゃんの友達『ゆりこ せんせい(ハナジャナイ)』という人物が犯人の可能性
よしよし、こんな所ね。
「じゃあ、ハイド帝国について教えて?ヘクトールさん」
「嬢ちゃん了解だ。
ハイド帝国は奴隷階層と貴族階層の二つがある。その貴族階層のトップに帝国魔王、その下に十二騎士という凄腕の戦闘師達がいる。その十二騎士がとてつもなく強いらしい。俺が知っているのはこのあたりか・・・・。」
ヘクトールさんは情報を教えてくれると、扉からファントムさんが入ってきた。
「こんばんわ!あら?皆さんお揃いでどうされたのですか?」
ファントムさんは入ってくるとみんなが集まっている状況を聞いてくる
「えっと実は・・・・・・。」
私はファントムさんにも説明する。何故か司ちゃんはホワイトボードを見て笑いを堪える。輝は文字が読めないのか、なんて書いてあるんだ?って言ってる。
「帝国は十二騎士が強いけれど、最近どこからか有能な者達を引き入れたらしいの。とっても強いけれど、その十二騎士達は全員で襲い掛かっても倒せないほど帝国魔王の力が強いらしいのよ。」
ファントムさんは一人ひとり能力を教えてくれる。なんでそんなことを知っているのかは知らないけれども、その中にピンと来る情報があった。
「そいつだ!やっぱりハイド帝国に攫われたんだ!」
輝は大騒ぎ。それもそのはず。さっきの二人組の内の片方、ハナジャナイユリコセンセイじゃない方が十二騎士だということだった。しかもあの戦闘力で諜報に長けているという。戦闘力があの二人以上つよいのがあと11人もいると仮定した方がいいでしょうね。
私は情報を整理した。
・奏の失踪状況
①夕方日が沈む前に攫われた。魔王城は出ている。
②方角からハイド帝国
③司ちゃんの友達『ハナジャナイユリコセンセイ』という人物が犯人の可能性
④ハナジャナイユリコセンセイじゃない方が十二騎士で諜報している。
⑤ハイド帝国に行って奏を無理やり連れて行けば最悪戦争になる。
こんな所か。
「じゃあ、俺が行くよ。俺は勇者だからバレても特に問題ないだろう。そのままお持ち帰りすれば」
「「ダメ!!」」
私と司ちゃんが同時に叫ぶ。そしてそれをニヤニヤしながらこちらを見て・・・。
「ハーレムですか・・・・うらやましいですなー。」
「全然思ってもないくせに。」
「ハーレムってなーに?」
私は輝の言葉が分からなかったけど、馬鹿にされたことだけは覚えておこう。
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ちなみにこのホワイトボードがさらなる悲劇をもたらすことになるとは思わないのだった。
お読みいただきありがとうございます。
プライミング効果:現在からみて直前の過去に起きた出来事が現在に影響する効果。
(例えば失敗した後に何かしたりすると失敗するのもこれに起因したりします。)