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「日常の不協和音」  作者: Harumin


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17/31

「ふたつ目の不安」ーいなくなったらー

[律の部屋]


律の部屋に入ると、律の匂い蘭を包んだ。

ソファに座った蘭にブランケットを肩にかけた。

温かい飲み物を持ってきた律が

「いろんなことが、一度に起きて、混乱してるだろ

 さっきは、ごめんな…あれは、俺も想定外だったんだが…」


蘭はふふっと笑った。その裏側に焦りのようなものが滲んでいた。

自分も、何もかもが、想像を遥かに超えた出来事に、頭の整理がついていない。

それでも——

ただひとつだけ、確かなことがある。


“律は、私を大切に思ってくれている。”


律はゆっくり近づいてきて、優しく抱きしめてくれた。

そして、律は ”カオリ”という人の話をしてくれた。

「俺は……蘭じゃなきゃだめなんだ、前にも言っただろ、

 蘭は俺にとって心地いいって…」


そんなふうに、律は言ってくれたけど…でも

(でも……カオリさんは、また律のところに来る。

不協和音が、また静かに蘭の中で膨らんでいく。



「蘭、今夜はゆっくりおやすみ…安心して大丈夫だからな」

と、律の声の音色に、心落ち着かせる蘭だった。

眠りについた寝顔を見ていた律は、蘭が愛おしくてたまらなかった。


[翌朝]

ゆっくり眠れた蘭は、

そうだ、律の部屋にいるんだ…ふと隣に律が眠っている。

寝顔がきれいだな〜と見つめながら愛おしく思った。


体調不良で早退したこともあり、蘭はしばらく休むことにした。

律も「そのほうが安心だ」と言ってくれた。

(律にこれ以上迷惑はかけたくない……)


律自身は昨夜から仕事を放り出したことで修羅場寸前の状態。

蘭を送ったあと、慌てて職場へ向かっていった。



***


夕方、スマホが鳴った。

咲からの電話だった。


「海外赴任?? うそーーー?なんでーーーー!」


あまりの衝撃に蘭は大きな声を上げた。

咲は蘭の体調を気遣いながら事情を話してくれたが、

蘭の頭の中は別の想像でいっぱいになっていた。


(もし、これが私だったら……

 律が遠くへ行ってしまうってこと……?)


(いやだ……ずっと一緒にいたい……)


その瞬間、あの年上のカオリが脳裏に浮かんだ。

(もし、律がカオリさんのところへ戻ったら……

 私の前から律が消える……?)


——会いたい。

——声が聞きたい。

——不安で押しつぶされそう。


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