それは昔の話01
2175年ー
ここは、かつて僕達が住んでいた地球からおよそ355000km離れている所にある小さな星、ミュチル。
地球は、宇宙人に侵略されたから僕達人類はこの小さな星に避難をし、再び地球を取り戻すために進化を続けてきたのだ。
因みに宇宙人が地球に攻めてきたのは僕、加賀見 修哉が生まれる20年前位の事だから、僕はまだ宇宙人を見たことが無かった。
「しゅーちゃん!」
そっと目を開けると、一緒にこの星で生まれ一緒の施設で育った所謂幼馴染の南 千草が僕の前に立っていた。
「しゅーちゃん返事しないから…」
不安気に瞳を揺らす千草に苦笑を零す。
「シュミレートサイン付いてただろ?」
「き、気付かなかった…!」
「お前…、明日なんだぞ?明日、宇宙人と戦うんだ…」
言葉にするとぐっと不安が押し寄せてくる。
まず、宇宙人を見たことない僕達が勝てるのだろうか…。
シュミレートでの宇宙人は、赤や青の影だけで、いくらシュミレートとはいえゲーム感覚に近い。何も知らない僕達が、果たして宇宙人と対面し戦って勝てるのか。
きっと答えは限りなくNoに近い。それを否定したくて僕は目をつむり首を横にぶんぶんと振った。
「で?何か用だったのか?」
「あ、そうだ!隊長から収集掛かってるよ、しゅーちゃん行こう」
僕の手を自然に握って引っ張る千草。
抜けてるし、ドジばっかりだけど、こいつ戦闘能力には長けてたりするんだよなあ。
それが何だか可笑しくて、どうしようもなく…愛しくて、僕はその手を握り返して指令室まで足を進めた。