第4話 働き者のスライムくん
「一度休もっか」
スライム達と共に、ギガピッグを倒した。
色々ありすぎて疲れてしまったので、少し休むことにする。
しかし、その間にギガピッグの体から光を発し始めた。
その光はギガピッグの体を離れ、僕の体へ取り込まれていく。
「あ、これは!」
これは“経験値”だ。
魔物を倒すと、倒した者へ魔力などが流れ込んで来る。
それでギフトに応じたパワーアップができるらしい。
テイマーの場合は、MPや魔法が増えたりするのかな。
「なんだか力があふれてくる……」
強い魔物ほど、経験値は大きい。
経験値を初めて得たのもあるけど、ギガピッグの経験値がそれほど多いんだ。
やっぱりすごいな、“魔境の森”の魔物は。
そうして感心していると、スライム達が話しかけてきた。
『ねえねえ!』
『ブタさん食べないの?』
『すっごく美味しそうだよ!』
「え!? い、いやあ……」
ギガピッグは丸焦げになっており、正直あんまり食べたくない。
それに毒がないとも限らない。
食事の代償に死亡なんてごめんだ。
と、そんな心配を察したのか、スライム達は続けた。
『ぼくたち分解できるよ!』
「え?」
食物連鎖の最下層にあたるスライムは、いわゆる分解者にあたるのかな。
詳しくは分からないけど。
そうして、スライム達は動き始める。
『ぶんかーい!』
『ぶんかいー!』
『悪いものを取り込むよー!』
「す、すごいな……」
本当にギガピッグの分解を始めたみたいだ。
また、ギフトウインドウにも気づくことがあった。
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アケア
MP :790/1020
ギフト:スライムテイム(100)
スキル:【スライムテイム】【スライム念話】【スライム収納】【スライム合体】【スライム分解】
魔法 :火魔法
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スキルの中に【スライム分解】というのがある。
僕はこれを使用してみた。
『わ、いつもより力が湧いてくる!』
『うおーやるぞー!』
『もっとぶんかいだー!』
スライム達の働きを強化できたみたいだ。
見るからに動きが早くなり、そのまま待つこと一分ほど。
『分解したよー!』
『毒素はないよー!』
『アケアも食べられるよー!』
「みんなすごいよ!」
【業火球】によって大部分は焦げていたが、可食部が残っていたらしい。
ついでに毒素も抜いてくれたそうで、これなら食べられそうだ。
戦闘も分解も含めて、全員で得た食べ物だ。
みんなにお肉が行き渡ったところで、僕たちは手を合わせた。
「じゃあ、みんなで──」
『『『いただきます!』』』
僕がもらったのは、ギガピッグのお腹辺りのお肉。
バラ肉っていうんだっけ。
見た目がまだ若干生だったので、少し【火球】で炙って食べてみる。
口にした瞬間、自然と目がパッと開いた。
「美味しい!!」
『でしょー』
『よかったあー』
『おいしいよねー』
こんなに美味しい食べ物は初めてだ。
フォーロス家ではお肉はおろか、ほとんど残飯ばかりだったから。
それに、これもスライム達が頑張ってくれたおかげだ。
「ありがとうね、みんな」
思わず感謝を伝えると、スライム達も笑顔になる。
『うん-!』
『いいよー!』
『ぼくたちもお肉食べれてうれしい!』
「あははっ、そっか」
すると、自然とあの家にはなかった温かい雰囲気になっていた。