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リボンの少女に暴君機獣はかしずく  作者: 月光壁虎
シティーアイランド・パニック
16/47

広場へ

「いや~、めっちゃすごかったねイルカショー!」

「うん! あんなのわたしも初めてだよ!」


 ダイナミックなイルカショーが終わって歓喜極まるアイラとティナたちは、水族館を出てシティーアイランドの中心へ向かうことに。


 歩いてる途中一行はクレープ屋の屋台でクレープを買うことにした。


「ティナはどれがいいかしら?」

「うーん、こんなにあると迷っちゃうよ~。そう言うリコちゃんはもう決まってるの?」

「私はブルーベリーミックス一択ね」

「うちはストロベリーヨーグルト」

「アタシはマーマレードクリーム! ティナは?」

「うーん~! じゃあチョコバナナ!」

「お客様ありがとうございます~」


 目の前で手際よく焼き上げられるクレープ生地に、ティナは目を奪われる。


「はいおまちどー。ブルーベリーミックスとストロベリーヨーグルト、マーマレードクリームとチョコバナナで~す」 「「「「ありがとうございます!」」」」


 屋台のお姉さんからクレープを受け取ったところで、四人はまた歩き出した。


「ん~! やっぱちょー美味しい~!」

「クレープってこんな美味しいんだ~!」

「ティナっち、クレープ初めて?」

「うん、ルーちゃん。わたし田舎から来たからこういうハイカラなものには疎くって……」


 ルーテシアの問いかけに、ティナは田舎者丸出しの自虐を披露する。


「アイラちゃんのマーマレードクリームも美味しそう……」

「ん、じゃあ一口食べてみる?」

「へっ、いいの!?」

「いいよいいよ! ほらっ」


 アイラが差し出した食べかけのクレープに、ティナはゴクリと生唾を飲み込んだ。


(アイラちゃんの食べかけ、これって間接キス……?)


「あれ、食べないのー?」

「ううん! 食べる食べる!」


 ティナが思いきって一かじりすると、口の中でマーマレードの爽やかな酸味と生クリームの甘味が口いっぱいに広がる。


「お、美味しい……」

「それじゃあお返しっ」


 アイラもティナのクレープを一口かじり取った。


「はわっ、アイラちゃん!?」

「ん~! これも美味しいー!」

「二人とも仲がいいわね~」

「そりゃもうティナとは親友(マブダチ)だから!」

「う、うん……っ」


 肩を組むアイラの言葉に、ティナの胸はドキドキの鼓動が止まらない。


「うちらを差し置いて、二人とも妬ける」

「もちろんルールーとリコリーも親友だよ~!」


 そんな感じで四人笑い合いながら歩いている途中、ビルの巨大なモニターに映し出されていたのは。


「あーっ、あれってこの前のインタビューじゃん!」

「何のインタビュー?」

「あら、知らないのティナちゃん? 機獣バトルの一流ウォーリアー、ジーク・レオンハート様のインタビューよ」


 リコリスの言うように、モニターには精悍な顔立ちをした青年がインタビューを受けている動画が流されている。


『それでは最後に一言どうぞ』

『はい。僕が勝ち続けられているのは、一重に相棒のライオーのおかげです。機獣との絆こそ、僕のパワーになるんです』

『なるほど、それは深いですね。インタビューありがとうございました!』

「――やっぱハンサムよね~、ジーク様」

「リコ、ジーク様にお熱」

「何よルー、あなただってインタビューに興味津々じゃないの」

「うちが興味あるのはジーク様じゃなくて、愛機のライオー」


 ルーテシアの言うライオーとは、ジークの愛機である青いライオン型の機獣である。


「機獣との絆……」

「まあまあ! ティナもゴウレックスと絆を結んでるじゃん!」

「そ、そうなのかなあ……?」


 インタビュー動画にティナが考えさせられてるうち、四人は目的地の中央広場に到着した。


「こ、これって……!」


 ティナがそこで目を奪われたのは、広場の中心でデン!と佇む巨大な銅像である。


「これね。シティーアイランドの守り神にしてシンボルのドジラス君よ」

「ど、ドジラス君……」


 ドジラス君と呼ばれたその銅像は、まるで直立した恐竜のような姿をしていた。


「そういえばさー、ドジラス君ってティナのゴウレックスに似てない?」

「ゴウレックスって、この前めちゃくちゃ大暴れしたあの?」

「言われてみれば似てなくもないわねー」


 ドジラス君像を前にそんな考察をするアイラたち三人に、もの申したのはティナである。


「でもでもっ、わたしのゴウレックスは直立なんてしてないし、腕だってこんなに大きくないよ!?」

「おお、さすが恐竜好きのティナ!」

「あ、えへへ。なんかこういうの見逃せなくって」


 それでティナたちはどっと笑ってしまった。


「じゃあさー! ここで記念写真撮ろうよ!!」

「いいわねー」

「うちも賛成」

「ほら、ティナもこっちこっち!」

「う、うん!」


 四人でより集まったところで、アイラが自撮り棒を使ってスマートフォンで撮影する。


「はい、チーズ!」


 カシャッとシャッター音がアイラのスマートフォンから鳴って、写真が写った。


「あはは! 何これティナってば顔に力入りすぎ~!」

「う、うう~! 写真は慣れてないから……恥ずかしいよぉ」

「まあまあ、これだって後からきっといい思い出になるわよ」

「消えない友情」

「そ、そうだね。あはは……」

「よーっし! ここでもっともーっと写真撮っちゃうぞ~!」


 アイラがトリックフォトも含めた写真撮影に熱を燃やし始めたその時、シティーアイランド中にサイレンが鳴り響く。


『警告、警告。シティーアイランド東部にパラドクス反応確認。直ちに避難してください』

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