滝南
10人の転移者の内、後輩枠の南ちゃんメインの話になります。
ー奏-
うう、ここは・・・・・。
目が覚めると、洞窟のようなところにいることに気が付く。
周囲を確認すると、自分ひとりで体を縛られて小さな洞穴に置かれていた。
試しに体を動かしてみると、手と足がロープで縛られていた。もし、手錠とか鎖とかの金属だったら操作して変形させ、拘束から逃げる事も出来ただろうけど・・・・・。わざわざロープを使っていることから僕のことを調べ挙げている人物の可能性を考えた。
「あら、おはよ~。おきたんですね。ぱーいせん。」
「え、き、君は!」
全身ピンクと白の衣装。スカートは短くスラーっとした足が伸びている。体形は幼児体形でも、相手が知っている人物なだけ、合法ロリという言葉が頭を過る。
「なんでこんなこと・・・・。南ちゃん・・・。」
「ん?かなでパイセンは私のこの姿かわいいと思います?」
どちらかというと、背徳的です。はい。でも、何か不快な感じがする。とっても何かもやもやする。
「んー。これでは堕ちないか・・・。新たなお友達が、しかも地位が高くって御しやすい人がもう一人ほしかったんだけれど・・・・。まあ、これからじっくりお話すればいっかー。後、おねーさまを私の物にするための計画にも必要だしねー。」
「ちょ!怖い怖い!」
何々!!?ルビおかしくない?あのthe後輩!という感じの女の子がいきなり女王様で魔法少女って何!?」
「女王様で魔法少女ね・・・。」
「く、しかも心まで読む力を手に入れているとは・・・。」
「普通に漏れてたよ?」
なんてことだ。まさかレイ君も手ごまにされている可能性がある・・。いや、レイ君は魔王の能力で精神系の能力は効かない。つまり南ちゃんのアビリティも効果は無い・・・・・・・。はず。
あれ、それ突破できるとしたらやばくないか?
「あれ、顔面蒼白だけれど、今の立場分かったの?じゃあ、もう少し教えてあげるー。せんぱーい。これなーんだ。」
「しっぽ?」
南ちゃんのスカートからしっぽが出てくる。紫色のつるつるしてそうなしっぽ。
「まさか・・・・。」
「そう、そのまさかよ。私はサキュー」
「女王様キャラと魔法少女属性にアニマル属性を足したのか!もう、どこから突っ込んでいいのかわからない!」
「はあ!!?」
く、これは強敵だ。しかし、・・・・・。頭に耳が付いてない・・・・。
「よし、耳もつけてあげるからね。ちなみに何の動物なの?」
「パイセンがそっちの趣味があるなんて・・・・。はあ、そっち路線のほうがいいのかな?」
急にしょんぼり・・・いや、ジト目でこちらを見つめてくる南ちゃん・・・。ちょっと可愛いかもしれない。
「これはこれでありだね。」
「そう、それはどうも・・・・。」
そういって急に近寄ってくる。そして僕を跨いでくる。
「ふむ、黒っていやらしいよね。」
「ええ、これからそういうことをするのだから、この方がいいでしょ?」
ええええええええええええ!?時間稼ぎに言った言葉が素で帰ってきた。もちろん僕はそういう事はしたくない。いや、女の子のセクシーなところに惹かれるところは・・・まあ、無くもないけれど、あからさまなビッチはちょっと・・・・。
「あら、私処女よ。皆大抵見せたら堕ちるから・・・。」
「え?怖い!」
まさかの・・・・。そしてストンと僕のおなかの上に乗る南ちゃん。その感触はいいとして、頭の片隅で警鐘をならす。そして既に準備が整った。
「よいしょ!」
僕は掛け声と共にロープと切る。このロープは魔力を分散させる能力がある物なので、中々使えない状態だったけれど、アビリティはあまり大きく減衰されない。石ころを製錬して普通にロープを切ったのだ。
僕は南ちゃんを押し返し、(ちょっと惜しいけど)洞窟を見回す。特に南ちゃんから逃げる必要もないからね。そして南ちゃんが暴れないように地面に押し倒す。
「ふふ、かなでパイセンはやっぱり私の体目的?」
「もう、それでいいから、何でこんな事したの?後、あの鬼みたいなの武雄先輩だよね。」
こっちが、南ちゃんのペースに乗らないと悟ったのか暴れだすけれど、男が女の子に力負けするわけが・・・・・。
「がふ!!?」
「へ?あ、かなでパイセンってステータス酷いんだった。これって拘束しなくてもいけるんじゃん!」
天井まで吹き飛んで落ちてくる僕をキャッチする南ちゃんはぎゅっと抱き着いてくる。柔らかい感触が伝わってくる。が、力で逃げようとしても逃げられない。ステータスが低すぎて無理だ。なら、ステータスを上げればいい。
「オールエンチャント!」
「はい、戴きまーっす。」
南ちゃんが急に唇にキスをしてくる。その柔らかい感触と同時に何かを吸い取られているのが分かる。
「ぷは!まさか・・・・。」
「バフいただきましたー。かなでパイセンって弱いのに、相性も最悪とかいいお友達になれそうだね!さあ、私を感じて!」
南ちゃんが、体中にキスをしてくる。その度にすごく嫌なもやもやした物が入ってくる感覚がある。もしかして、魅了の状態異常にでもしているのか・・・。状態異常は受けないけれど、南ちゃんのアビリティは厄介だ。男ならだれでも奴隷にできる能力『偶像崇拝』。
でも、現状南ちゃんから逃げられない。一人では・・・・。
「く、この手だけは使いたく無かったけど・・・・・。」
「ん?まだ何かあるの?」
すうーっと息を吸うと、南ちゃんが口をキスで奪う。南ちゃんの口の中へ思いっきり息を吹き込む。
「げほげほ、何をするの・・・・・。」
今南ちゃんはむせている。なら、呼ぶなら今だろう。思いっ切り息を吸って叫ぶ。
「ぬーーーーーーーちゃーーーーん!」
洞窟内に声が響く。
・・・・・・・・・・・・・・・。
「重いっ切り叫んだ割には何も起こらないわよ?」
「く、やっぱり呼ばない方がが良かったかも。待て!ストップ!」
「ふふふ、パーイセン!諦めちゃってください。さあ、私の奴隷になってください。」
「わー!タンマ!タンマ!俺はそこまでは言ってない!」
「ああ、奴隷とお友達はおんなじですよー。私の能力に魅了されれば同じだって分かりますからー。」
南ちゃんは気が付いていない。真後ろに悪鬼が二人もいることに・・・・・。
「ひーーーーーーー!お助けーーーーーーーー!」
「何にビビってるんです?ぱいせん・・・。後ろに何か・・・・・ひっ!!?」
やっと南ちゃんも気が付いたか・・・・。
片方は黒髪の般若。片方は赤鬼の・・・そのまま鬼・・・。
「ぬーちゃん、南ちゃんを傷つけないように僕を助けて。」
「奏にキスしていいのは・・・・私だけなんだから・・・・。」
美鈴が本気で怒っているようだ。そして怒りで我を忘れているようだ。
そうしてその隣にもメラメラと燃える男が一人いた。
「みっちゃん。俺だけじゃ不満なのか?おい、ゆーきーちー。お前がみっちゃんを誑かしているのか?ああ!?」
「僕被害者。南ちゃんを引き取ってもらえると助かるよ・・・。」
「被害者面すんじゃねー。」
もうすでに両方とも話が通じない・・・・。どうすれば・・・。あ!
「ぬーちゃん。ほら、僕の唇を塞げば他の子には取られないよ?」
「・・・・それは・・・・・良い!」
「武雄先輩、南ちゃんの唇奪えばいいじゃん。」
「それは・・・最高だな!」
だが、これには欠点がある。南ちゃんはそういうのに慣れているだろうけれど、僕はなるべくならエメリア以外とそういう事をしたくない。以外と身持ちは堅いほうだ・・・・。はずだ・・・・。
南ちゃんの拘束が緩んだため、合気道の要領で逃げ出すと出口に走ろうとするが・・・。
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後日、心が壊れるのではないかと思うほど弄ばれている二組の男女がダンジョンで見つかったという・・・。S