我が名は“フール”~魔術者と王国~
その人間の方に寄ってみると、突然空間にゆがみが生じた。
(な、これは!?)
そう、これはウォスレイト王国で、よくつかわれている魔術。
「魔術についてはまだ覚えているみたいだね。でも、自分の名前だけはどうしても思い出せないようだ。」
俺の事を何か知っているようだった。
「君の心には鍵がかかっているようだ。その鍵さえとければ君の体も名前も声も古傷も元に戻ると思うよ。」
その言葉を聞いた瞬間、俺は相手の肩をつかんでいた。
(どうすれば元に戻れる?何でもするから、頼む!教えてくれ!この通りだ!)
俺は灰と化していることを忘れ、必死に土下座した。
「良かろう。我が名は“フール”。お前を救いに来た。もうすぐ神々が目覚める。」
聞いたことのある言葉だった。
そう。灰と化する直前に聞こえたあの言葉。
(まさか、あんたが俺の心に声を・・・・・。)
「君の名前は“ロウィ―ト・アミュレッタ”だからな。そうだな・・・“ロート”。長いから短くした。良いな、ロート。」
(あ、はい。(適当だな・・・。))
かなりの魔力が感じられた。まだ、感覚は鈍っていないようだ。
そして、俺はフールから王国の事や、姫の事について聞いた。
どうやら、フールが言うには姫は何とか無事なようだ。だが、いつもぼーっとして以前の明るさが無くなったと言っていた。
((俺のせいか・・・・。))
「ま、王国秘密機関探索科本部長のこの俺にかかったらこれくらいは朝飯前だがな。」
(な、あのロスファイ本部長!?)
その機関については耳にしたことはあった。
その凄い人を目の前として俺は硬直してしまった。
「そんなに固まらなくても良いんだけど。で、ロートの心の鍵を解くにはもうすぐ目覚める神々に対して祈りを捧げなければならない。たとえ、どんな犠牲が出ようとも。そして、神を絶対に裏切らないこと。それを守れるのならきっと、ロートの心の鍵はとかれるであろう。」
(分かりました。一生涯その神々に祈りを捧げます。そして、何があっても絶対に裏切りません。)
俺は姫のもとに戻れるならどんな試練でも耐えることを誓った。
「じゃ、その神々がいるところ(凱旋山)に行こうか。」
こうして、俺とフールは凱旋山に行くことになった。
やっぱり物語があやふやになってきた感じです(-_-;)
この物語の終わりが見えない・・・・・・。