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フェイトの記憶 : 創造主の反響   作者: Makuu0
シーン1 ― 新しい風景
8/14

第6章 : 私の最初の友達。

運命

冬の始まりから、僕たちの家の上にはまるで宮殿のようなものが浮かんでいた。

僕はそれを少し面白いと思っていた。だって、それが風や雪から僕たちを守ってくれていたからだ。

おじいちゃんの話によると、僕たちは「サイクロン」と呼ばれる巨大な嵐の真ん中にいるらしい。

その中心は「サイクロンの目」と呼ばれているそうで、僕はその名前がすごくかっこいいと思った。

でも結局のところ、僕の日常は何も変わらなかった。

嵐の中だったけれど、僕は外に座った。

雪は積もらず、草は再び緑を取り戻していた。

雪を生き延びたわずかな虫たちが、恐る恐る姿を現している。

僕は庭を探検することにした。

いつも手放さない図鑑を片手に、そこに載っている虫を探していた。

「フェイト!?」

聞き慣れた声がした。

顔を上げると、そこにはピ――本名はプリシラが立っていた。

リチャードさんの孫娘で、そして僕と同じくドラゴンだった。

「何してるの?」

「本に載ってる虫を探してるんだ。」

「手伝ってもいい?」

少し恥ずかしそうに彼女が聞いた。

僕は首を傾げて、笑いながら答えた。

「もちろん。」

彼女が近づくと、肩までの髪からバラの香りがした。

「お嬢様、ラプラス様にご挨拶してまいります。」

「んー……」

彼女は侍女の方を見もせずに返事をした。

ルルが軽く会釈して屋敷の中へ戻っていくのを、僕は見送った。

優しい人だけど、プリシラの話になると、僕の知る中で一番厳しい大人になる。

……もっとも、僕はあまり大人を知らない。

ママと、ヘンリーさんの奥さんと、ルルくらいだ。

「フェイト、大丈夫?」

ピが僕の注意を引こうとして聞いた。

「ん? ああ、ごめん。ただ、どんな虫なのかなって考えてただけ。」

彼女は少し考えるように小さく唸った。

興味はあるけれど、そこまでではなさそうだった。

僕がページをめくっていると、彼女が尋ねた。

「どうしてそんなに動物が好きなの?」

「えっ?」

言われてみれば――どうしてだろう?

本を見つめながら、僕の表情は楽しさから困惑へ変わった。

正直、自分でも分からない。

この気持ちに名前を付けることもできなかった。

少しむっとしてしまう。

「無理に答えなくてもいいよ。」

彼女は慌てて言った。

僕は首を横に振った。

「分からないけど……動物を見ると、体があったかくなる感じがするんだ。」

「それって、恋じゃない?」

「恋?」

彼女は言葉を探すように指を唇に当てた。

「おじいちゃんがね、人の体にはいろんな感情があるって教えてくれたの。怒りとか、喜びとか、怖さとか……それから愛。全部には理由があるんだって。」

少し考えてから続ける。

「例えば怒りは、嫌なことがあった時に生まれるでしょ?

恋っていうのは……誰かのことが好きになって、離れたくなくなる気持ち。」

そう言って、彼女は僕を見た。

僕は視線を逸らさず見返した。

灰黒色の僕の瞳と、ルビーのように赤い彼女の瞳が重なる。

そして僕は言った。

「じゃあ……僕、ピのこと好きってこと?」

その瞬間、彼女の頬は瞳と同じくらい真っ赤になった。

あまりにも急に色が変わったので、僕はすぐに気づいた。

「具合でも悪いの!?」

彼女は体をこわばらせ、それから本へ視線を落とした。

「んー……からかわないでよ。」

そう言って、髪で顔を隠した。

僕は特に気にせず、顔を上げて星空に冠された要塞を見上げた。

そして再び視線を落としながら言った。

「僕、この世界の動物について全部知りたいんだ。どうして僕たちと違うのか、その理由も。……ピは?」

「わ、私!?」

彼女は本を見つめた。

「うん。」

彼女は自分の手を見つめながら、静かに言った。

「私は……私たちみたいな存在について、もっと知りたい。」

「私たちみたいって?」

「この星には、人間や動物だけじゃなくて……神話の生き物だっているでしょう?

だから、この世界を旅して、一緒に生きている人たちをもっと知りたいの。でも……私たちと同じ存在には、まだ出会ったことがない。」

僕は彼女を見つめた。

彼女は空を掴もうとするように手を伸ばした。

――僕も、彼女と同じだった。

おじいちゃんが話してくれた英雄譚みたいに、この世界を旅してみたかった。

空へ羽ばたき、

そして――この本の作者みたいに、自分でも本を書いてみたかった。

この世界に存在するすべての種族を記した、本を。

「決めた!」

僕は図鑑を見つめながら言った。

「?」

「僕も世界を旅する! そして、全部の種族を載せた自分だけの図鑑を作るんだ!」

そう、もう決めたんだ。

「フェイトも世界を旅したいの!?」

「うん!! 一緒にやらない?」

「世界を……旅するの?」

「そうだよ!」

彼女の顔がぱっと輝いた。

彼女は僕の手を取って言った。

「うん。一緒に旅したい。」

――あの日。

ただの子どもの約束が、

やがて世界の運命そのものを左右することになるなんて、

その時の僕たちは、まだ知る由もなかった。

*

**

僕がピを横目で見ていると、突然、黒い塊が僕の意識を襲った。

――影が戻ってきた。

僕はすぐに立ち上がった。ピの驚いた視線を浴びながら、僕は叫んだ。

「戻ってきたんだ!!」

僕は影に近づいた。

「誰と話してるの?」とピが聞く。

「見て、木のそばだ」と僕は指さした。

ピは僕の指した方向へ顔を向けた。

そこには、黒い塊の中に白い顔がうっすら浮かぶ影が木のそばに立っていた。

ピはすぐに怖がり、僕のジャケットにしがみついた。

僕は彼女を安心させるように言った。

「心配いらないよ、優しいんだから。」

「本当に?!」

「約束するよ。」

彼女は小さな指を差し出した。僕は少し戸惑った。

顔に出たのか、彼女は何も言わずに説明した。

「おじいちゃんは、約束をするときによくこうするの。二人の指を結んで……」

彼女は僕の手を自分の手に導いた。

「それで、『指クロス、鉄クロス。嘘をついたら地獄行き』って言うの。」

僕はぎこちなく笑った。意味はよく分からなかったけれど、少なくとも彼女は少し落ち着いたようだった。

僕たちは影に近づいた。

影は頭を下げ、ピを見た。その動きに彼女は軽く驚いた。

「久しぶりだな!!」僕は嬉しそうに叫んだ。

「ごめんね、小さなドラゴン。最近は忙しかったんだ。プリシラに会ったんだな。」

驚いたピは僕の後ろに隠れた。

「ううん、ごめん、怖がらせるつもりはなかったんだ……待って。」

影は一瞬振り返り、そして僕たちのもとにバラを一輪持って戻ってきた。

――でも庭には一輪のバラも咲いていなかった。

「はい、どうぞ。」

「あ、あ……ありがとう…」

その気遣いに、僕は少し嫉妬を覚えた。

それでもピはまだ完全には安心していないようだった。

「どうしてバラのことを知っていたのですか?」

黒い男は僕たちの上を見上げた。

――窓越しに僕の母を見ていたのかもしれない。

そして再び彼女の言葉に集中して、こう付け加えた。

「まだ見えていないものを、私は見ることができる……リサ……偶然だな。」

「リサ?それは誰のことですか?」

影は木の枝を見つめ、続けた。

「まだ咲いていない蕾の名前だ。」

「……」

そして彼は腰を下ろした。

僕はピが止めようとするのも気にせず、その膝の上に座った。

彼は特別暖かいわけではなく、むしろ冷たかった。

それでも彼のそばにいると、不思議な安心感があった。

彼は手を僕の頭に置き、そっと髪を撫でた。

僕はゆっくりとまどろみ始めた。

その安心感に引き寄せられるように、ピも僕のそばに座った。

僕たちが共に眠りの世界に沈んでいく間、彼は言った。

「なんて柔らかい……君が友人に言いたかったこと、分かったよ。さて……気分がいいから、ちょっと助言をしよう。」

彼は間を置き、そして宣言した。

「ニマリエという子どもを信じてはいけない。」

僕はその気遣いに微笑んだ。

目を閉じると、彼の手が最後にもう一度僕の髪を撫でてくれたのを感じた。

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