翔け、少年よ
人は皆、一度は空を飛びたいと思うだろう。
人間は、自分だけでは飛べないから、「飛行機」というものを生み出した。
あの少年は、思っていたのだろうか。空を飛びたいと。
灰と化し、風に吹かれ、実現させたのだろうか。
もう一度生まれ変わったら、少年は大切な人の事も忘れてしまうのだろう。
最後に大切な人と共に空を飛びたかったのだろうか。
私は鳥が羨ましい。
けれど、鳥の一生はとても短い。
人間よりも、地上の動物よりも。
少年の心は翔けたのだろうか。
私もいつか、大空を翔いてみたい。
そして、今、少年に届くように叫ぶ。
「さぁ!翔け、少年よ!自らを解放し意のままに翔け!」
少年の心に響いたかどうかはわからない。
近くの木に留まっていた鳥たちが大空を翔き、遠くへ去って行った。
私は私。
少年は少年。
それぞれの思いによってどう飛ぶかが決まる。
試験に合格し、将来が翔けたり。
人それぞれなのだ。
翔けた者は素直に生きることができる。
しかし、翔けなかったものはいつか後悔する。
少年はこれから生まれ変わっても、きっと素直に、そして明るく、前向きに生きることができるだろう。
そう。隠れて闇の中を生きているこの私とは違ってな。