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未来への理想 その2

[ワープ反応消えます。中国軍。出ます][モニターに出せ!]田辺 裕紀は憤りを感じた。




………奴等め!遂に強行手段に出たか。時間なんか守る連中ではない。……



[ジョーさん。攻撃態勢を!いつ来るかわかりません!][全軍!警戒を!中国軍に向けろ!まだ撃つな!][総理!日本軍空挺隊の出撃命令を!ミカヅキとヤエザクラを!アメリカ軍の援護に廻る。共同戦線で待機を!



黒いボディーに黄色いラインの戦闘機。ミカヅキ。赤いボディーに白いラインの戦闘機。ヤエザクラ。日本軍の最強部隊と称されていた。




総理官邸の庭が開く。




[空挺隊。スタンバイ。これより合流する]





日本コロニー近くに停泊する中国軍。




[バリアーを張れ!来るぞ!]総理が忙しく指示を出す。



日本コロニーに警戒サイレンが鳴らされる。




[緊急事態発生!国民の皆さんは建物の地下にお逃げ下さい。警備員は地下シェルターへの誘導を。繰り返します………]





[コウ・シュレン様。ご命令を!][サテライト ワープのエネルギーを銃身に転換しろ!サテライト キャノン。攻撃用意!][総理!見てください!サテライト キャノンです。光子力エネルギーの銃口が狙っています][充填までどのくらいだ!][五分。第2軍も準備しています!][総理!攻撃命令を!今ならコロニー外で防げます!攻撃が来たら防ぎきれません][全軍!攻撃用意!奴等の強行を許すな!]




[了解!コロニーのハッチを開けて下さい!出撃します!]




ズガガガガガッ!ドカーン!



中国軍の充填時間を稼ぐ前に連合軍は素早く撃ち落とす。一点集中で確実に数を減らす。[今だ!輸送機から兵を出せ!中は手薄だ!兵を日本コロニー内部に送れ!]次々に投下される兵に連合軍は手がまわらなかった。次々に投下される中国軍。[充填完了!投下を中止しろ!サテライト キャノン!発射!]




ズギューン!パパパパッ!




[クッ!………被害率は?][バリア。60%まだ持ちます!][一撃で40%か?後、2発!持たないぞ!][ジョーさん!光子力を反射出来ないか?][出来なくは無い。お互いに光子力を使えれば。だが…………][その技術はうちには無い。考えろ!田辺!どうする]





[ジョーさん。お待たせしました。アメリカ軍、サテライト船。援軍です。この空母なら光子力が撃てます。大統領の許可も取っています][来たか!援軍。充填は?][何時でも行けます。第2波に合わせますか?][実戦経験が無い。理論上は中和出来るはずだ。待機しろ!]




[被害率。50。半分は削がれたか。次のが来る前に数を裁け!二軍に別れる。もう一軍は兵の投下を阻止しろ!輸送機を狙うんだ!]二軍に別れる連合軍。既に少数は上陸した。




[コウ・シュレン様。第2軍にサテライト キャノンのご命令を][作戦変更!全軍!輸送機を援護しろ!サテライトはいつでも撃てる様にしろ!]




[空母!後方支援を。作戦変更だ。降下した兵は後回しに]ジョーは忙しなく指示を出す。[総理!残りの兵を追撃隊に][ウム。戦える者は武器を!中国兵を追撃せよ!]




戦いは一時間余り続いた。[奴等の補給も尽きてきたろう。一気に止めを!][連合軍。補給に注意しろ]




徐々に後退する中国軍。[コウ・シュレン様。いかがいたしますか?][例の物を出せ!内部破壊を狙う。被害は取り戻せる。恐れるな!][生体砲射出!降下した兵を援護しろ!]




大砲が射出される。弾丸は着陸と同時に変形した。[なんだ!あの兵器。変形したぞ!総理!あれは][………判らん。それが狙いか][ザーザーッ………総理!攻撃が効きません。あの兵器][………日本政府の方々。知らん様だな。それは生体兵器アペックス。頂点を極めし者。実験体にちょうどいい。使わせて貰うぞ。行け!日本を占領下にするのだ!]





3メートル近いセミの様な不気味な生命体。緑の大きな目が2つ。赤いボディーに羽が四枚。6本の手足を動かしながら町を踏み潰す。尻尾は長くサソリの様な爪があった。クワッと戦闘機を見上げるアペックス。尻尾から光線を出す。




ズガガガガガッ!カンカンカーン!全ての弾丸が弾かれる。手足を伸ばし、攻撃者を始末する。




[総理。ご報告します。我が軍。壊滅。既に占拠率80を越えてなおも増大。もちません][クッ………なんだと?][………サテライト キャノンはコロニー内では使えない。被害が増えるだけだ。それに有効な武器も判らん]ジョーは頭を抱えた。[アペックスとやらの解析はまだか?]田辺が化学班に聞く。首を振る化学班。[終わりだ!総理!早く地下シェルターに。ジョーさんも。私も行きます。未来の為に今はお逃げ下さい][仲間を見殺しに?]田辺は黙って頷いた。[それから化学班。お前で良い。地下で奴等の弱点を分析しろ。一度、身を隠す][田辺!死んでいった兵達はどうなる?][彼らはよくやった。だが………][………勝てないか。総理。私はアメリカ軍のプライドが有ります。星条旗は朽ちてはならぬ。残ります。必ずや弱点を見つけて下さい。さもないとアメリカ軍も壊滅するのです。必ずや。サア、お二人とも。お逃げ下さい][ジョーさん。………日本には古くからこんな表現があります。力を求める者こそ短命であると。凡人こそ長寿だと。必ずや探して見せます。日本だけでなく全世界の為に…………][ミスター田辺。済まんな。短い間だが会えて良かった。ピープルズ ネバーダイ。どんな生命体だろうが乗り越えて来た。それがヒューマン パワーだ。今は退け。戦友の為に。ジャーな]地下シェルター行きのエレベーターに乗る二人。深々と頭を下げる。





[滑稽な物だな。私が朽ちる場所は本土だと思っていた。日本も悪く無いな。何故なら戦友がいる。未来を託せる者がいる。私はこれで良いのだ。ミスター田辺。必ずや戻って来い。このシェルターはお前らの物だ]





[国民は集まってるか?][ハイ!各々、地下シェルターから難民船に乗り継ぎました。もう離陸してます。総理!田辺さん!お早めに][行こうか。田辺君。いつの日か取り戻す旅に][総理!お供致します][元総理だがな。自分のコロニーを捨てた総理など]田辺は肩に手を掛けた。[だから生きるんですよ。違います?人は皆、強くなりたい。それは報われぬ過去があるから][そうだな]





[カツカツカツ。ダーリン!何があったの?][日本コロニーは…………我々は中国軍の技術力に負けた。美紀!早く乗れ!][どうなるの?][支配下だ。今はな]






難民船が出航する。三人は日本コロニーを見た。残骸の山と化したコロニー。アペックスはまだ雄叫びを上げていた。火の海に沈む総理官邸。三人はその光景を目に焼き付けるのだった。




[総理!これが中国のやり方ですか?この戦火が][恐らくな。中国政府に支配された国々は得体の知れない生命体を見たと聞いた。奴等だろう]各々の船は世界各国に散らばり人々は身を寄せるのだった。ある者は素性を隠す者もいた。




それが利権戦争の全容らしい。望みも、夢も、希望も、根こそぎ剥ぎ取られたコロニー。それが始まりらしい。





未来への理想。完結

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