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エウドラ ( 217 Eudora )   作者: まるペコ
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第19話 絶対ないもん


 次も命がせっぱ詰まれば、生への渇望で時空遡航に逃げかねない。 そうなれば魔族の威力増すばかりの時空爆弾が作動しかねない。


 この異世界にあってまだ数日というのにほぼ死ぬことがすでに2度もあった。 不本意の3度目を遠くするために、用心だけで足りる気がとうていしない。 


 プレイオネ星下の権威下に保護される身分となったが、お飾りの無役宮爵。

 何の力も権限もない。 


 エウドーラー廓から一歩踏み出せば、ヘリオナーペ宮の内。 そのヘリオナーペ宮は、謀略が渦巻く星城パルテノーペの一宮。

 

”本物の権謀術数は死にゲー”と、サテラは言っていた。


 そして星下由来の情報でも、星五つでなく七つで失われ星・・・侍女爵ともども名前すら喪われたらしいニュムペーもいるらしい。


 ヘリオナーペ宮の内、エウドーラー廓に引きこもっていたとしても安全とはかぎらないことがわかる。


『ラナイのまもりは妾がする、約束した』

 

 心の声でそうきこえていたけれどエウドラ自身、攻略を受ける側の身だろうに。

 だからエウドラに守られてばかりではいられない。 


 魔潟の落とし子としての期待を裏切らないようエウドラにむくいたい。

 それで恩を返す、ヒモではない、霊薬の場のギフテッドを明かすことになっても、形だけでも星姫エウドーラーの配に相応ふさわしく、エウドラを助けられるように。


 そんな僕だが、異世界経験不足の今できることは、する偽善をなすがため、エウドラだよりで実力を高める手段を求めることしか思いつけなかった。


「しられようがかまわない、つよくなりたい、どうすればなれるの」




 エウドラがまぶしかった。


 僕はエウドラがまぶしかった。


 それが理由の一つは、僕がする行為は徳ですることなんかではないのは、わかっていたから。 

 罪悪感が変数の軸で、罪悪感に駆られての行為とわかっていたから。


 また一つは、より一等の罪悪感。それを告げず、エウドラの勘違いをたださず、サテラにそれを追従させたこと。告げないことの隠蔽が変数の軸。


 罪悪感と隠蔽の2軸の領域でする行為で偽善。 しない善よりはする偽善という自覚すらある偽善の複合物コンポジットとして、わかっていたから。


 その立ち位置にいて、エウドラをもまた軸で計っていた。


 一つは僕が徳の人と思ってくれているエウドラの純心が変数の軸。


 もう一つは僕の偽善をもエウドラがもしかして包容してくれる慈愛が変数の軸。


 エウドラも自身大変だろうに、僕には純心と慈愛の2軸でなす領域にいてくれる。


 僕はそんなエウドラがまぶしかったのだ。




 「のらこじの、せっていの、さいとーばん?」

 僕はサテラの言葉をオウム返しした。


 「そうね、孤児なら無学を理由とすれば教育を受けさせておかしくない」とエウドラ。


 「エウドラもそういうとしのうちとおもうけど、どうなの」


 「ニュムペーの方々はご聡明にあらせられ、とりわけ姫様は同じ歳をラナイのような民草たみくさの何倍もの経験ですごされるのですわ」


 「ラナイに勘違いしてほしくなくていう。 妾のからだはみかけだけでなく実際に9歳・・・妾は時間を細かく刻んで集中してつかえる・・・やっと10歳になれるところまで、本当にながかった」


 なるほど、実はロリ〇アちゃんでしたか・・・じゃなくて、子供のからだの実年齢に引きずられて発達がゆっくりの大人の精神持ちと。 そうかそうなら、魔潟で出会いの老婆姿の立ち振る舞い演技にも少しは納得がいく。


 僕ら、ある意味似たものどうしかしらん。 この3人ではサテラがじつはもっとも若くてすれてない心もち?


 「高名私塾の博士を廓内に招くもよかろうが、それからくる面倒や危険もある。 魔潟の落とし子ということだけでも危うい状況。 なのに、霊薬の場のギフテッドのことが洩れようもなら、お母様だのみでも収拾が困難」


 「どうせ、いつまでも隠し通すことは出来ないでしょう。 ですが、ラナイが自ら対応できるようになるまで、いく年かの猶予ゆうよかせぐ方策があります。 このサテラめの献策を泥舟どろふねにのせられた気分でおきき下さい」


 ん? 前も一度泥舟ときこえたことがあった・・・翻訳バグか??・・・それともなにかのフラグつぶしだったのか??


 へたにたずねるとフラグがたったりして。 エウドラも正そうとしていないし、この件は後回しにと思ったら、サテラがさらに変な事を言い始めた。


 「なぞのちびっこ留学生は天才野良孤児作戦ですわ」


 ぶっ、なぞのちびっこ留学生は天才野良孤児作戦? なんだなんだ、突っ込みどころ満載。


 「じょーだんいってる」


 「さすが、サテラ、そこまで野良孤児にこだわりあるなら、泥舟にのってあげる」


 ・・・違った、信頼の確認のようなものでしたか。


 「姫様、ラナイをアカデミア・コンプレクスにいかせましょう」


 「そこってどういうとこ?」


 「各国要人子弟の受け入れ学府。 育てた国際人脈が独立や安全の保障になっている小国・・・定番すぎて検討の余地もあまりない、まあ、無難な選択」

 


 「よわい6にして星下自ら宮爵におとりたてなされました謎の麒麟孤児きりんこじというだけでもたりますでしょうが、魔潟の落とし子であり、なによりニュムペーであらせます星姫様の配。 学府にとってもとても美味しい案件で、貸しになります」


 「貸しになる・・・ラナイ、ぜひ行って。 妾のことは心配いらない。 魔潟の落とし子の配なら、妾の安全は魔族にも保障されるも同然、そういうお母様のご配慮。 これまで以上にへたに手はだされない」


 「えっ、えーと」


 にわかな話しの展開で戸惑う僕に、エウドラのもたれかかりが、しなだれかかりにグレードアップ。


 耳元で「がんぱってね、あなた」とささやかれ、ほっぺチュウされれば、いやとは言えなかった。


 美少女の唇の感触!・・・・・・いや、いや、いや、僕は6歳、ロリコンじゃ絶対ないもん。



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