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後編

   

 そして一時間後。

 私の表情は相変わらずだったけれど、彼はテーブルの上に並んだ料理を見て、目を輝かせていた。

「ありがとう。わざわざ俺の好物を……」

 今日のメインディッシュはチキンドリア。ちょうど私が初めてこの部屋に泊まった日に作ったのと同じ料理だ。

 あの時は、彼はとても感激してくれた。

「ドリアって、冷凍食品とか外食だけじゃなくて、自分で作れるものなのか!」

「チキンピラフの手作りだけでもありがたいのに、さらに一手間かけてドリアにするなんて!」

 などと、珍しく口数も多くなったくらいだ。


 当時の幸せな気分を思い出すと、それだけで口元にニヤニヤ笑いが浮かびそうになるが、あえてそれは隠したまま、私は落ち着いた声で告げた。

「勘違いしないでよ。あなたのためじゃないわ。私が食べたくなったから作っただけ」

 自分で言っていて、少し恥ずかしくなる。これではまるで、漫画やアニメに出てくる、記号化されたツンデレヒロインのセリフではないか。

 でも、これで仲直りの意志は伝わるはず。だから良しとしておこう。




(「仲直りのチキンドリア」完)

   

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