商談2
ー奏ー
ロドスと話す内容は商売だ。僕はロドスの能力を見込んで頼むことにした。
「却下だ。」
「まだ何も言ってないよ?」
相談する前からそういわれた。ロドスはめんどくさそうに顔をしかめる。僕何かした?
「ヒール位しかできないお前には協力するメリットがない。それよりか給料やるから俺らの訓練手伝わないか?多少色着けておくぞ?」
「何も聞かず断ったあげくそっちの仕事を手伝わせる…か。まあ、ずいぶん舐められてるね…。仕方ないけど。」
ここの世界だと、ロドスと戦った事は無くなってるから、恐らくヒールしか出来ないって思われているのだろう。ヒールでもロドスを倒すことが出来るようになったけど、かくし球として残しておこうと思う。
「なら模擬戦だな。」
「あ、僕も参加していい?」
「んあ?お前戦えたのか?」
「寧ろ知らなかったの?そこそこは戦えるってこと。」
ロドスは怪訝な顔をする。その時、衛兵の一人が進み出る。
「ロドス様。一度魔王候補様とお手合わせしてみたいです。」
「騎士団長。分かった。奏。死んでも知らんからな?」
「大丈夫。一度だけ生き返ることが出来る魔術発動しておくから。」
そう言って、騎士団長と対峙する。相手は40歳位だろうか。銀の鎧に光輝く剣を持っている。鋭い眼光や身体中ついている傷で歴戦の戦士だと分かる。でも….。
「では、試合初め!」
急にロドスが初めのコールをする。その時僕は直ぐに準備をする。全く準備出来てないんだよなー。
しかし、折角のチャンスを騎士団長はどっしり構える。
「貴殿から来なさい。」
「魔法もありですよね?では行きますよ?」
僕は騎士団長の瞬きと同時に真後ろを取り銃で攻撃する。しかし、騎士団長はそれを洗練された動きで弾く。なら、接近してみようか。銃で加速する。僕の銃は口径を自由に変更出来て、魔力の弾を飛ばすことが出来るけど、口径を広げることでジェット噴射の要領で移動出来る。
「さあ、その剣速で僕を捉えられるかな?」
「なに!?」
急に接近してくるとは思わなかったらしく、一瞬驚くが、冷静に対処される。騎士団長の剣を籠手で滑らして対処する。何とか騎士団長に銃を撃ちたいけれど銃口の直線上に身体を置かないように、僕に防御させるか、回避していた。
「やりますね。」
「これほどとは驚きました。しかし、まだ若い!」
今まで僕が騎士団長にタイミングを合わせて剣を滑らせてきたけれど、そのタイミングをずらされて籠手が傷着く。そして少し手を切り、血が出る。直ぐにヒールで元に戻るけれど、バックステップで距離を取る。
「させん!」
騎士団長が距離を詰めるが、それを待っていた!
急に騎士団長の右足の床が抜け、体勢が崩れる。が、直ぐに体勢を無理やり立て直す。
「小賢しい!」
騎士団長はそのまま切り込んで来る。それに対して僕は騎士団長に真っ直ぐ銃口を向ける。しかし、このままだと騎士団長の剣が僕の脇腹を切り刻むだろう。本当に何もしていなければ。
「な!!?」
騎士団長の剣が急に何も無いところで止まる。僕はそのまま騎士団長の眉間に銃口を突きつける。
「よし。」
「な!何が!」
ロドスが顎が外れるほど驚く。まさか騎士団長が負けるとは思わなかったのだろう。それだけ騎士団長は強い。
「はは、完敗だよ。」
「楽しかったです。ありがとうございました!」
騎士団長と握手をする。
ロドスの方を見るとニヤリと笑う。強い者は認める…か。でもこれで何とか商談が出来そうだ。
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