『伊丹十蔵、美術館をつくる』
⸺東京都内・某高級住宅地の片隅
そこに忽然と現れた異様な建造物。
名前は……
Itami Breast Art Museum
──通称:IBAM
入口の銅板にはこう刻まれている。
「すべての女体は、未完成の彫刻である」
──伊丹十蔵
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⸺展示内容(一部抜粋)
●第一展示室『はじまりの丘』
テーマ:Aカップの尊厳
音声ガイド:「“足りない”のではない、“始まり”なんです──」
●第二展示室『揺れの間』
壁一面に投影される“スローモーション揺れ映像”。
映像監修:伊丹十蔵
音楽:「ノクターン第2番〜ゆれろ、わが乳〜」
●第三展示室『陰影礼賛』
乳の谷間だけを描いた油絵が並ぶ異空間。
一枚一枚に、謎の詩が添えられている。
「沈む光が、二つの丘のあいだに宿るとき
それはただの暗がりではなく──乳の夜明けである」
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⸺問題の特別展示『秘匿ゾーン』
※18歳未満立ち入り禁止
※全作品“伊丹私蔵の胸型”を3Dプリンタで再現したもの
※謎のマネキンに「これは1999年作。通称・奇跡の左右差」とか書いてある
来場者「いや、キモいけど……芸術って言われると……なんか……わかる……?」
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⸺開館記念イベント
司会「本日は館長・伊丹十蔵先生にお越しいただきましたー!!」
伊丹、登壇。白衣+黒のスカーフでなぜか芸術家ぶる。
「わしが……この世から消える前に……“揺れ”だけは残したかったんや」
「皆さん。今日だけは、“カップ数”ではなく“カップの物語”を、見ていってください」
会場、なぜかスタンディングオベーション。
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⸺出口・ミュージアムショップ
・「乳典2025」(超分厚い写真集)
・「伊丹語録アクリルスタンド」
→「乳は“技術”より“執念”じゃ」
・谷間をテーマにしたチョコレート:Itami Ganache
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⸺来館ノートの感想
「気づいたら泣いてた」
「自分の体を好きになれそう」
「この人、たぶん正気じゃない。でもありがとう」
伊丹、静かに展示室を見上げてつぶやく。
「美術とは、ただ“見られるために作られるもの”──
ならばわしの人生、ぜんぶ“展示物”みたいなもんやな……」
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完。