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「日常の不協和音」  作者: Harumin


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10/31

「声から伝わる想い」

蘭は、いつもの社内の不協和音よりも、

自分の中から響く音を静めることができずにいた。

――なんで、こんなに心の音が、綺麗じゃないんだろう。


ざわついた音が、胸の奥に反響する音。

自分の鼓動が乱れて今までにない感じ…


「吉野さん、これ修正お願いできますか?」

「あっ、はい…わかりました」


樹の声に、ハッとして顔を上げる。

「どうかされました?元気ないですね。」


「……あ、うん。別に…

き きのうね、街で水城さん見かけたんだよね。

 すごく綺麗な人と一緒にいたの 見ちゃった・・・ 」

蘭は淡々と話した。

でも、トーンの奥にある“わずかな戸惑い”を、樹は聞き逃さなかった。


「それで?落ち込んでるんですか」

「水城先輩、特定の人いないって言ってましたけどね…」


「……ふ〜ん そうなのかな 」

でも、あの女性の声は…絶対 恋?愛?してる声だった…


樹は、そんな蘭を見つめながら

“ああ、蘭さん…なんか拗らせちゃってるな”

でも同時に、

“その拗らせ方、なんか臆病な人なんだな”

そうも思ってしまった。

(咲さんといい、この人たちは繊細だな…)


***

ピコーン

 ん?山下からメッセージか…なんだ


「お疲れ様です。ちょっと聞きたいことがあって、

 水城先輩って、お付き合いしてる人いるんですか?」


 「なんだよ、唐突だな…

   いいや、今はフリーだけど、なんで?」

ピコーン

「じゃあ、昨日一緒にいた女性は?誰なんです?」


 はあ? あ〜 と水城が笑って やっぱり見られてたか…と

 あの時の場面を思い出した。

「大学の後輩。 柏木 貴子だよ。お前も知ってる人だけど… 

 何?  なんでお前がそんなこと聞くんだ?」


ピコーン

「えー、? 柏木?なんでまた、先輩…もしかして…」

「あー、相変わらずだよ」

「いい加減、先輩のその無神経な優しさが、周りを傷つけてるって

 自覚してくださいよ・・・ 

(それでもなくても拗らせちゃってる人いるんですから…)

 「ん?なんだ? 」


「あ 週末にまた、お前の会社に行くんだよ、手直ししてくれって言われてんだ。」

「そうなんですか?その日は1日ですか? じゃあ 夜空けといてくれませんか?」

「あー 別に 早く片付けばな…いいけど。」


****

そうか〜柏木だったのか…あれはしつこいからな〜


「どうしたの?樹くん」

「咲さん!いいえ。なんでもないですヨ」

「あ そうだ、今夜水城先輩と約束してるんですけど…」


 ・・・・・・・・。樹は咲に、蘭と水城のことを話した。

「どうですか?少し協力してあげませんか?」

「そうね。元気のない蘭、見ててつまらないもの。」


――咲の瞳に、ほんの少しのいたずらな光が宿った。


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