旅物語を記して
あれからずっと夜が明けるまで起きていた俺は空を見上げていた。
(空って、こんなにきれいだったっけ・・・・。)
今まで、下と前しか見てこなかった俺は初めて顔を上に向けた。
そして知った。空はとても青くて、綺麗だったことを。
(広い空に、綺麗にすんだ青。まるで、姫の瞳のようだな。)
何となく自分で言った言葉を頭の中で繰り返すととてもじゃなく、くさい言葉だと思った。
そして、夜が明け陽が昇った。
(朝日・・・・・か。久しぶりだな・・・・。)
本当に何もかもが懐かしく思えてならない俺はグッと背伸びをして立ちあがった。
(さ、願いはどう叶えられるのだろうか。)
神に頼んだのはたった一つ。
この願いを聞き入れてもらった時は“これで終わるんだ”と思った。
『ロウィート・アミュレッタよ。』
(これはこれは。おはようございます、神様。)
神のお声掛けに片足を地面につけ丁寧に答えた。
『このたびは本当に助かった。礼を言うぞ。』
(いえいえ。たいしたことはしてませんよ。)
『では早速そなたの願いをかなえよう。最後に聞くが、本当にそれだけでよいのか?』
(構いません。それだけかなえていただければ他には何も要りません。)
これでやっとひめに・・・・・
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~姫の目線~
夜が明け、私は何故か朝早く目が覚めてしまった。
「昨日のはやはり空耳でしょうか・・・・・・。」
“本当だったら良かったのに”
そう私はずっと思っていた。
彼が戦地へ行った日からずっと神に祈り続けてきた。
でも、いくら祈ってもロウィータは帰ってこない。
途中でやめようと思ったこともあった。
戦地での傷死者名簿に彼の名前が載っていたときはショックを受け、食事ものどを通らなかった。
それでも私はやめなかった。
どうして止めなかったのかは分からない。
願っていればいつかきっと会えると信じていたのだろう。
そう思いながら私はベランダに出て朝日を浴びた。
グッと背伸びをし朝の祈りをささげる。
「どうか、ロウィートを。神様お願いです。ロウィートと私をお会わせください。」
私はいつもと同じように祈った。
「姫。」
聞き覚えのある声に私は祈りを辞め、思わず振り返った。
「姫、おはようございます。」
(え・・・・・・。)
私は自分の目を疑った。
あれから5年も経ち、傷死者名簿に名前が載っていた彼がそこにいたのだ。
「どうしたのですか、姫?」
「嘘でしょ・・・・?何で貴方がここに・・・・?」
「私がいては駄目でしょうか?」
“そんなことはない”と言う前に、身体が勝手に動いた。
ギュッ・・・・・
「ひ、姫!いきなり何・・・」
「馬鹿!!一体今までどこに言ってたのよ!あれから5年も経ってるから死んだのだと思って・・・・。」
私は涙があふれ出し止まらなくなった。
「す、すみません。今までずっと灰になってまして・・・・。」
「・・・・・どういう意味っ・・・・よっ・・・・?」
「えっと・・・話せば長くなるのですが・・・。」
私は涙をこらえるのに必死であまり話を聞けていなかった。
「・・・・と言う訳なのですが・・・・。理解していただけましたか?」
「もういいわっ!まったく、灰になっていたなんて、誰が信じるものですか!」
私はわざと怒って見せた。
「昨日、姫の部屋の前にいたのですが・・・・・。」
(え・・・・・・?)
私は聞き逃さなかった。
確かに今、“部屋の前にいた”と言ったのだ。
「もしかして、わ、私の名前呼んだ?!」
「え、えぇ。ですが、灰と化した状態では認識してもらえず少々ショックを受けていました。」
「ご、ごめんなさい・・・・・。」
「いえいえ。姫が謝ることではありませんよ。」
この時間がもっと長く続けばいいのにと思った。
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~ロウィート・アミュレッタの目線~
神に願いを叶えてもらい、俺は姫のもとへと行った。
「私の体を元に戻してください。」
そう願った。
他にもたくさん願いはあったのだが、やはりこれにした。
俺にはこっちの道しかないのだと思った。
朝日を浴び、背伸びをしている姫に向かって小さく言った。
「姫。」
俺がそう呼ぶと姫は何も言わず振り返った。
目を大きく開き、驚いた表情をしていた。
もう一度、名前を呼ぶと姫は俺に向かって飛びついてきた。
「馬鹿。」と言われたからいい訳を言ったのだが、「灰と化していて・・・・。」等と言って伝わるはずが無い。
一応説明すると、やはり信じてはもらえなかった。
わざと怒っていることはすぐいに気が付いていた。
そして昨日の事を話すと、見事に食らいついた。
ずっと会いたかったという事を伝え、俺は姫に言った。
「ただいま。」
言いたかったことば。
今、この言葉が言えることに感謝をしている。
神には本当に感謝しかない。
そう思いながら、久しぶりに姫の笑顔を見て俺は安心した。
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姫に再開し、数年がたった。
「姫!!もうすぐ時間ですよ!」
「わかってるって!!!」
姫が走りながら俺のもとへ来る。
そう、今日、私は姫と結婚するのだ。
そしてこの国を治めて行く。
実を言うと、俺はもうずっと前、灰になる前から姫との結婚を王に命ぜられていたのだ。
王宮貴族最高級クラス会長。
それが俺のホントの姿だった。
姫はそれをまだ知らない。
だが、言う必要はないだろう。
だってもう、その地位は部下に譲り今はもう何も地位もない人間なのだから。
「ロウィート!!はやくっっ!!」
「今行くよ!」
そう言って今度は俺が姫のもとへ行く。
これからの国がどうなるかはまだ分からない。
はい。
やっとのことで終わりました。
色々と文章の形が変わったりしてすみません(-_-;)
これでおわれるのが凄くうれしいですww
ありがとうございました!!!