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碧の猛獣使い  作者: 翠月
プロローグ
1/8

第0話

初めまして。翠月です。


☆ ☆ ☆


 とある町のとある病院。

その最上階・特別室とかかれた病室がある。

そこには、延命処置の機械に繋がれ寝たきりの(まだ若干15歳と見られる)少女が眠っている。


「おはようございます。さぁ、高梨さん空気の入れ替えしますね。」


 病室のドアをあけて入ってきたのは、少女を担当する看護師。いつものように窓を開け、朝の回診を行い高梨と呼ばれる少女に声をかける。


「今日もいい天気ですよ。早く外歩けるといいですね。」


 そんな彼女の声にも少女は無反応。看護師は反応無しの少女の顔を見て悲しそうな顔をした。


「また、来ますね。」


 看護師が部屋をでてドアを閉めると同僚が声をかけてきた。


「ねぇねぇ。高梨さんどうだった?」

「どうだったっていつも通りよ。」

「そう。……でも可愛そうよねぇ。高梨さん。

お見舞い一人もいらっしゃらないでしょ。いくらここが完全看護の病院でもねぇ…。」


 そんな世間話をしながら看護師達は仕事に戻って行く。

 その声は病室内にも聞こえていた。




高梨少女

  ーin・脳内ー


(そう私の家族は今まで面会には一度も来なかった。

 父はこの町で一番の名家・高梨の当主だった。

 だから、病室も一番いい部屋にされたのだけど。両親は私の事はどうでも良いらしい。

 父は私の幼い頃も、私が原因不明の病を患っても一度も私の面会には来なかったし、母は父との折り合いが悪く他の男と駆け落ちした。

 友達は作ることが出来ない内に私は入院したし、病室から出ることは禁止されてたからいない。※まぁ強いていうならテレビが友達。

 その後植物状態になったから、父が面会に来たのかどうか、周りが分からない今となってはどうでもいい。

 もう私はこの世界には何の未練も無いのだけれど……医学は進歩しているようでなかなか自由になれない)


《あ~あ。体動かないのはどうしようもないんだけどねぇ。》


 そんな呟きに答えた声があった。


《じゃあ自由にしてあげようか。》

《誰?》


 すぅっと彼女の思考の空間にド派手な青年が現れた。良く見ると背中には羽、頭には光る輪。


《僕?見て分からない?僕は天使さ!》


(天使………天使…なの……かなぁ?)


 天使とはあまりにかけ離れている身なりで言われてもホストにしか見えないと思いながらじっと見つめた。


《ん?そんなに見つめて、僕に惚れちゃった?》

《…………。》


 ※ここで説明しておくと高梨少女は、あまり突っ込みなれていないため反応に乏しい。


《コラコラ、何か言いなさい。》

《えっと……本当に天使?》

《そうさ!天使さ!》

《羽と輪っかが無かったら完全にホストね。》

《ひどいなぁ~》


 イジケル派手な天使をよそに、高梨少女は話が脱線していたことにハッとする。


《そうだ。自由にするってどういう事ですか?》

《?どういう事って、言葉の通りの事だよ。君を

今の体から解放してあげるって事。》

《出来るの!?》

《出来るのって、僕は天使だよ?君達の世界に伝わる天使がどういうものか分からないけど、僕たち天使は魂を集めて神様の所に案内する役目が在るんだ。》

《……それって初めから私を神様の所に連れてくって事じゃないの?》

《まぁそうともいう。》

《じゃぁ、聞くまでもなく連れていくんじゃないか。》

《いやいや。君の場合ちょっと違うよ。本来なら体が完全に機能停止しないと魂は剥がれないし、無理に剥がそうとすると魂自体が壊れちゃうんだ。君の体はまだ完全に機能停止してないからね。》

《……。そんな魂が壊れるようなことを今からあなたするところだったんかい!?》

《なんか急にツッコミ上手くなったね。》

《あなたがツッコミ満載だからよ!》

《いや~照れるね。》

 

 ゛バキ!バキバキ!!☆☆゛

 流石にボケた押す天使にエルボーを食らわせた高梨少女は次を促す。


《いたたっ。手加減してよ高梨ちゃん。》

《貴方が馬鹿なこといったからでしょ?で?なんでそんな物騒なこと提案したの?》

《あーあ痛かった。……それはね、君がその手段をとっても耐えられる魂の持ち主だった事と、神様に呼ばれてるって事だからだよ。》

《耐えられるのは分かったけど、神様が私に何の用事で呼んでるの?流石に夢じゃないのは分かるけれど…。》

《まぁそこは会って聞いたらいいよ。さぁどうする?行く?行かない?》


 聞かれて高梨少女は考えた。考えた結果未練も愛着もない人生だったので、世話になった看護師さんには申し訳ない気持ちもあったが出した答えは是だった。

 しかし、是と答えた天使はとんでもない事をいった。


《いや~良かった。もし否と答えられてたら困っていたところだったよ。もう、離しちゃった後だし。テヘ。》


 可愛く言った天使だが、顔面怒りMAXの高梨少女にエルボー+鉄拳を喰らった。



☆ ☆ ☆



ーin・天界ー


 グルグル包帯巻きにされた天使と額に怒りマークの入った高梨少女は真っ白な空間にやって来た。そこにすーっと音もなく現れたダンディーなおじ様がいた。


《よう。嬢ちゃん。こいつが迷惑かけたな。》


 何もかも知っている口振りなだけに、高梨少女はもう、怒る気力もなくなっていた。


《はぁ。いいですよ。バカ天使に天誅食らってもらったのでそれ許してもらえれば。》

《あぁ許すとも。》

《ところで貴方が神様ですか?》

《おうよ。まぁ実直にいうと君達が言うところの神様っつう役職についてるだけだがな。》

《で?何故私を呼ばれたんですか?》

《話スルーかいな。まぁいいが。

 それはな、お前さんにとある世界に転生してもらいたいんだ。お前さんの精神力と清らかな魂なら大丈夫だからな。》

《なんか、何かしらあるような感じなんだけど…。》


 ジーッと見る高梨少女にギクリとした神様と天使。


《……まっ…まぁ基本的には此方の手違いの清算としてのお前さんへのご褒美も含まれとるな。》


 納得はあまりしていなかったが、転生して人生が楽しめるならまぁいっかと自分で無理矢理納得させたら。


《まぁいいよ。で何処に転生させてくれるの?》

《それはまぁ逝って確かめろ。まぁ始めに言える事は異世界って事だけだ。まぁほどほどに頑張りな。》

《分かったわ。まぁ納得いかない部分もあるけど頑張るよ。》


 高梨少女はそう言って光の中に消えていった。

彼女を見送った神様と天使は両者対象の顔をしていた。


《クックックッ。面白い少女だったな。半分以上寝たきりだった人生なのに…。》

《笑い事じゃないっすよ。僕がああいう清らかな魂苦手なの知ってるくせに。》

《もとはといえば全部お前の失敗が招いたことじゃないか。彼女の魂は特に汚れのない魂だ。お前も早く慣れろこれも経験だ。まぁここの事は彼女の記憶を曖昧にしてあるから大丈夫だろ。》


 ……。そんな高梨少女が聞いたら鉄拳が振り撒かれるがまぁ彼女が去ったあとなので良しとしときましょう。うん。良しとしときましょう。

誤字・脱字・感想有りましたら教えてください。


7/24 修正しました。

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