第17話 輪廻の神苑
ずきん、んきず、ずきん
体感覚なら痛快相当のものが押し寄せる。
んきず、ずきん、んきず
めまぐるしく反転で真逆に変化を続けるものが押し寄せる。
心を引き裂く白熱の心痛と、それが反転の、心を融かす快楽の交互・・・なんだ、なんだ、これは?
ずきん、んきず、ずきん
向かうほど、たえず反転する振動の数、振幅とも増大。両極端真逆ベクトルの負荷ストレスの波で破断を誘導してくる。
歓迎されない侵入の途上になっている可能性に気づかされた。 僕は侵入を止める。 接近を停止する。
そうして、反転するポイント、痛快ゼロで思う。
ある種の重層防壁で、そこに僕の半心が突っ込んだ状況らしい。
引くことができるかと試した。
かなり食い込んだようで、引くには引けても遅々とした。
それでも流出した半心をもどせそうだった。
けれど、引いてもどせたところでどうする。
逆に、痛快反復のゆさぶりに耐え、押し入るのはどうだろう。
どうなっているのだろう、向こう側は。
好奇心は猫を滅すと言うし、シュレディンガー的状況で向こう側の何かの存在に僕が生きていないと認識されたら・・・
危うくならないために、中から伝わってくるものがないかと、おそるおそる観測してみる。
何か感あり。防壁は非常に高い振動数で微細に・・・集中・・・集中・・・観測だけに集中、集中をかさね続けると・・・
唐突、瞬間変化。
全周囲、湧きたつものの奔流。
形容不能、生成と消滅、最小の時間で振動?している?の極微の根源の弦?の構成に対時空してた。
何だ、何だ?
・・・アアアククセセススス・・・通知?が来て、分析不能な手段で裏の裏の・・・知らない裏まで隠し立てなく、強く、覗かれた。
魔族に弄られた僕の存在の防壁より、それの「強く」がすべてうわまっていた。
抗おうにも、すべがなかった。
僕の半心の構造に附加あり。 附加の自己展開ファイル?で、書き換え、再起動、その繰り返し・・・の連鎖の果て、切りはなされ、向こう側の光の場に書きこまれ・・・
ネ申ノマの景は途方もなく巨大。
わずか極微が、おぼろげに、理解できたせいいっぱいの、すべてだった。
【主旋律 輪廻のうた】
”
これはなあに
これはなあに
小さな穴ひとつ開いた小さな板
それは、ねっ、ほら、こうして、ほら、はっぱをたてる、はっぱたて。
葉っぱを立ててどうするの
どうもしないよ、おちたはっぱたててね、はっぱたてるだけ。そしてね。
これはなあに
これはなあに
いろんな小さな穴ならんだたくさんの板
それは、ねっ、ほら、こうして、ほら、はっぱをたてる、はっぱたて。
たくさんの葉っぱを立ててどうするの、どうなるの
どうもしないよ、おちたはっぱをあつめてね、はっぱたてるだけ。そしてね。
そしてどうなるの、どの葉っぱ立てにも、いっぱいに、いっぱいになったらどうなるの
そしたらそしたらつぼにいれて、いろんなつぼにいれてわけて。
たくさん、たくさん、葉っぱをいろんな壺に入れて入れて、それから、それから
くちてくるまでねかせてしずめましょう。
朽ちてくるまで寝かせて静めて、それから
それから、あめのひあがりのやわらかな。
雨の日上がりの柔らかな、それから
かたまるまえのつちにすきこむの。
綺麗なもみぢも
あおいはも。
虫食いだらけの病葉も
さすればさぞや。
さぞや立葉な
つちのこやしになりましょう。
肥やしになあれ
こやしになあれ。
”
半心はとりこまれたが、それともつれる残りはあった。
それゆえ現との結びつきはあったわけだから、
それゆえ落ちた葉っぱではなかったのだから、
そんな異物が見過ごされる道理はなかった・・・
【興の副旋律】
”
これはなあに
これはなあに
おちたはっぱとちがうね。
これは落ちた葉っぱと違うね
我と絆あるね
現の我と切れてないね
どうするの、どうするの
おちたはっぱでないものは。
落ちた葉っぱでないものは
くちはしないから。
朽ちはしないから
ねかせてしずめられなから。
寝かせても静められないから
りんねにすきこむわけにはいかないわ。
鋤き込むわけにはいかないわ
けれどこのままおいとけば、はっぱたてひとつ、せんゆうして。
輪廻の悠久をおかしくする
なら、たいくつしのぎのきばらしに、きずなまきとり。
元の現に流しましょか
ひくきに、もとに、もどるように。
そうなる理、これの絆にきずな足しましょか
たいくつしのぎで、たしましょか。
さすればそれで
さすればそれで。
元の枝葉に戻りませ
もとのえだはにもどりませ。
ふふ、あらあら♪♪
ふふふ、あれえあれえ♪♪♪。
枝先曲り己に接ぎ木
おのれにつぎき。
未来から過去へ
つぎもどれ。
”