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「日常の不協和音」  作者: Harumin


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8/31

「心が揺れる」

咲と樹と並んでテーブルに着いた蘭。

少し遅れて、水城が店に入ってきた。


「すみません、遅れました」

「改めて、水城 律です。」


その声が響いた瞬間、空気が変わった。

柔らかくて、低くて、静かな波のように耳に届く。

――また聴けた。

蘭の胸の奥がふっと温かくなった。


咲が何気なく笑いながら言う。

「蘭、どうしたの?今日、おとなしすぎない?」

「えっ、そ、そうかな…」

慌てて返すと、水城がふっと小さく笑った。


その笑い声にまた、心が揺れた。

あ、今、笑った…。

ただそれだけで、体温が少し上がる。


――なんでこんなに、声だけで心が騒ぐんだろう。


* * *


帰り道、夜風が冷たくて、少しだけ息を整えた。

水城と二人で駅へ向かう。


「今日はありがとうございました」

「こちらこそ。楽しかったです」


沈黙。

でも、心の中では雑音みたいに“声”が鳴り続けていた。

気づいたら、口が勝手に動いていた。


「……声、いいですね」


一瞬、息が止まった。

しまった、言っちゃった――。


「そんなこと、言われたことないですよ」

水城の声は少し低く笑っていた。

「でも、声だけですか?」


「え?あ…いや、そういう意味じゃ…」

どう答えたらいいのかわからない。

弾けるようにトーンが上ずる。

やばい、心臓の音がうるさい。


水城は微笑みながら、駅の改札前で立ち止まった。

「では、また。……おやすみなさい。」


その“おやすみなさい”は、蘭の涙腺を緩めてしまうくらい

心に響いた。

胸の奥がじんわり温かくて、

でもどこか、切ない。

なんだろ、この気持ち。


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