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『伊丹十蔵、恋に落ちる(仮)』


⸺医療セクション第7研究室・午前3時。


「……来とる。わしの“理想形”が……この世に──舞い降りたッ……!」


伊丹は、震える手で顕微鏡を覗いていた。


画面の中には、最新の人工皮膚細胞“フェミナスX-99”の分裂データ。


「この“ハリ”、この“光沢”、この“反射角”……まさに、わしが求めとった“胸の表皮”……!」


(ピッ)


突然、顕微鏡が自動でズーム。


現れたのは、培養中の細胞のクローズアップ。

それは──なぜか、「うるうるした瞳」のように見えた。


「……ッ!? いま……ウィンクした!?」


(してません)


「いや! した!! たしかに見た!!」


伊丹は勢いよく立ち上がり、机に額を打ちつけた。


「わしは……ついに……細胞に恋をしてしもうたんか……!?」


助手A「先生、それ“幻覚”です。寝てください」


伊丹「いや、これは“出会い”やッ!!」



その後。


伊丹は「フェミナスちゃん(細胞)」に毎日話しかけるようになる。


朝:「おはよう、今日もプリプリやな」

昼:「ほんま、おまえの弾力だけで白米3杯いけるわ……」

夜:「わしな、病院辞めて農業始めようかと思ってるんや。おまえと静かに暮らすのも、ええかなって……」


助手B「…………先生、細胞に“婚姻届”置かないでください」



最終盤。


フェミナス細胞、ついに“適合率100%”を達成。

伊丹は涙を流しながら呟く。


「……もう、何もいらん……おまえがおれば、それでええ……」


(細胞です)



完。

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