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リボンの少女に暴君機獣はかしずく  作者: 月光壁虎
決闘、そして暴君とのシンクロ
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恐れ

「それでは決闘申請をしてきますわ。おーっほっほ!」


 言うこと言ったマリアが優雅に去っていくと、アイラは口を尖らせて悪態をつく。


「あーもうムカつく! アタシとティナは友達なのに、なんでイインチョーに口出しされなきゃならないわけー!?」

「まあまあアイラちゃん、落ち着いてよ」

「ティナは悔しくないの!? 地味な奴だなんて言われたんだよ!」

「それは……まあ」


 怒り冷めやらないアイラに対しても、ティナは指をもじもじと突き合わせるばかり。


「こうなったら明日の決闘でギャフンと言わせてやるんだから! 放課後になったら耐Gウェアに着替えて格納庫に集合ね!」

「あ、アイラちゃん! ……行っちゃった」


 手を伸ばして呼び止めようとしたティナだが、結局アイラを引き留めることはできなかった。


 そうして向かえた放課後、耐Gウェアに着替えたティナが格納庫に向かうと、同じく耐Gウェア姿のアイラが待っている。


「あ、ティナ! おーい!」


 手を振るアイラにティナが手を振り返したところで、二人は格納庫に入った。


 すると中からやってきたのは、格納庫の責任者であるアルバス先生である。


「やあ、二人とも。今日は何の用ですかな?」

「はい! ちょっと機獣操作の自主連をしようと思いまして!」

「それならついでにゴウレックスの実戦データもとらせてくれませんか?」

「ゴウレックスの?」


 ティナが首をかしげると、アルバス先生は指を立ててこう話した。

「そうです。基本的なデータは解析でとれましたが、実戦であの機獣がどう動くかを確認しておきたくてですね」

「そんなのもあるんですね……」

「ティナー、アタシ先にキー坊の武装つけてくるね~」

「あ、うん。アイラちゃん」


 アイラと分かれたところで、ティナはアルバス先生と共に足場を歩いてゴウレックスの元へ向かう。


「ゴウレックス……」


 ティナが見つめるゴウレックスは静かに鎮座していて、あの時暴走した猛々しさが嘘のようだ。


「もしかして不安ですか?」

「アルバス先生……、わたしに戦うことなんてできるのかなあ、なんて思いまして」


 不安げな目のティナの華奢な肩に、アルバス先生は手を置いて言う。


「ララミリアさん、君なら大丈夫ですよ。なにせ君はこの未知なる機獣と心を通わせたのですから」

「そう、ですかね……?」


 そんな不安を未発育な胸にしまって、ティナはゴウレックスに乗ることにした。


 ゴウレックスに乗って格納庫の外に出ると、アクセルラプターのキー坊に乗ったアイラが先に待っていた。


「やっほー、ティナとゴウレックスー!」

「グーギュルルル!」


 元気な声のアイラに呼応して鳴き声をあげるキー坊だったが、ゴウレックスの姿を見るなりたたらを踏む。


「あれ、キー坊?」

「もしかして怖いのかなあ?」

「ドゥルルル」


 ゴウレックスが眼光を向けるだけで、キー坊は震え上がってしまう。


「グギュッ!?」

「そんなに怖がんなくても大丈夫だよキー坊! ほら、ゴウレックスは仲間なんだからさ!」

「グギュルル……ッ」


 アイラの励ましでもキー坊はゴウレックスと目を合わせようとしない。


「本当に怖いんだ……。今回は火器を着けてるのにね」


 ティナの言う通り、キー坊は両肩に小型のビームガンを装着している。


「まあまあ、この武装も最低限だからね。やっぱキー坊も近接戦が得意だからさっ!」

「グーギュルルル! ……グギュッ」


 誇らしげに吠えた直後キー坊は、ゴウレックスににらまれてまた怖じ気づいた。


「あはは、これじゃあ練習にならないねっ。明日決闘なのに大丈夫かなあ……?」

「――ほうほう、決闘とは興味深い。実戦データはそちらでとりますかな」


 そして翌日の放課後、学園内の闘技場で決闘が行われることに。


「学園にこんな大きな設備があるんだね~」

「そりゃあでっかい機獣同士が戦うんだもん! 闘技場も広くなるっしょ」


 それぞれの機獣に乗ったティナとアイラの二人は、闘技場内で闘技場の広さに目を見張る。


 30メートル近い体躯のゴウレックスがのびのびと運動できそうなほど、この闘技場は広いのだ。


 バトルフィールドの縁に設置された客席を見てみると、野次馬や観戦に生徒たちが大勢来ているのが分かる。


「うう、なんか緊張しちゃうよ……!」

「大丈夫だってティナ! ほら、リラックスリラックス」

「アイラちゃん……そうだね、リラックスリラックス……」

「――おーっほっほっほ! 逃げずにここまで来たこと、誉めて差し上げますわ!」


 お嬢様らしいマリアの高笑いと共に、三体の機獣が入場してきた。


 マリアが乗るのは頑強な漆黒のボディーと角が雄々しいスティラコサウルス型の大型機獣【ブラックホーン】。


 その脇を取り巻き二人が乗る蛇型の中型機獣【スネーカーズ】とカマキリ型の小型機獣【キルマンティス】が固めている。


「ちょいちょーい! なんで三体も機獣を連れてきているのさ~!?」

「おーっほっほっほ! わたくしが独りで挑むだなんて、誰も申し上げておりませんわ~!」


 異論を唱えるアイラにもマリアはさも当然のように笑って論破した。


「アイラちゃん……」

「まあいっか! こっちも二人いるんだし、この方がフェアでいいっしょ!」


 立ち直りの早いアイラである。


「これよりティナ・ララミリア&アイラ・ウタハとチームヒラリーの決闘を始める! 片方の戦闘不能もしくは戦意喪失で勝負は決まる。――それでは決闘開始!!」


 闘技場の巨大なモニターに審判を努める教師が映し出され、決闘の開始が告げられた。

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