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~フェイトの記憶 ~  作者: Yūyake
シーン1 ― 新しい風景
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間幕: 悪の誕生。

ポタリ、ポタリ。

私は階段の段に座っていた。

両手は、まだ娘の血で濡れていた。

背後では、巨大な青いステンドグラスが、床に広がる血の赤と鮮烈な対比を成していた。

顔を上げたとき、彼がそこに立っているのが見えた。

その瞬間、はっきりと理解した。

――私は、確かに死んでいた。

「気分はどうだ?」

烏の仮面をつけた男が、私の正面に立ったまま問いかけた。

言葉を発するたび、それは拷問だった。

一言一言が、かつての私ではなくなったことを突きつけてくる。

顔が歪み、視界が痛みによじれた末、私は口を開いた。

「最悪だ……。

 あまりにも多くの人が、俺のせいで死んだ」

「知っている。すべてだ」

私は拳を握りしめた。

「いや……

 血に染まった手を持つことが、どういうことかは分からない」

「……」

彼は沈黙した。

私は顔を上げた。

彼は直立したまま、微動だにしない。

その仮面の奥を読むことは、不可能だった。

「これから、どうするつもりだ?」

空虚な笑いが、喉を抜けた。

「何もしない。 この場所に、永遠に留まる。 もう、誰も苦しめたくない」

私は自分の手を見つめた。

赤かった。

目を伏せても、その赤は消えなかった。

「お前は、いつもそうだ。終わりのたびに、始まりを拒む。 だが状況は変わる。数は常に興味深い……」

彼はそう言い、続けた。

「さて――今回は、どうする?我が愛しき“創造”よ」

私は顔を上げ、鋭く睨み返した。

「何度も言ったはずだ。もう、何も創らない」

「破壊が、再びお前の人生に踏み込むのが怖いのだろう。 だが今、破壊は自らの領域で目覚めている。 カリュケーは、魂を封じる役目を果たした」

私は目を見開き、言葉を詰まらせた。

「……どういう意味だ?」

「創造には、後継が生まれた。自らの領域を持たぬなど、思ってはいなかっただろう?」

彼は大きく両腕を広げた。

そして、黒く変色した親指を仮面に当てた。

「――魂だ」

「だから〈王剣〉は、彼女を選んだ…… 領域を持っていたから」

「正解。剣は力に適応した。さて、何をする力だと思う?」

「……魂を、刃の中に留める」

「その通りだ。 剣は、生き残るべきものを保存する」

「そして…… 旧世界の登場人物たちは、新世界へと流れ込む」

私は再び手を見た。

決断は、すでに下されていた。

「……分かった」

狂気じみていた。

だが、すべて真実だった。

彼は一度たりとも、私に嘘をついたことがない。

それでも――何かを隠していると、私は知っていた。

「まあいい。 その時が来れば分かる」

私は立ち上がり、階段の上を見上げた。

赤い花を描いた青いステンドグラスが、光を真っ直ぐ私に落としていた。

段を下り、彼の横を通り過ぎる。

正面には、扉があった。

取っ手に手をかけ、最後にもう一度、自分の領域を振り返る。

いつ、またここへ戻れるのかは分からない。

扉を回した瞬間、背後の影がこちらを向いた。

「幸運を」

扉をくぐると、闇が私を包み込んだ。

何もない。

私は一人だった。

自分の身体すら、感じられなかった。

それでも、柔らかな温もりが全身を覆った。

どれほどの時間が過ぎたのか――

二ヶ月ほどは、経っていたのだろう。

視界が、ようやく慣れ始めた。

音は聞こえる。

だが視界は、まだぼやけている。

身体は動かない。

意識はあっても、制御できなかった。

そのとき、私は理解した。

――一人では、なかった。

「ねえ、見て。 ニマリ、私を見てるわ」

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