Day 136 話
武器が完成するまで神田が薬を買いに来たり、研究中だった『良いもの』が完成したりといろいろあった。
まあだからと言って武器ができたことに感慨がある訳でもなく、装備を受け取り早々に店を出る。俺よりも佐藤の方がはしゃいでいたぐらいだ。
今の俺の服装は黒っぽい服の上から白銀の胸当てと脛当てを着け、ダークグレーのコートを着込んだ格好だ。
ランクで言えばB+~A相当の装備だろうか?チート級の性能ではないがそれなりに優れた装備である。
「さて、これからどうするよ? 俺とティナはもう何日かここいらで依頼を受けるつもりなんだけど」
「俺はスタディルに泊まる場所があるから夕方には帰るな。 その前にティナと2人きりで話があるんだけどいいか?」
ティナと佐藤、2人共に確認する。一応重要な内容だからな。
「私は別に構わないけど……」
ちらりと佐藤の方を見るティナ。
「ん? ああ、俺も別にいいぜ。 じゃあ宿屋で待ってるから」
そう言って去っていく佐藤に悪いなと声をかけてティナと街の外にまで行く。街中で話すより人がいないからな。
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「それで話って何? できれば早く終えて欲しいんだけど」
話すのにちょうどいい場所まで来たところでティナが口を開く。こっちとしても長引かせるつもりはないから早速言うか……
「話は簡単だ。 あのボスゴーレムを倒した段階であんたの種族が見えるようになった。 だから言う。 佐藤を裏切るような真似はするな。 そんな事をしたら殺す」
懐から1本の短剣を取り出しながら言う。
この短剣の名はドラゴンキラー………ドラゴンに大ダメージを与える特殊な付与術が掛けられた1品だ。他のやつにばれないよう宝物庫で手に入れたものでもある。
「……その短剣を見るからにかまかけってわけじゃなさそうね。 別にコーイチを裏切るつもりはないわ、まあ種族は明かしてないけど……」
「別に裏切るつもりが無いならそれでいい。 話したいことはそれだけだ。 ああ、そうだ、佐藤にこれを渡しておいてくれ」
短剣を持っていない方の手で懐から3枚の紙切れを取り出し、ティナに渡す。
「………なに、これ?」
「転移符、使い捨ての代わりに誰でも《ワープ》が使えるようにしたものだ。 使い方は行きたい場所を頭の中に思い浮かべながら破くだけ。 1枚につき使用者と使用者が連れていきたいと思ったやつが最大5人……計6人まで転移できる。 ただし1度行ったことのある場所にしか行けないからそこは気をつけてくれ。 後このアイテムを人目のある場所で使わないように。 じゃあな」
それだけ言って俺はさっさと《ワープ》でスタディルに戻る。
後にはとんでもない物を渡されて呆然としているティナだけが残った……




