Day 1 行動開始
12/18 一部変更&追加
うちのクラスには2人のリアルチートがいる。
だからいつかはこんなこともあるかもな~なんて考えていたからそこまで取り乱さなかった。
それに2人には及ばないけど十分チートっぽい奴が何人もいるし。
まあ2大チートのチートっぷりはこの世界でも健在のようだ。
クラスメイトに促されるまま黒板に書かれた2人のステータスを見て俺はそう思った。
名前:明山聖也
性別:男 Lv.:1
HP:204
MP:156
STR:57
VIT:52
INT:46
MND:41
AGI:48
DEX:50
LUC:100
スキル
【極光剣】1 【神聖魔法】1 【精霊召喚】1
所持SP:0
名前:黒川将志
性別:男 Lv.:1
HP:185
MP:172
STR:47
VIT:48
INT:59
MND:56
AGI:44
DEX:47
LUC:100
スキル
【暗黒剣】1 【闇影魔法】1 【精霊召喚】1
所持SP:0
ちなみにこいつらの所持スキル全部交換SPが最高額に設定されてた。1番安いスキルが100SPで手に入るのに、こいつらのは全部1,000,000SP以上必要っていう鬼畜具合。しかもLv.1とは思えないほどステータスが高い。
今クラスは大きく分けて2つのグループが形成され、激しく討論を繰り広げている。
1つは明山率いる力をつけて魔王を倒そうぜ!グループ。大体2/5の15人がこのグループだ。ちなみに女子が多い。(うちのクラスの全女子16人中9人が所属)
もう1つは黒川率いる魔王なんてシカトして自力で帰る方法を見つけ出すぞグループ。半数の18人がこのグループに所属。
残りの俺含む3人+担任がどちらにも属していない者たちだ。
と言ってもそのうちの1人、佐藤浩一は
「せっかく異世界転移なんてしたんだから俺TUEEEEをやるんだ!!」
なんて寝言ほざく馬鹿なんだが。
俺はチートと行動を共にするのはいろんな意味で危険で、メリットよりデメリットの方が多いと判断したからだし、もう1人の神田歩って女子も似たような考えだ。
チートについてくと絶対テンプレイベントの嵐に巻き込まれる。そんなのは嫌だしチートでも何でもない俺には危険すぎる。
適切な距離を取って巻き込まれないようにする。同じクラスになった半年間で学んだ心得だ。
**********
結局話し合いは平行線に終わり、2つのグループは別々に行動することになった。
まあ、それで仲が悪くなったかと言うとそんなこともなく、
「僕たちが魔王を倒す前に帰る方法を見つけてくれよ?」
「そっちこそ魔王なんかに殺されるなよ?」
なんて言って笑いあっていた。
その後東と西にそれぞれのグループを率いて去っていく2大チート。ちなみに山田先生は明山のグループに加わり、俺TUEEEEは北に向けて走り去っていった。
「で、俺たちはどうする? 一緒に行動するか?」
「うん、どこかの町に着くまではそれが良いと思う。 とりあえずお互いのスキルの確認とこの世界の常識を学んでから南に向かいましょう」
その妥当な提案に賛成し、とりあえず本を読み始める。
それによるとこの世界ゲーティルには3つの大国といくつもの中小国家があるらしい。戦争はしていないようだ。
また、ほとんどの国では貴族の力が強く、逆らうと危険とある。
1日24時間で1年が12ヶ月、365日なのは変わらず、場所によっては4季もあるようだ。
また現在位置も含めた周辺地図も載っていて、それによると黒川達が向かった西にはガルシア帝国、明山たちが向かった東にはウィリス聖王国、北にはユルス皇国、南にはタリス自由都市同盟があるらしい。
お金は全世界共通で銅貨、銀貨、金貨、白金貨とあり、
銅貨1枚=10円
銀貨1枚=1,000円
金貨1枚=100,000円
白金貨1枚=10,000,000円
の価値があるらしい。
人種については俺達ヒューマンに加え、エルフ、ドワーフ、獣人、ホビット、天人、龍人と、まさにファンタジーと言った感じだ。ちなみに天人と言うのは翼をもった種族らしい。
そしてやはりあった定番のギルド!
テンプレ通りの組織で、採取、護衛、討伐、雑用etc…といった依頼をこなし報酬を貰う何でも屋だ。入会には銀貨10枚必要とのこと。町に行ったらギルドに加入しての生活になるだろうな。
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1時間ほどかけて本を読み終えた俺たちは互いのスキルについて話す。
それによると神田のスキルは【弓】、【調教】、【鷹の眼】らしい。
【弓】はその名の通り弓を使った技や攻撃に対する補正がかかるとのこと。
【調教】は瀕死状態の魔物を一定の確率で使役するいわゆるテイマー系スキル。
【鷹の眼】は視力に補正がかかるらしい。夜目も利くとか。
それで俺のスキルなんだが【調合】は薬になる物と薬そのものの鑑定能力に加え、スキルレベルに合わせて薬の作り方が分かるようになるスキルらしい。また、魔力を消費することで手作業より効力は下がるが一瞬で薬を生み出せたりもするらしい。
【索敵】は周辺にいる生物の気配が分かるというもの。一度会ったことのある種の魔物なら判別もできる。レベルが上がるにつれて索敵距離も伸びるらしい。
【便利魔法】は一般生活によく使われている生活魔法+αが使えるようになるらしい。
具体的に言うと
小さな火を出す《ファイア》
コップ一杯分の水を生み出す《ウォータ》
氷を生み出す《アイス》
汚れを落とす《クリーン》
光源を生み出す《ライト》
熱気を纏う《ヒート》
冷気を纏う《クール》
死体が無くなる代わりに一瞬で魔物から剥ぎ取りをしてくれる《ドロップ》
何でも好きなだけ入れられて腐ったりもしない不思議空間を作り出す《アイテムボックス》
魔物避けの簡易結界を周辺に張り、野営の安全を確保する《シェルター》
レベルが上がったらもっと色々使えるようになるらしい。
うん、どれも便利なんだが戦闘向きじゃないな。入っていた武器もナイフだったし。
その分調合に使う道具一式やポーションを入れる瓶が30個ほど、採取用の鎌やスコップなど道具類には恵まれてるが……
神田は武器は弓と矢が30本、それにサバイバルナイフだった。後は魔物の餌らしきものが入っていたらしい。
「じゃあそろそろ出発するか?」
「うん」
俺たちは制服からこの世界の服に着替え、装備を整えると教室から出て南に向け歩き出した。
現在時刻は10:30
今日中に森を抜けられるかね?