これまでとこれからと
その後ロードスパイナーの機体は防衛軍に回収され、それを製造したリッターコーポレーションも暴走の責任を問われて取り潰しを受けることとなった。
ロードスパイナーを操縦していたシルフもまた、洗脳されて責任能力がないとはいえ一ヶ月の間謹慎処分を下されることに。
焼け野原となったオータムヤードシティーも国が総力を上げて復興を捧げる方針となった。
そんなゴタゴタがあるうち、ティナたちの夏休みもいつの間にか終わりを迎え。
「あーあ、もう夏休み終わっちゃった~!」
そんなことをブー垂れながら学園への道をたどるアイラに、ティナは苦笑する。
「あはは……。でもわたし、アイラちゃんとの夏休み楽しかったよ」
「うんうん! なんだかんだ思い出がたくさんできたもんね!」
「うん。……シルフちゃんは戻ってくるのかなあ?」
「あー……」
二人は忘れもしない、一ヶ月前に起きた惨事を。
オータムヤードシティーはもちろん、シルフもロードスパイナーもまた被害者であったことも。
「でもそんなこと気にしてても始まんないっしょ! ほら、夏休みの後はテストもあるし!」
「ふえっ、そうなの!? どうしよう、宿題に精一杯で全然勉強してないよ~!!」
「あはは……。しょうがないなあ、アタシが教えてあげるから!」
「お願いします、アイラ様!!」
こうしてティナたちの新学期はドタバタと始まるのであった。
新学期早々のテストが終わった後、ティナは燃え尽きたように机に突っ伏していた。
「あ~終わったぁーー」
「お疲れ、ティナ」
「アイラちゃんのおかげだよ~」
「あはは……、これからも遠慮なくアタシを頼っていしっ」
「はは~、女神アイラ様~」
「もー、女神なんて恥ずいし柄じゃないんだけど~!」
和気あいあいとする二人に歩み寄ってきたのは、委員長ことマリアである。
「ララミリアさん、話は存じておりますわよ。先月オータムヤードシティーのパラドクスを撃破なさったんですって?」
「う、うん……」
「ちょっとイインチョー、それティナにはデリケートな話題なんだからやめてよー」
「あら失礼っ。それでもさすがは我がクラスの英雄、わたくしも鼻が高いですわ~!」
縦ロールにした髪を揺らして高笑いするマリアに、アイラは苦笑した。
「ちょっと前まであんなに目の敵にしてたのにっ」
「まあいいよアイラちゃん、みんな仲良しが一番だからね」
「アタシ思うんだ、やっぱりティナは天使なんだって」
「ふええ! わたしが天使ってどういうこと~!?」
あたふたと取り乱すティナに、アイラがこう伝える。
「だってあんなに強いゴウレックスと心を通わせてるし、優しいし?」
そう語るアイラの顔はなぜか赤かった。
「アイラちゃん……」
「――はーいそこー、ホームルーム始めるわよ」
担任の先生の号令で、二人のドキドキムードはクールダウン。
とにもかくにもティナとゴウレックスの学園ライフはまだ始まったばかりなのだ。




