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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

子供向けのエロ漫画

 僕の友達は不治の病で十七歳までしか生きられない。そんな彼も、死ぬまでにエロ漫画を読みたいと心では願っていたんだって。


 と思ったら彼のいる病院に、子供も読んでいいエロ漫画があるという。友達はその漫画を手に取り、夢中で読み続けた。


 結局、友達は助からなかったが、最期は残酷な現実も頭になく、ただ楽しそうな様子だったという。



 友達の兄弟からその話を聞いた僕は、その漫画が読みたくて仕方がなくなった。そこで、仮病を使って友達と同じ病院へ入院した。その病院には誰も立ち入らない謎の部屋がある。部屋の名前は「子供向けエロ漫画の部屋」で、例の漫画があった。周りに誰もいないことを確認し、僕はその部屋に入る。


 すると突然僕は真っ暗な穴の中へ落ちていった。落ちた先は大量のエロ漫画の山の頂上だった。部屋はきちんと明かりがついているが、どこか冷たく殺風景だ。しかしこんなにたくさんエロ漫画が読めるなんて。興奮した僕は大喜びでエロ漫画を手当たり次第読み漁った。


 ところが突然、目の前に見知らぬ男が現れる。男は衝撃の事実を告げた。


「普通、子供はエロ漫画を読んではいけない。子供の未来は長い。長い未来があるということはそれだけ責任も多いのだ。しかし、不治の病にかかった子は他の子より早く死ぬ。十八歳になる前に死ぬこともある。だけど死んだら、自分の行いにはもう責任を取らなくて良い。たとえ心が歪んでしまっても、犯罪を犯す間もなくすぐ死ぬのだから」


 何を言っているのか理解できないが、僕は何となく不穏を察した。


「だからこの病院では子供たちは死ぬまでの間、この部屋でエロ漫画を読んでいいことになっている。その代わり、ここに入れば死ぬまで一生この部屋から出られない。一度エロ漫画を読んだ子供は多かれ少なかれ心に歪みを持つから、外の世界に放すわけにはいかない」


 男から残酷な事実を突きつけられ、僕はすべてを悟った。


「死ぬまでの最期の時間、思いっきり好きなことして楽しもうね」


 その言葉を最後に、男の姿はどこにも見えなくなった。



 ふいに、目の前が真っ暗になった感じがした。



おわり

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