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エウドラ ( 217 Eudora )   作者: まるペコ
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第3話 状況は切迫

状況は切迫していた。

 ・・・

 ・・・

 ・・・

 「分処食棄廃合適非、成構再・・・」

 ・・・「分処食棄廃合適非、成構再次二・・・」

 ・・・・・・「分処食棄廃合適非、成構再次三・・・」

 ・・・

 ・・・

 断続、離散する意識。 不可解、読める前後逆の裏返しの声が、非適合、廃棄、食処分、食処分って。怖い、怖い、怖い。 自分がわからなくなりゆく恐怖・・・

 ・・・

 ・・・

 「準水合適、成構再次三e・・・」

 「出排、了終的格適・・・」


 個人情報、思い出は感情とけっこう不可分らしい。そこをしゃぶり尽くされていた。

 プライベートの記憶がばらばらにほどけ、その記憶のアドレスがカオスになっていた。

 そして身体のマスも2/3ほども失敗廃棄処分かとかで食われていた。

 残り1/3にも満たない素材、そのマスで構成しやすいらしいものに変形されていた。


 変形自分は、たぶん年齢6歳当時の僕が参照モデル。

 これでは転移でなくて、転生の一種と同等。

 知識はてつかずのようでも、自分が誰かの自我の記憶が不連続、断片化されてほとんど分からなくなっていた。


 ・・・ちょっ最悪、黒歴史だけ、食い残しやがって。怒。

 あっ、それもつまむの・・・いやいいです・・・それもつまんでいいです・・・


 僕はだれでもない、どこにいるのかもわからない、考えることもやめ・・・




 奇妙で、つまびらかにいやみまである夢、悪夢のたぐいだった。

 僕のからだは6歳くらいだし、そこは同じ・・・。 夢の中で僕はいったいどういう経緯いきさつでひどい目にあったと言うのだろう。

 どうせ夢だし、そこまでは覚えてないし・・・


 そして目が覚めてもこのからだはかわらない。

 それでいくしかない。

 朝だ、朝。

 変わりばえのある朝、のぞまない朝がきた。


 落胆したかというと、そうでもない。 記憶の世界は豊かで安全そうだったが、僕がそれを享受できていたかは不明だし、それより前途洋々6歳児の元気パワーはだてじゃない。 


 エウドラに連れられ、朝もや濃い中に出た。 もよりの茂みでお花摘みという所業、ついでに身ぎれい、そして朝屋台のあと、エウドラ言うところの荷四輪までもどった。 探索の防護着ぐるみで魔潟にお宝採集にでるのは中止、予定変更で切り上げる、ホームに帰るとのこと。 


 僕らは早晩襲われるという。 もちろんお宝の僕ねらい。 

 ここは野合やごうの採集キャンプのようなところで、治安悪い準無法地帯らしい。

 「長居すればワルどもが結束したり仲間を呼んだりする、相手したくない、面倒くさ」

 襲われるのが、相手したくないとか面倒くさいとか、その程度ですむものなのか。


 「それに魔潟に魔力がみちてきている、2日もあればすぐ手前まで魔界に沈む、そこが魔力打ち際になる。 強い魔力はいろいろ面倒」

 干潟に潮が満ちてくるようなイメージか。 なるほど、そこに魔力の満ち引きがあるから魔潟で、だから、引魔の間に魔法素材らしきものを採集できるのか。 台にならべて売り払ったのがそれだな。

 でも魔女のくせして強い魔力が面倒って・・・。


 加えて、積み荷ぐだぐだ、整理整頓も「面倒だし」で、じつは面倒くさがりすぎな汚魔女さま?


 このまま移動するとひどい荷崩れになるのではと、心配したら、

 「荷四輪の幌をとじて結界し、そこに収納をかければ無問題、スマートに解決」

 「・・・シューノーとはいのーにてる。 はいのーにぜんぶはいらないのかな」

 「ラナイ理由考える」と笑って教えてくれなかった。

 そう言えば、そういう教育方針ぽいものを言ってた。


 「ほろをあけてシューノーまほーとけるとしたら、まほーにきづかれない。 もしかして、まじょさまであることかくしてのきままなおしのびたび。

 でもエウドラさまのには、そこらにあるものとちがってかちくいらない。 それだけで、まほーのどーぐとわかるよ。 さぞやお高いんでしょう。 ぬすまれたりおそわれたりしやすくない? いや、けんりょくあるじょーきゅーみんしかもてないこうきゅーしゃなら、へたに手をだされにくいのかな」


 僕のつぶやきがどの程度通じたのかわからないが、エウドラが否定しないでしわを深くしていた。 それでは当たらずともとうからずなのか、ほどとおかったのわからなよ。 


 気のせいですますには魔潟に出ずにいる人数を多く感じた。 おまけに僕らの出立しゅったつはチラチラ見られていた。

 僕の存在は、狭いキャンプ地のこと、昨夜のうちにひろまってしまっていたようだった。

 昨夜のうちに襲われなかったのは、エウドラがいとも容易に、ふんぞり返っていた鑑定人をしぼませたことがきいて、高価な荷四輪に乗ってるだけの存在ではないと、みなされたかららしかった。

 今考えるとたぶんあの一喝の言葉、強制力の魔法がかかっていて、それで強い魔女バレもありえた。

 というか、まさにそうであってもおかしくない。

 エウドラの抑止力さまさまだ。


 魔潟でエウドラ以外に拾われることもじゅうぶんありえた。

 特別なユニークとして売られてさらに競売にかけられ、あわれショタ奴隷コースとか・・・人身売買が公然とあるくらいだから、児童虐待もあるあるだろう。

 そこのところは非常に幸運だった。

 そこのところはね。

 だけど、僕はなんで、普通は致命的に危ないらしい魔潟というところにいたのだろう。 エウドラに拾われたのは偶然だろうか。 なんで言葉がこんなに簡単につうじるようになった。


 僕はさかしく考えることはできても、記憶の知識との対以上に、なにも知らないこともおおすぎていた。


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