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第7話 半年後

 魔境の森に捨てられてから、半年後。


「うわっと!」


 空から叩きつけてくるような巨腕をかわし、僕は一歩下がる。

 視線を上に向けた先には、巨大な熊の魔物だ。


「グオオオオオオオオオ!」

「でかいな……!」


 頭身は約十メートル。

 体全体が筋骨隆々で、拳は大地をも砕くだろう。

 おそらくこれが、“近辺の(ぬし)”だ。


 これはラッキー(・・・・)だな。


「今日はたくさんお肉が食えるぞ!」


『やったー!』

『うおーやるぞー!』

『お肉お肉ー!』


 僕の呼び掛けに、周りのスライム達も念話で応える。

 近辺の主に対して、すでに敵とも思ってないみたいだ。

 もはや捕食対象ぐらいなのかも。


 それもそのはず、僕たちもかなり強くなった。


「いくぞみんな!」


 両手を前にし、僕はスキルを多重発動させる。

 まずはスライム達の強化からだ。


【スライム物理耐性】【スライム魔法耐性】

【スライム身体強化】【スライム魔力強化】

【スライム(とう)()付与】【スライム属性付与】


 耐性と強化を二種ずつかけ、攻守共に(きょう)(じん)にする。

 さらに“透過”と“属性”を付与することで、見えない固定砲台の完成だ。


『『『うおー!』』』


 六つのスキルの恩恵をもらったスライム達は、すぐさま四方八方に散らばる。

 いつもの攻撃フォーメーションだ。 


「グ、グオッ!?」

 

 近辺の主からすれば、不思議な感覚だろう。

 気配は感じているのに姿が見えない。

 そうこうしている内に、スライム達は近辺の主を取り囲んだ。


 後は、属性魔法を放つだけだ。


『うおー【業火球】!』

『ぼくは【洪水球】!』

『くらえ【稲妻球】!』

『いっけー【暴風球】!』

『どすこい【土塊球】!』

『えいやー【神光球】!』

『ふははは【闇魔球】!』


「グオオオオオアアアア!」


 全方位から七色の魔法を放たれ、魔物はよろつく。

 これは予想外だっただろう。


 だが、やはり魔境の森における、近辺の主。

 ただでは倒れないらしい。


「グ、オオ……グオオオオオオオオ!」

『『『うわわー!』』』


 再び雄叫びを上げる近辺の主に、スライム達はびっくりする。

 大抵の魔物はこれで倒せていたが、少し及ばなかったか。

 ならば仕方ない。


「みんな、その場から離れて!」


『アケア!』

『うんー!』

『お願い!』


 スライム達が離れたのを確認し、僕は自身の魔力を込める。

 

「ふう……」

「グオオオオオオオオオ!」


 対して、近辺の主は僕の方に向かってきた。

 僕がリーダーだと勘付いたんだろう。

 でも、もう遅い。


「これは止められないと思う」


 スライム達を退かせたのは、近辺の主から攻撃をもらわないためだ。

 だけど、実は理由はもう一つある。

 というより、こちらの方が理由としては大きいかな。


「僕の魔法に巻き込んでしまうからね」

「グオオッ!?」


 真っ直ぐに伸びた僕の手から、魔法が放たれる。

 七色の属性を灯した、巨大な矢だ。

 

「【七属性の巨矢】」

「グオオオオアアアアアアアア!」


 虹色の巨大な矢は、近辺の主を体を貫き、そのまま天へと伸びていった。

 空へと向けないと、周辺の木を全部破壊してしまうからだ。


『アケアつよーい!』

『アケアがいれば安心!』

『ぼくたちのリーダー!』


「あははっ、みんながダメージを与えてくれたからだよ」


 こんな様子が最近の風景だ。

 今回の相手はちょっと強かったけどね。

 とにかく、今日の収穫も得ることができた。


「じゃあみんな、早速持って帰ろう!」

『『『わーい!』』』


 そうして、近辺の主を倒し、僕たちは拠点へ大量の肉を持って帰るのだった。

 

 だけど、この時の僕はまだ知らない。

 この後に僕の“転機”が訪れることは──。

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