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我が名は“フール”~不思議な人間と声~

2回に分けて更新します。


いつも書き方様々ですみません(-_-;)


――――――少年の心――――――


「――――――我が名は―――――。お前を――――――。もうすぐ――――――が目覚める――――――。」



「俺の名は・・・・・。」


だめだ。どうしても思い出せない。


あの時、姫の事を忘れたくなくて禁術の呪文(ヴァイオルーツ)を唱えてしまった。


しかし、やはりまだ未完成だったか・・・。


姫をかばって負ったこの傷。


きっと、姫の心に刻まれてしまった。


なんてことをしてしまったんだろう・・・。


声が出せない・・。だから、いつも心で話しかけていた。けど、誰も気づいてはくれなかった。


そんな時、姫は俺に話しかけてくれた唯一の人だった。


僕が心で話せるのは姫だけだった。


その姫とも距離があり過ぎて届かない。


お互いの心の痛みを二人で分かち合ってきたのに、肝心な時に分かち合えない。


とりあえず、死ぬわけにはいかなかったから灰と化してみたけれど・・・・。


「あのとき聞こえた言葉・・・。一体誰だ?俺は姫以外とは話していない。いや、話さない。」


思い出してみると、やはり誰かに声をかけられた気がした。


それを覚えているということはまたつながるかもしれない。


いつもなら忘れてしまうそんな記憶。


だが・・・・


「俺は、今灰と化してしまった・・・。繋ぐにもつなげないじゃないか。」


繋ぐためだけに元に戻ったらまたあの古傷が開いてしまう。


繋ぐにもつなげない。


身体に戻ろうにも戻れない。


誰かに伝えようとしても伝わらない。


「駄目じゃないか・・・・・。」


どうやら俺は、生き延びる為だけに、殆どの選択肢を失ってしまったようだ。


「どうすればいいのだろうか・・・。」


とりあえず、風に吹かれて知らない土地にやってきた。


そこで俺はあることに気が付いた。


灰と化しているはずの俺に、手を振っている人間がいたのだ。


「ん・・・・・?あの人間、俺の事が見えてる??」


思わず、手を振り返してしまった。


「とりあえず、話しかけてみるか・・・・。」


(あの・・・。もしかして俺の事見えてますか?)


灰と化したため、今ではそこら辺に転がっているゴミと同じくらいのカスになっている俺が、今更こんなことを聞くのも何か恥ずかしい。


だが、そんなことを想っている暇なんて無かった。


「・・・・・Hey you!!What you name??」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


俺は灰になっていたとしても硬直してしまった。


知らない言葉を話されては対処のしようもない。


俺は諦めてまた風に吹かれた。


「・・・・ちょ、ちょっと待って!!!灰の君!」


俺はまた硬直した。やはり見えていたのだ。


(見えてるなら見えてるって言ってくれればいいのだが・・・・。)


「ごめんごめん。君、もしかして・・・・??」


強い風が吹いて良く聞こえなかった。


(ごめん。良く聞こえなかった。もう一回言ってくれる?)


「えっと、君ってウォスレイト王国の兵士だった?」


「・・・・・・・。」


率直に聞かれた。しかし、俺はすぐには答えなかった。


何故なら、相手が何者なのかもわからないのに姫のいる王国の事を話す訳にはいかないからだ。


(お前、誰だ??何故、俺の心に声が届く?)


「あ、ごめん。俺の名前は鎖桜 城(ささくら じょう)。ウォスレイト王国の1軍兵士だ。」


(王国の・・・・1軍兵士!?)


城はエリートの称号である紋章を見せた。


「どうだ。これで信じたか?2軍兵士。1386番、ロウィ―ト・アミュレッタ君。」


まだ、戦争が起こる前。ウォスレイト王国で呼ばれていた番号。


だが、自分の名前だけはどうしても、思い出せなかった。


(す、すみません。1つ下のくせに、無礼なことを・・・・。どうかお許しください!)


素直に謝った。しかし、期待はずれの答えが返ってきた。


「そんなことより1386番。今のお前の状況を説明しろ。」


謝罪をすんなりスル―された。だが、すぐに今の状況を説明しなければならなかったので気にしないことにした。


「・・・・・。そう言うことか。しかし、戦争を放棄してのうのうと逃げるとは。お前は大変なことをしたんだぞ!今すぐ王国に戻れ!・・・・・・と、言いたいと頃なのだが。灰と化した状態じゃ戻ろうにも戻れないな。」


だからと言って、今戻る訳にはいかない。戻ったらあの傷が開いてしまうからだ。


その傷を見られる訳にはいかない。


でも、姫にも会いたい。


それに、自分の名前すらろくに思い出せないなんてへっぽこすぎる。


そんなとき。城の後ろから俺に手招きしている人間がいた。


俺は、こっそりその人間の方へ行った。


何故かそっちに行かなければならないと心が思ったからだ。


それに、手招きしていた人間には何となくだが見覚えがあった。



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