表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/58

第23話 森林の奥地にて

「はあ、なんとかなったあ」

『『『なったあー!』』』


 最後の一匹を倒し、アケアが額の汗をぬぐう。

 スライム達も真似をして、小さな手で上部をこすった。

 主と同じことをしたいスライム達はとてもかわいい。


 すると、シルリアが声をかける。


「ありがとうアケア。キミいなければ……」

「ううん、仲間だからね!」

「……! そ、そうか」


 アケアからすれば当然のことだ。

 だが、シルリアは少し照れるように顔を赤らめた。


「それよりも何を()ってるの?」

「あ、ああ、これは傷薬をまぶしたものだ。塗っておけば数日の間にケガが治る。ワタシのような近接スタイルには必須だな」

「え、ダメだよ!」


 すると、アケアはシルリアに駆け寄る。


「それじゃ跡になっちゃうよ!」

「あ、ちょっ──」

「はい、【上級治癒(ハイ・ヒーリング)】」

「……!?」


 急に近寄られてびっくりする中、アケアが灯した光で傷は一瞬で治癒する。


「回復魔法までできるのか!?」

「うん。そんなことより(・・・・・・・)、シルリアに傷を負わせたら周りに何を言われるか分からないよ」

「そんなことよりではないのだが……ありがとう」


 シルリアは、改めて“テイマーアケア”を実感する。

 同時に、心にドクンとするものを感じた。


(なんだ、この締め付けられる感じは……)


 だが、アケアはまだ尋ねたいことがあったようだ。


「あと、ここから北東方向に何かない? 巨大な魔物が住んでいるとか」

「北東……あ、あるぞ!」


 対して、シルリアは驚いたように口にした。


「北東には“(いにしえ)のドラゴン”が棲んでいる。普段は立ち入り禁止だが……それがどうかしたのか?」


 (いにしえ)のドラゴンは、古くからエスガルド森林に生息するボスだ。

 だが巣から出る事はなく、冒険者にも危険なことから、“聖域”として立ち入り禁止のエリアとなっていた。


 すると、アケアは首を傾げながら話す。


「黒いオーラの出所は、北東のような気がする」

「なんだと! では、古のドラゴンの()(わざ)だと?」

「分からない。でも、何かある気がしてならないんだ」

「アケア……」


 (ほが)らかなアケアの表情が少し曇る。

 すでにアケアを全面的に信頼しているシルリアは、迷わず口にした。


「ならば行こう。怒られた時はワタシが責任を取る」

「シルリア……ありがとう!」


 そうして、二人は古のドラゴンが棲むという“聖域”へ向かった。





「あの先が“聖域”だ」


 森の最奥付近にたどり着き、シルリアが前方を指差す。

 そこには、大きな神殿のような柱が複数立っていた。

 近くには『立ち入り禁止』の看板と、結界も張られている。


 だが、アケアは目を見開いた。


「この結界、一部が破られてる!」

「なんだって!?」

「すぐに行くべきだ!」

「わかった!」


 周囲を探索させていたスライムから、報告を受け取ったのだ。

 二人は迷わず破られた結界まで移動する。


『こっちだよー! ほらー!』

「本当だ……」


 スライムの案内に従うと、結界が強引に(・・・)破られた跡がある。


「魔法で突破されているみたいだよ」

「そんなことができる者がいるのか……?」

「でも、確かめに行かなきゃ!」

「ああ、ここまでくればな!」


 二人はすぐさま“聖域”へ飛び込む。

 そのまま歩くこと少し、物陰でアケアは足を止めた。

 

「シルリア、ストップ!」

「ギャオオオオオオオオオオオ……!」


 隣のシルリアを手で止めた瞬間、大地を揺るがすような轟音(ごうおん)(ひび)き渡る。

 物陰から覗くと、そこには巨大なドラゴンが見えた。


「ギャオオオオオオ!」


 全体的に体は黒く、周囲にも黒の気高いオーラをまとっている。

 強化された魔物と同じようものだ。


 また、細長くも筋骨隆々な手足で、姿勢は四つん這いだ。

 首と尻尾は長く、体長は計り知れない。


 言わずもがな、“古のドラゴン”だろう。


「あれが本物の……!」

「でも様子が変だよ?」

「なに?」


 エスガルドの絵本にも出てくる伝説の存在。

 シルリアは思わず興奮するが、アケアは(いぶか)しげな表情を浮かべる。

 すると、アケアの言う通りにドラゴンはふらっと姿勢を崩す。


「ギャオォ……」

「「え?」」


 そしてそのまま、古のドラゴンはずしーんと横に倒れた。


「ドラゴンさん!?」

「あ、アケア!」


 明らかに弱った様子の古のドラゴンに、アケアはその場を飛び出す。


「ドラゴンさん大丈夫!? 何があったの!」

「ギャオォ……」

「しっかりするんだ! 【上級治癒(ハイ・ヒーリング)】!」

「ギャゥ……」 


 アケアが回復魔法を(ほどこ)すも、よくなる様子はない。

 すると、物陰からもう一匹の魔物が飛び出てくる。


「ぎゃう……」

「え!」


 出てきた魔物は、小さな古のドラゴンのようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お読み下さりありがとうございます!
今作を応援してくださる方は、↑の☆☆☆☆☆を★★★★★に変えていただけると嬉しいです!
皆様の応援が毎日投稿の力になりますので、よろしくお願いします!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ