なにがどうなってる?????
とりあえず異世界に転移するまでのお話です。
朝。
それは幸福の象徴である。新しい日の始まりであるからだ。
今日の予定を顧みて予定を思い出す人もいるだろう。
朝。
それは絶望の象徴である。新しい日の始まりであるからだ。
昨日の地獄を顧みて今日の地獄を創造する人もいるだろう。
僕は後者だ。二か月家で引きこもっている。朝会社やら学校やらに行く人々の足音が家の外から聞こえる。
自分も高校2年生だ。しかし、とあるとてつもなく大きな事情で学校へ行っていない。なのであの喧噪には混ざらない。母親の声が聞こえる。
「奏!今日も学校いけないの?」
部屋のまえで凄んでいる。ただしこの2か月であきれてしまったようだ。
すぐさまヘッドホンを耳に当てる。好きな映画の音楽を聴くふりをする。ドアの外の声は聞こえない。
しばらく声をかけていたようだが、あきらめて母は階段を降りて行ったようだ。僕はヘッドホンを取る。
朝7時半。父も母もこの時間には家を出ないと会社に間に合わない。もっとも父親は奏が起きたときからもう出勤したようだが。
このときは思いもしなかった。まさかヘッドホンをしていたがため、悲劇に飲み込まれることになるとは・・・・・。
母はいつも朝食を用意してくれている。母が玄関を出る音を聞き、母がいつものように朝食を部屋の前に置いていってくれる。それを取ろうとドアまで行く。
ふと、嫌な予感があった。毎日玄関から僕の窓に向かって学校へ行こうと促してくれる幼馴染2人が今日は声を聴いていない。まあここ3日来ていなかったからあきらめたのだろう。まさかね。
ドアに手を掛けた。そして・・・・・
「とぉぉぉぉつげき~~~~~~~~!」
「うぉおおおおおおぉぉぉ!」
なんか入ってきた。目の前に茶髪が迫る!
「お、お前ら!!なんで!てか輝痛い、痛い、痛い!」
目の前にいたのは幼馴染の二人だった。大方母が朝食をドアの外に置いておくことを聞いて母と結託。二人は僕が寝ている時間に入り、時間になったら母が声を掛ける。僕がヘッドホンで音楽を聴いているふりをしている間に音楽で足音を消してドアの前で待機していたらしい。一杯食わされた。てかお前ら忍びか!?
一人は自分をプロレス技で拘束している高枝 輝。つんつんした茶髪に体育会系のイケメンだ。中肉中背でサッカー部のエースである。高2でエースとかマジで人生イージーモードのようだ。
もう一人の幼馴染は黒髪セミロングな女の子、白義 司。背が低いとは禁句である。整った顔立ちに高2とは思えない幼さがある。しかし胸は標準値である。
「む、今なんか奏失礼な事考えたでしょう?背は一緒くらいなんだから。後、へんな所見ない。」
「いや、何も考えておりません。今日は黒だなんか考えておりまへぶぅ」
司が胸を腕で隠しつつ聞いた質問に、冗談で言ったセリフの後に回し蹴りが顔面にクリーンヒット。あれ、今黒いものが・・・。てか輝よ、避けるなや。
「ごめんよ。俺は見てないから制裁は奏一人でお願いします。」
「俺の心の声に返答しないでくれる!?」
ひょうひょうと僕の心の声に返事する輝はどこ吹く風だ。だがうまい具合の力加減でそこまで痛くはないのに逃げられない手際の良さは健在だ。そんな感想を持っていると。
「そろそろ時間無いから支度してくれるかしら?もう7時50分なんだけれども。」
「ボソッ・・・(鬼)」
「何か言ったかしら。」
まさに鬼の形相でいらだったところに油を注いだもんだから、般若と一瞬間違えてしまった。
あわてて音がするほど首を振る。そして今日は観念するしかないだろう。今日だけは二人の創意工夫に免じて大人しく学校へいってやろう。
「ありがたくほむぅぅぅぅぅ!」ありがたく思えって口に出そうになったところわ輝に手で口を塞がれた。
おそらくこれ以上は般若が怒りを抑えられないのかもしれない。危なかった。僕は輝にアイコンタクトで観念することを伝えると、拘束を解いてくれた。
クローゼットから緑色の制服を取り出し、一階にカッターシャツを取りに降りていく。カッターをハンガーから取り、急いでパジャマを脱ぐ。司が顔を真っ赤にして輝が手で司の目を遮るのを無視してマッハで着替え終わる。母の作った朝食を掻き込む。朝食を食べずに行こうとしたら司に怒られた。さて支度はできた。僕は意気揚々と
「さあ、何やってるのさ。遅刻しちゃうよ。輝。司。」
「なんであんたリュックしょってるの。中身教科書じゃないでしょう?」
と司が鋭い突っ込み。
「だって今日オルタナシア・ストーリーズの発売なんだもん。この時間から並ばなきゃ初回限定版が手に入らない。さっきカレンダーで確認したから間違いな・・・・。ごめんごめんごめん!謝るから司!フライパン片手に迫るのタンマ!!」
気絶させて引きずって学校へ連行する勢いの司に全力で謝る。
今度こそ本当に観念して学校の教科書が入ったカバンを取ってくる。思わず僕はつぶやいた。
「ああ、地獄だ。」
「さあ、時間無いしさっさと走る!」
「俺は今日はきっといいことあると思うぞ。」
司はちょっと焦ったように先を早歩きで歩いていく。嫌々言ってる僕の背中を押しながら光は僕には絶対外れる予感を言う。僕は学校へ行ったら確実に悪い目に合う確定要素があるというのに。
約30分後、学校についた僕達は、三者三様だった。やり切った感あふれるいい笑顔の司と、朝練サボって部長に叱られ事情を話して開放されたにこやかな輝と、絶望に打ちひしがれた自分がいた。温度差激しすぎ。
「奏!大丈夫だ。もし、またいじめがあったら、俺がなんとかしてやる。だから俺の所にこいよ!」
「輝が絡むと碌な事にならない気がする・・・・・。」
「いいから頼れって。返り討ちにしてやる。」
「やるなよ?絶対やるなよ?何回も言うけどお前レギュラー取ったんだから。」
「相棒が困ってるのに助けないのはおかしいだろ?」
「何回も言うけれど、お前がレギュラー外れたら俺、その方がこまるからな・・・・。」
「ううむ・・・。」
「そうよ!だから私が先生に告げ口したのに。」
不祥事はダメ。絶対!特にレギュラーな輝は。
「まあ、フェイズ2に移行しよう。放課後時間ある?あるよな?迎えに行くから教室で待っててくれよ?奏の父さんと母さんに頼まれたからな。司!奏を頼む!」
「りょーかい!」
司は輝に敬礼をする。いつの間にか教室まで来てたようだ。もう逃げはしないのに。今日は。今日は。
「嫌な予感しかしない・・・・・・。」
教室に入ると不登校だった自分が来た事に多少噂になった。それが諸悪の根源である場所に迄噂が広まるのに時間はかからなった。3年の教室に。
午前中は普通に授業を受けた。先生がなんかやたら自分を当ててきて鬱陶しかったがそれ以外特になかった。問題は昼休みだった。
昼休みに入った瞬間3年の先輩達が入ってきた。
「よう、失礼するぜー!」「しっつれーいしまーっす!」「失礼するっす!」
僕は全身硬直する。今日は何も無いのではないかと思っていたけど、情報が早い。学校1の不良3バカトリオが鴨(自分)めがけて来た。そして。
「癒~吉君。俺らに挨拶ねーじゃねーの。」
「お、おはようございます。」
早速因縁をつけられた。朝あってもいないのに。
「今何時だと思ってるの?」
「12時です」
「そういう事言ってるんじゃねーー。まあ俺は寛大だから許してやるよ。おい、一緒に飯食おうぜ癒吉!」
ようは飯奢れと言ってきている。いつもそうだったから。
「ごめんなさい。今日はお金持ってきてなくて・・・。」
「今から家にとって来い。」
「む、無理です。昼休みの時間も無いし・・・」
そのときだった。横から司が割り込んできた。
「ちょっと先輩達、せっかく学校に引っ張ってきたのに、また引きこもっちゃうじゃない!」
ちょっとずれている気もしたがかばってくれているようだ。先生は結構な優等生である司を気に入っている節がある。なのであからさまにいじめて来ると司がかばってくる。
豪山 武雄。いじめっ子代表。一度司が先生にいじめをちくって、反省文を書いたことから、いじめがエスカレートしたことに気付いていない様子の司だった。なので、今僕としては戦々恐々としている。そして
「俺はもういじめはしていないぜ、謝りたかったから一緒に飯食おうぜって誘っただけなんだが。」
ダウトーーーーー!絶対そんな気無いだろ!
「そっかー、ならいいや。ほい奏。500円。これで一緒に食べてきなさい。またいじめられたら私の所にくるのよ。」と司は満足そうにうなずく。
「お、おう・・・」としか答えられないでしょう。
そのまま仕方なく3年3人について行って案の定500円は取り上げられた。
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午後の授業には顔を出せれた。司にばらされた一件で大っぴらに動く気がないらしい。昼飯抜きの状態から集中して勉強できるはずもなく、(2か月ぶりの授業でついていけるはずもなく)寝てしまった。
ふと気づくと今日最後の授業終わりのチャイムが鳴った。キーンコーンカーンコーン!
みんなが騒ぎだした。自分は急いで荷物をまとめ、ホームルームが終えると教室を飛び出そうとした。が遅かった。奴らバカトリオが教室の入り口を塞いだ。教室の後ろのドアを占拠された。教室の前の入り口は他のクラスメイトが入ってきていた。そしてその中に輝の姿も。
武雄が僕に近づき
「一緒に帰るぞ」
輝が走って
「奏!部活いくぞー?」
と言ったのは同時だった。輝はいじめの事知っていたが、バカトリオが奏をいじめることをあきらめたというのを疑って声を掛けてくれたらしい。案の定であった。
同時刻司は同じ教室で教科書を片付けながら友達と話していた。
同時刻同じ教室には担任ではなく、カウンセリングの先生が奏に声を掛けるべく教室に入った。
それからその日、その時以降教室に居た人たちは神隠しにあったという事を、奏含み11名は知る由も無かった。
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「先輩!今日から奏はサッカー部入りますので、一緒に帰れませんよ。」と明らかな作り笑顔で答える。
「おう?癒吉、俺たちの約束はどうなったんだ?」
「え、えええ?」と困惑する僕。
仕方ないよね。どういう状況かわからないのだから。なに?サッカー部に入るなんて初耳なんだけど。朝部長と話した後ほくほく顔で戻ってきたの勧誘するため?やらん、やらんぞ。運動系より帰宅部一筋!運動は道場通ってるから運動不足では無いし。
そしてバカトリオの約束はもっと知らん。当たり前だ。そういういやがらせ約束をしたことにされる予感があったからそうそうに帰るつもりだったんだから。
そして一番困惑しているのは今の場所。豪華な庭園、鮮やかな花木が咲き誇り、その中心にある場所に僕たちはいた。男二人にせまられながら噴水の端に座る僕。どういうBL?
いやいやいや、
「っていうかここどこだーーーーーーー!」
大まかな骨格は決めてますけど。細かいところは決めて無いところもあるので意見あればお願いいたします。