白疵
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真っ白い部屋。
全てが白く、物という物は何一つないように見える。
いや。
部屋の真ん中に一人の少女が座っている。
白い長袖のワンピース。
ふわりとはためきそうな具合は天使のよう。
見える肌は手首と手と足首と踵。
あとは顔。
長い長い長い髪は真っ白である。
肌以外にその部屋に色彩は無かった。
少女は能面のように無表情。
そして、唯一といっていいその部屋にある物。
少女の前には人形が鎮座していた。
誰かの手作りなのだろう。
不恰好だが、それなりに心の込められた暖かみのある女の子のお人形。
向かいあっている少女と同じように白い髪と白いワンピースが特徴的であった。
少女はじっと人形を見つめていた。
じっと・・・・・
じっと・・・・・
じっと・・・・・
おもむろに少女は人形に手を伸ばした。
ゆっくりと。
人形をつかむ。
そして、人形をしげしげと眺めた。
手をふわりと人形の頭の上にのせる。
なでなで・・・・・
なでなで・・・・・
なでなで・・・・・
軽く、なでてあげて、やおら、髪を一本、引き抜いた。
一本、一本、一本・・・・・
だんだん手を動かすペースが早くなる。
一本、一本、そして、二本三本十本、無数・・・・・
人形の髪はなくなり、髪のあった場所は無残にも引きちぎられていた。
少女は体は微動だにいていないのにただただ両手と両腕を動かして、今度は人形の腕をひきちぎった。
続いて、足を。
続いて、服をばらばらに。
人形の布の肌があらわになるやそれをゆっくりと細切れにちぎっていく。
狂ったように人形をばらばらにしていく。
少女はばらばらにしていく人形をしっかりと凝視する。
人形はもう最前の面影をまったくといっていいほど、残っていなかった。
唯一、残しているといえるものは、顔の部分だけ。
糸で玉止めされている小さな両の目と微笑んでいる口の部分。
少女の手は、ゆっくりと顔を爪で、縦に二つに切り裂いた。
表情の無かった少女の顔に微笑がこぼれた。
それが笑顔へと変わり、恍惚の表情へと変わっていった。
ばらばらにした人形の残骸を狂ったような笑みでかき集め、それをまた手に掬うや、また上に向かってばらまいた。
そして同じ行動をなんども繰り返した。
何度も何度も。
やがて、少女の微笑みの眼差しから、涙が止め処なくあふれていった。
外は灰色だった。
雨が降り、地面は隆起していた。
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暗いお話です。ただただ読み手の想像力にお任せするところか・・・・